傾聴の「共感」は普段使っている「共感」とは違うのです
「あなたの話に共感します!」と普段の会話の中で使うことがあると思います。「あなたの話に賛成よ!」という時にこの「共感」を使いますよね。
傾聴の共感はこれとは違うものなんです。
「それじゃ傾聴の共感ってなに?」をお伝えしますね。
傾聴の基本的態度
傾聴の基本的態度の中に「受容・共感・一致」というものがあります。
この「共感」についてのお話をしますね。
普段使っている共感は
一般的な会話の中で「昨日のドラマにすごく感動したのー!」と言ったAさんがいました。
お話を聞いていたBさんが「私も観た観た!すごく感動したよね」
このBさんの返事は「あなたの話に賛成よ!」という意味とも捉えられますよね。
言い換えると「あなたの話に共感できるわー」と言うこともできます。
これは普段使っている「共感」の使い方です。
傾聴の共感は?
「昨日のドラマにすごく感動したのー!」と言ったAさんに対してBさんが傾聴で「共感」するのであれば、
「そうなんだね、すごく感動したのね」
という返事になります。
傾聴の「共感」で話を聴く時は「あなたはすごく感動したのね」とAさんの気持ちをわかろうとすることが「共感」になります。
Aさんの話を聴いていると、Bさんの心の中には
「私もすごく感動したわ」
「私はそんなに感動しなかったわ」
「私はそのドラマ観ていないから知らないわ」
などという気持ちが出てくることもあります。
Bさんの心の中にどんな感情が出てきても全然かまわないんですよね。
気持ちは湧いてくるものなので、止めることは出来ないしそこにあるもの。
だけど私の気持ちは言わないんですね。聴き手に徹します。
「あなたはそう思ったんだね。あなたはそう感じたんだね」
というように。
傾聴で話し手の方と関わりたいのであれば、この「共感」で話を聴いていきます。
今あなたが目の前の人とどう関わりたいか
自分の中に出てくる賛成や反対の気持ちはあって当然のことです。
ただ、あなたが今目の前の人とどう関わりたいか。
それを自分の心に聴いてみてほしいのです。
今私は目の前の人とどのように関わりたいんだろう
今私は目の前の人の話を傾聴したいんだよね
今私は目の前の人を支えたり、寄りそったりしたいんだよね
そんな気持ちがご自身の中にあるのなら
ドラマに感動した、感動しなかったと自分の中に出て来た気持ちは否定せずに、そっと横に置いてみてください。
そして今目の前の人の話を傾聴したいのであれば、
「そうなんだね、すごく感動したのね」
という共感をしてみてください。
私は寄りそってもらえると嬉しい
今はドラマで感動したという話だったので、寄りそっているという感覚はあまりないかもしれません。
だけど、本当に夫婦関係で悩んでいる、引きこもりの子供に悩んでいる、仕事に行きたいのに行けない、私はどうすればいいかわからない…
そんな悩みを抱えて辛い状況にいたら…
「そうなんだね、とても辛いんだね」
と寄りそってもらえると嬉しいと思いませんか?
私はこうして傾聴で寄りそってもらえると、とても嬉しいのです。
悩んでいる時って、アドバイスされても「わかってるけど出来ないの!」
と思ってしまうことが多いので。
自分自身が穏やかに聴けるようになった
私の開催している傾聴講座をご受講くだっさった方のお話しをしますね。
傾聴の「共感」をするようになって、仕事の中での会話がとても楽になったという方がいらっしゃいます。
その方は薬局に勤務していて、薬局の受付でご年配の方が
「薬飲むの忘れちゃうんだよね。飲んだ方がいいのはわかってるんだけど…」
とおっしゃることがあるそうです。
傾聴を知るまでは「なんでちゃんと飲まないのかなぁ。良くならないじゃない!」とか「飲んだ方がいいのわかってるんでしょ!」などと、少し腹が立ったりすることもあったそうです。
それが、傾聴の共感を知って
「そうなんだね。飲んだほうがいいのはわかってるんだよね」
と寄りそうようになったら、
「これから気を付けるね」
などと言って帰られることが多くなられたとか。
このように相手の気持ちをわかろうと共感で聴くと、自分自身が穏やかに聴けるようになったとお話しくださいました。
まとめ
普段使っている「あなたの話に共感します」と
傾聴の「共感」の違い、伝わりましたでしょうか。
普段使っている共感は私がお伝えしている傾聴では「同感」になります。
傾聴の「共感」は相手の気持ちをわかろうとすることなのです。