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鉾田市で叶えたいことが集まる「ワガママの木」が誕生!【ほこたワガママ会議#03】

「若者たちがあきらめなくても良いまち、我慢しなくても良いまち、つくりたくありませんか?」

そんな問いから第3回目の「ほこたワガママ会議」がはじまりました。当日の様子をレポート記事にしたいと思います。

第1回目の開催レポートはこちら。

※2回目は大寒波で大雪が降って中止。幻回となりました…(泣)
※3回目はIRODORIが体調崩して現地に足を運べず。オンライン参加です(泣)

ワガママ会議とは別で進行しているのが、「ほこたワガママLab」という取り組みです。

鉾田市にゆかりのある高校生から大学生の皆さんとともに、地域で暮らす人たちのワガママを叶えるアプリをつくることを通じて、若者たちが地域で挑戦し続けられる仕組みをつくるプログラムです。

2023年1月よりwebページが公開しました。

ワガママ会議では前回に引き続き”ぱれっとらいふ”で開催し、鉾田市で活動する有志の皆さんのほかに、ほこたワガママLabを受講している学生の方にもご参加いただきました。

ほこたワガママ会議では、ゲストスピーカーをお迎えして、自分の活動や叶えたいワガママを共有していただき、それをもとに話を展開していきます。

(補足)私たちは”ワガママ”の定義を、「日々の暮らしの中であきらめていることや、我慢していること。ほんとうはこうなったらいいのにな、と思っているけれど心の奥にしまっていること」としています

地域のつながりを大切に、活動を積み重ねてきた小川さん

ゲストトークの最初の方は、地域プロデューサー養成講座を受講された小川さん。お話を聞けば聞くほど、いろいろな地域活動をされていることを知りました。

▼地域プロデューサー養成講座についてのnote記事

小川さんは学生の頃からソフトテニスをされていて、現在は鉾田市のクラブチームや40名ほどの会員がいるテニス連盟の理事としても活動しています。

活動しているメンバーの年齢は20代から50代と幅広く、鉾田一高や鉾田二高の卒業生が社会人になって活動している人も多いそう。月に2回程度、週末に練習されていて関東大会などにも出られるほどの実力です。

また、消防団にも所属されていたり、学校の先生との繋がりが多かったりなど地域のつながりを非常に大切にされています。

中学生の子どもたちの探究学習の役に立ちたい

小川さんが地域プロデューサー養成講座にご参加いただいた動機となっているのが、中学生の子ども達の探究学習の時間を充実させることに貢献したい、という想いからでした。

中学生のお子さまが探究学習に取り組くんでいるのを見ていて、もっとできることはあるのではないかなと。もっと中学生と一緒に、探究学習を通じて地域の課題解決のサポート役として貢献していきたいと思うようになったそうです。

しかし、それをするにもキッカケをつくることが難しいというのが悩みどころでした。

小川さんからそんな共有をいただき、意見交換をしていきました。

地域プロデューサー養成講座での様子

子どもの学びに貢献できる市民と、学校が繋がっていない

ワガママ会議に参加されていた、市民劇団を主催されている片岡さんは子どもたちとの触れ合いが多いです。そんな片岡さんのお話も聞いていくと任意団体で活動しているため、学校と繋がれておらず、学校側にニーズがあっても見えていないといいます。

また、皆さんにさらに話を聞いていくと、さまざまな分野で専門性が高い学生が鉾田市に暮らしているけれど、学生たちも子どもたちとの接点がほぼないというコメントも。

子どもたちの学びに貢献したい、という想いがある人たちが学校とつながれておらずもったいない状況であることが見えてきました。

「先生たちの欲しいものが聞けるといいよね」という話になった時に、別の方から「学校の垣根を越えて、他の団体を絡めて学生と何かやりたいという先生を知っている」という情報が聞こえてきました。

これらを踏まえて、次回は地元の学校の先生も巻き込んで、ワガママ会議を行なうことになりました。

ワガママをシェアしたことがきっかけで、想いと想いがつながり、コトが動き出す可能性を感じる時間となりました。

地域の方のために動きたい。結婚相談員の鬼沢さん

2人目のゲストスピーカーの鬼沢さんは、このワガママ会議に参加するにあたって、とてもドキドキしていたと話してくださいました。

これまで鉾田市にはワガママ会議のようなイベントは無く、ワガママ会議は信頼関係から地域の方々が誘い合って集まってくださっています。こうして開催できること自体が運営にとっても有難いことだなと改めて感じました。

鬼沢さんは鉾田市の結婚相談員をつとめられています。きっかけは2年前。鉾田市の出会いコーディネートセンターの記事を旦那さんが発見してお勧めされたことでした。記事を見た瞬間に「やりたい」と思って、電話をしてエントリーされたそうです。

鬼沢さん:「結婚されたい方のサポートをしている、とは言っても、結婚したい会員さんからの相談を通じて、自分に課題が見つかったりするので勉強になります」と、楽しそうにいいます。

別の機会でお会いした時のワンシーン

人を応援し、サポートするのが好き

地域の方のために動きたい、と結婚相談員にエントリーされたという鬼沢さんですが、やりたいことに対して手を挙げられる人はそこまで多くありません。その原動力も伺ってみました。

鬼沢さん:「人が好き。人と接していることが好きで、友達の相談事もよくのります。人のやりたいことを応援し、サポートすることに向いているのかなと思っています」

この仕事で難しいと感じるところは?と聞かれると

鬼沢さん:「鉾田市だと男性は農家が多くて、周りの親などの希望も背負ってきているので、本人の意思だけではないのが難しいところだと感じます。偶然の出会いがなかなかないと、みなさん言っていますが、本当にそうだと思います」

さらにいろいろお話ししていくと、キャンプ場が併設されているカフェで働いている方から「キャンプ場の焚き火を活かして、婚活パーティをやりたい、という案が出ていた」というコメントが。

この場をきっかけにコラボレーションもあるのかもしれません。

ほこたのワガママの木をつくろう!

では、ここからは「ワガママの木」をつくっていきます。

自分さえ我慢すればなんとかなる、と思ったら誰もワガママは言えなくなってしまいます。ワガママを共有しながら地域の皆さんが一緒になってワガママを叶える活動に取り組んでいけば、小さくても楽しいことが増えるのでは?

そんな考えのもと、まずファーストステップは、普段の生活におけるワガママを付箋1枚につき1つ書いていただきました。

いろいろなワガママが集まりました。

・料理が上手くなりたい
・たくさんの人と繋がりたい
・家事を家族で分担することに限界を感じている
・役場の休憩スペースを増やしたい
・息子とキャッチボールがしたい
・資格勉強が集中してできる場所や仲間が欲しい
・ミュージカルに参加してくれる人が増えてほしい
・小さい頃からワガママを意識させたい
・困りごとを相談して、解決できるところが欲しい
・家族そろって夕ご飯を食べたい  

などなど。それらをワガママの木に貼っていきます。

次は2つのチームに分かれて進行します。チームメンバーが書いていないワガママを、チームで1つ選びます。

そして選んだワガママを叶えるためのアイディアと、チームメンバーで何ができるかを考えます。

どうしたら鉾田市が「歩いて楽しいまち」になる?

1チーム目が選んだワガママは「歩いて楽しいまちになってほしい」です。

「ワガママな、歩いて楽しいまちは何があるのかを考えてみました」と、チームメンバーがワクワクしたアイディアを共有いただきました。

・街角の一角を使用して、ギャラリーができるといいのでは
・週末、歩行者天国があるといいのでは?
・学生と一緒にフルーツフェア、イチゴフェアでお店を使ってふるまえたらいいな
・宿泊施設があるから充実させられたらいいのかな
・涸沼で歩いて夕陽を見て楽しむ。
・海浜公園のイベントがない時に来てみたいと思わせる仕掛けがあればいいな
・週替わりで提供するものが変わるお店がある

「ベンチが1つあるだけで、人がまちに出てくる」とIRODORIの谷津がコメントすると「鉾田市ではおばちゃんは縁石か、押しているカートに座っている」というコメントが。

海外では、ある程度の間隔にベンチを置かないといけないという条例があり、ベンチが寄付される文化があるみたいです。

もしかしたら「歩いて楽しいまちになってほしい」というワガママを叶える一歩目は「ベンチを置いてみる」かもしれません。

小さな困りごとを相談できる場所はどうしたらつくれる?

2チーム目が選んだワガママは「小さな困りごとを相談できる場所があるといいな」でした。

学生メンバーの鬼沢さんからは「調べ物は全てスマホで調べる。つながりをつくる場所の中で、ほこたのひととネットでもつながれたらいいな。地域でグループがあればいいな」というコメントが。

さらに「SNSが苦手な人向けには紙で同じ困りごとを共有できたらいいな。広報誌で困りごとを出して、次の月に市民からの答えを乗せて共有して困りごとを解決していくとか!」というアイディアも重なりました。

ちょっとした困りごとや健康について気軽に相談できる人が周りにいるといいな、という話から「コミュニティナースがいるといいな」というアイディアが出てきました。

コミュニティナースとは:『人とつながり、まちを元気にする』コミュニティナースは、職業や資格ではなく実践のあり方であり、「コミュニティナーシング」という看護の実践からヒントを得たコンセプトです。

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/chiikihoukatsusuishin/20220721_00001.html

IRODORIの谷津より「奈良県にはコミュニティナースがガソリンスタントに常駐している事例がある。ガソリンを入れに来た人に血圧を測ったり、会話の中から健康相談に乗る。健康診断は行かない人がいるけれど、ガソリンスタンドは必ず入れに行くところだから、人との接点を自然ともつことができる」

この話から「困った人が相談しにいく場所をつくる、というより日常の動線に困りごとを解決する場をつくるのも良いのでは?」というコメントが出てきました。

もしこの事例を書籍などで知っても、自分ごととしては考えられなかったかもしれません。

しかし、ワガママ会議で出てきたアイディアが、他の地域の事例と結びつくことで”鉾田市でもできるかもしれない”と、みんなで共有することができます。

ワガママ会議は何かを具体的に解決する場ではなく、わいわいとこうした話を積み重ねていくことで伝播し、然るべきタイミングで実現に進み、まちが変わっていく要素になるのではと考えています。

最後にみなさんの感想を伺いました。

今回できた「ワガママの木」再掲!

「みんなのワガママを聞けてよかった。自分にはない案が出てくる。奈良県の話は行政の広報にも活かせるのではないかと思った。現状は本当に必要な人に届いていない感じているので、ガソリンスタンドのようにちょっとしたきっかけで、本当に知りたいことが知れる場所、日常に溶けていたら、届きづらい人に届くのかな」

「歩いて楽しいまちになってほしい」は、私が書いたけれど鉾田市で実現できないと思っていた。皆さんの意見が面白くて、鉾田市でも可能性があると感じることができた。

「何をするのか、どきどきしてきたけれど楽しい時間を過ごせた。ワガママといっても自分で声を出せなかったけれど、みなさんの話を聞いて、鉾田市も未来があるなと。明るい未来が見えた気がしてきた。今後もぜひ参加したい」

「こういう機会が増えたらいいな。どんなことできたらいいのか、話したなかで簡単にできそうなこと、みんなでやればできることもあるのでは?これからみなさんと一緒に活動していきたい」

「意見を言うのは苦手だけれど、こうやって意見を言い合って、自分が思っていることと、人が思っていることが重なった時とてもうれしかった。本当にそれが実現できることが増えてくるのではと感じました。

まちづくりの一歩目は、多様な人たちが集まり、多様な意見が生まれ「楽しかった」という感想が生まれる場をつくることなのではないでしょうか。

こういった少人数の場から「ぱれっとらいふでこんな人がこんな話をしていた」という話を聞いた人が「参加したい」という連鎖が生まれること。そんな未来を長期的に見据えながら、小さな一歩目を踏み出す動きを全力で応援していきたいと思っています。

ほこたワガママ会議、第4回目も3月に開催します!