過去に戻る長い長い旅路 #002 原初の愛
#002
わたしは豊かな地で、神託をうけ、人々に伝えていました。わたしたちはとても、豊かに幸せに暮らしていました。
ある日私は1人の男性と出会い、一目見た瞬間、この方は、全てを変えてくれるかもしれない、と私は彼と共にいきたいと願いました。彼は澄んだとても澄んだ空気を纏うひとでした
彼は願いを聞き入れました。
私の一族もそれを聞き入れました。
彼は、太陽と月と星を信仰する一族の長でした。
義妹は天気を予報し、私もそれを教わりました。でも私ができたのは雲を消すことだけ。みんなで笑いました。
義妹は結婚し、双子の子を産みました
私は先祖代々引き継いできた水の禊を彼らに伝えました。私は水の巫女でした。
私は3人の子を産みました
彼らと共に生き共に生活しいつも共にありました。
子供たちは毎日健康に遊び、生き暮らしました
長の子もそうでない子も
あなたが共にあれば、大丈夫。
私たちが共にあれば、大丈夫。
私たちの国は愛で満ちていました
ある日使者がやってきてこの地に厄災が起こると言いました。私は何日も何日もそれを伝えるべきか迷いました。
ようやく口を開き伝えました。
夫はたいそう驚いて、珍しく1人で考えていました。
その数日後、逃げることを決意した我々に驚くことが起こったのです。
天変地異がおこり国は滅びました。
それは呪術によるものだったのです。使者の言った通りに。
あの時の後悔を胸に。今この時に。