通販と、ゴミ

コロナの影響で、店のオープンを延期した。桜が満開の頃に多くの人を迎えたかったけれど、こんな状況では致し方ない。桜は来年もまた咲くだろう。


オープンを延期するのは簡単だけれど、ではそこで少なからず発生したであろう売上を他でどう作るか。それが悩ましくてずっと考えていた。


こんなツイートをした通り、まだ何もお客さんと関係値を構築していない中でオンライン上で何か取り組むのはイメージが湧かなかった。

一方で、リアル店舗を持っておらず、オンライン上で飲食サービスを提供しているところは多数あるわけで、関係値がどうこうというのは言い訳であり、逃げたいだけに過ぎないのだろうと、時間が経ってみると気づく。

シンプルに考えれば、通販はどうだろう。直焙煎の珈琲と季節菓子。おうち時間が少しでも豊かになることに役立てるのであればそれもまたひとつ価値だろうという考えはありつつも、自分のなかでそれ以上に優先順位の高い価値観が立ちはだかる。

「ゴミを生みたくない」

誤解がないよう最初に補足すると、商品がゴミだなんて意味ではない。問題はパッケージだ。

どんなにデザイン性のあるパッケージを用意したところで、それを保存するお客さんは半分に満たないだろう。多くの人は受け取った時は「素敵」と思うけれど、最終的にそれはその人にとって「ゴミ」となる。

特に海の近くに住み、店を営もうとしている人間として、ゴミの中でも特にプラスチック素材はもってのほかである。どんなことがあろうとも、自分の店からプラスチックゴミを生むことだけは避けたいという思いが強くある。だからドリンクのテイクアウトというのも検討からはすぐさま消えている。するとすれば、マイカップ持参の場合だけだ。(このことは以下の記事でチラッと触れているので、よかったら読んでみてください)

withコロナ、アフターコロナとうたわれる今後の世の中で、「ゴミを生みたくない」という価値観はなかなかに強敵だ。遠くのどこかに何かを届ける以上、パッケージというものは少なからず必要であり、それを避けると通販という選択肢は消えてしまう。この1,2ヶ月で世の中にどれだけのゴミが増えたのだろう(経済活動自体は縮小されているから、絶対数は減っているのかもしれないが、今までよりも増えたゴミは確実にあると思っている)。

ただ、そうも言っていられない状況が近づきつつある。オープンを延期し、何もしないでは自分たちが生きていくことすらできなくなる。だから、0 or 100という考えは諦めた方がいいのかもしれない。限りなく0に近づける。そのための努力をする、そのためにbetterな素材を見つけたい。

改めて考えると、0 or 100 という考えの危うさは何事にも通ずるのかもしれない。極端な思考は第一歩を躊躇させる。完璧な世の中などないように、完璧な行動や態度もきっとない。歩みを進めながら、改善を続けフィットさせていくしかないのもしれない。

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そんなわけで、実店舗をオープンする前に、もしかすると通販をスタートさせるかもしれない。自分たちなりにこれまで世界観を大事にしてきたけれど、通販のパッケージについては上記の通りある程度の縛りを設けるので想像以上に簡素になるかもしれない。でも、それが自分たちの価値観を突き詰めた結果なのだから、これまで表現していた世界観の一環でもあるというのは間違いない。ある種、このパッケージこそ僕らからのメッセージにもなりうるのだろう。

(もし「環境に配慮した素敵な素材あるよ」という情報があればぜひ教えていただきたいです!)

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羽田裕明/nagi店主
10年先、20年先、未来の住民のために木を植えます。