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M-1グランプリ2020の決勝脳直感想
マヂカルラブリーが優勝するM-1が観られる日本って素晴らしい。つまり国民最高。
色んなことが変わってしまった一年でしたが、ブレずに、変わらずに最高峰の舞台で面白いネタを披露してくれた芸人さん達を心から尊敬します。
以下には決勝10組のここが良かったここが好きを書きたいと思います。お察しの通りずぶの素人なので勢いだけがあります。
なんだかんだこういうこと考えてる時間が楽しい。
①インディアンス(敗者復活)
やったーー!! 絶対上がってくれると信じて清き一票入ました(ちなみにあと二枠はからし蓮根とゆにばーす)。15組拮抗するめちゃめちゃ熱い戦場だった敗者復活から上がってきた勢いがすごい。去年の悔しさを完全に力へ変えた“強い”漫才だなと思いました。
まず二人のスタジオを巻き込む明るい華やかな雰囲気が良かったし、信じられんくらいボケ量多いのに観てる側が全部拾って笑える塩梅が絶妙でした。たぶっちゃんの手数もえぐいけど、きむさんの速さを殺さないツッコミも上手い。「なに見とんねんコラ」のハモリ何回聞いても好きです。あと敗退コメントの笑顔と清々しさで早々に泣きました。また来年!!
②東京ホテイソン
決勝進出会見で「今年は顔見せ」とか肝座りまくったことを言っててすげえ心臓強いんだ…と思ったのに、ネタ終わりに緊張した〜〜!!!ってなってたのを見てさらに好きになりました。応援したくなるタイプ。個人的に去年の英語のネタがすごく好きで、進化した二人を見てくれいつか絶対決勝に上げてくれ!!と勝手に思っていたので今回のネタもめちゃくちゃツボでした。
確かに「い~や〇〇〇!」スタイルよりは『観る側がちょっと頭を使わないといけない』ネタかもですが、私は理解した時の気持ちよさと、面白さが込み上げてくる感じがとても好きです。最終決戦でする予定だった回文ネタも面白いわひたすら凄いわなので、ぜひこの煌びやかな舞台で観たかったな……! と思いました。きっと若い二人の未来は明るい。
③ニューヨーク
(先に言っておきますが私はにわかです)去年の歌ネタにえ?? ニューヨークってこんな芸風やったっけ??? と衝撃を受けた思い出。本人たちにしか分からない事情とか心境の変化があるのでしょうが、今年の「これが本来の俺らやおもろいやろ!!!」って感じが最高にかっこよかったです。口上の喩えが激ダサなのはすみません。
この繊細な時代にあえて尖った石を投げていくスタンス、まさに観てる人の倫理観を問いかけてくるようなスリルがあって良いですよね。二人のやりとりを聞いて思う存分笑って、なんか最高な年末の過ごし方かもしれん……。ヤバいやつもっと聞きたい!と待っている自分がいたし、屋敷さんのたしなめるようなツッコミも面白かった。からの平場で今年もがんじがらめになるのめちゃくちゃ笑ってしまった。
④見取り図
三回連続決勝進出ともなると、まとっている貫禄が違いました。今年一年で磨き上げられたのが一目瞭然なネタ二本とも高等技術過ぎて……。
一本目:エミネムの件が好き過ぎるのでこのネタに導入されていてめちゃ嬉しかったです。見取り図二人の「冷と熱(あつ)」みたいなバランスが最高だと思うのですが、大御所とマネージャーってそれにハマってる感じが良い。しかも格段に動きの描写が増えてて情景が浮かんだし、終始疾走感が素晴らしかった。特にマネージャーに詰め寄る件、来るって分かってても来るたび爆笑してしまいました。リリーさんが噛んだ時の盛山さんのリカバリがさらっとしてて、でも観客の引っ掛かりを解消する一言だったのがかっこよかったな。そして構成が美しい。
二本目:一本目とは違ってしゃべくり型のネタ、去年一昨年とはまた違う展開のさせ方もあって面白かった! 「〇〇って何?!」の伏線ボケも絶妙だし、一瞬リリーさんがツッコミに回ったり、カバー縛りで天丼したりで息つく間もなく笑いどころが来るのがとても良かったです。「見取り図が明石で待ち合わせしてるだけやないか」が個人的にはキラーワードでした。あと平場の長髪とデザインパーマのコンビっていう形容の仕方面白過ぎる。
⑤おいでやすこが
何十年のピン芸人歴と賞レースへの哀愁が追い風になってめちゃくちゃ爆発してましたね!! 準決勝ライビュで見た時も映画館が揺れるくらいウケてたのでひょっとするのか……?! とか思っていたんですが、ほんとに準優勝までいくなんて凄すぎます。いいものを観た。
一本目:漫才とは認め辛いという声も聞きますが、私はめちゃくちゃ漫才だと思います。ボケが一方通行な場面も終盤でちゃんと回収するし、「歌が上手すぎる」っていうこがさんの強い武器を凌駕するくらいの小田さんの突き抜けたツッコミは非の打ち所がない。あらためて大声って面白すぎますね。「火曜まで待った」とか言葉選びも抜かりないし、「ただ盛り上がるかあ!!!」で話の本筋にビシッと戻ってくるところも気持ち良かった。
二本目:正直一本目が衝撃的におもろくてって感じもありましたが、最終で披露する歌ネタ史上一番熱唱してて気合が伝わってきた。こがさんの激うま歌でネタを引っ張っていくストロングスタイル。そこに差し込まれる小田さんの大声がスパイス効いてて良かったです。というか、なにより二人が終始ピン芸人として漫才師へのリスペクトをもっているように見えて熱いな……と思いました。
⑥マヂカルラブリー
超絶大声で言いたい。おめでとう!!!!! 全然サンパチマイクの前に滞在しなかろうが床を転がりまくろうがどうしても面白いんだからそりゃ漫才王になるじゃんってことなんですよ。漫才と認められて舞台に上がってきた時点でマヂラブには優勝する可能性があったし、それはここ最近の話じゃなくて10年以上前からそうだと思います。本当におめでとうございました。
もう私があらためて細かく言うこともないけど(全組そうです)、キャッチコピーの「我流大暴れ」がベストネーミング賞過ぎて震えました。スタッフに毎年天才がいるな。前までの流れとか後のこととか関係なく、マヂラブ二人だけの空間がMの前に出来上がっているように感じました。フレンチのボケ一発目、あそこでもう勝ち馬に乗った感じがあった。あと村上さんの「終わりー!」の言い方ツボ過ぎて大好きです。からの最終の吊り革で完全に空気をマヂラブのものにしてたのもかっこよかった。後半の表現が準決勝の時よりマイルドになってたのも賢い。ネタ自体も柔軟ですごいな……。
清々しい優勝でした。えみちゃんとも和解(そもそも拗れてなかった説)できて大団円、野田さんの涙が眩しかったです。
⑦オズワルド
いつも場が荒れに荒れた後に出番が来る二人。さぞしんどいだろうなと思ってましたが本人達はそんなこと関係ないしやれることをやる、って感じで飄々としててシビれます。静の漫才、とよく形容されますが、最近の伊藤さんは徐々に声のボリュームを上げていくツッコミにシフトしてましたね。序盤の冷静沈着な指摘とのギャップが生まれて別の面白さができるのが良い。畠中さんのテンションは一定でそれが余計に気味悪さ(褒め言葉)を醸し出してるのも面白いです。
キラーワード「雑魚寿司」がインパクトありすぎて、私生活でも積極的に使ってしまいそうです。こういうの好き。「一旦辞めさしてもらいます」でハケて、最終決戦に再び「お世話になってます」と出てくる二人がいつか見てみたいです。うわ自分で書いといて激アツやん最高。
⑧アキナ
これは外野が何と言おうとちゃんと決勝に上がる力のある漫才だったと個人的には思います。頭から最後まで緩急も効いてて流れもめっちゃきれい、コントも上手いアキナの良さが出てるな〜と感じました。題材がちょっと茶目っ気のあるもので、どちらかというと若めの世代にハマりそうな雰囲気。山名さんのずっとちょっとずつ腹立つ感じが面白かったです。
出順が前半ならもっと爆発したと誰もが思ったと思う。2016年完璧にトップバッターを務め上げた二人の頼もしさが忘れられません。ネタ後の平場でしきりに「恥ずい!」と言っていた場面、プロとして二人で振る舞いを切り替えたように見えて意地を感じました。
⑨錦鯉
ここで満を辞して錦鯉! さすが!!(?) 錦鯉に関しては、何でどこが面白いんだろうとか真面目に考えるのが野暮な気がします。だってまさのりさんは理屈なしに面白いタイプの人だから。あの煌びやかなMから出てきて「一文なし、参上!」っていうツカミも最高すぎるでしょ。そのまさのりさんの馬鹿馬鹿しさをぐっと盛り立てる渡辺さんの端的的確なツッコミは唯一のものだと思います。レーズンパンが見た目で損してる件、世間でめちゃめちゃ流行って欲しい。
優勝して1000万円もらって一文なしじゃなくなるのも相当面白いけど、どこか庶民的で哀愁を背負ってる今の錦鯉も十分おもしろいです。
⑩ウエストランド
正直ウエランが上がってくると思っていなくてすみませんでした(未だに川瀬名人の某発言が頭に残り過ぎてる人)。思い返してみたら、去年までの漫才と基盤は変わらないけど圧倒的に観客へ伝える気概や覚悟が違うなと思います。井口さんの捲し立てに圧を感じ過ぎてしまっていた部分も、「え?……違うよ?」の間の取り方とかで緩和されてて聞きやすかった。というかこのパターンおもしろ過ぎて最高。
漫才の目的=復讐という尖りまくったパンチラインを決勝の舞台で繰り出せたのはかっこよかった。あとは河本さんの淡々としたあの感じ、ずっと崩さないで欲しいです。稀有なバランスで成り立ってるコンビだな。
なんとなくのまとめ
全組書いたら長くなるのは当然だった。でもこうして文字にしておくと、後々見返した時当日の熱量を感じられる気がするので書けてよかったです。
毎度のことながらオープニングも激烈かっこよかったですね。マスクのシーンもはや映画じゃん……M-1戦士が神々しかった。
今年は本当に開催されてよかった。笑いも涙も活力にして、来年からも頑張れそうです。