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20代無職望まない妊娠をする⑥
続きものです
最初はこちら
7/30からやや出血しはじめた。
7/31には鮮血があり、どんどん量が増えていった。
腹痛はあったが、頭も痛い。
無職なのが救いだ。
人と会って、体調不良と妊娠を隠したまま働ける気がしない。
あと中絶しなきゃいけないメンタルで働ける気がしない。
外に出て、赤ちゃんや妊婦を見ると目をそむけてしまう。
ああ、うらやましいな。
8/1普通の生理と同じくらい出血する。
でも普通に過ごす。
8/2に産科の受診予定があり、心拍があるかないかを確認することになっていた。
そのときに出血について伝えればいいかなって。
8/1 23:15
どろっとした感覚があった。
わたしは中絶してという彼氏と電話していた。
途中で電話をやめ、トイレへ行く。
いつもより多いレバー状の塊があった。すこし白っぽいものも見えた。
ああ、胎児出てきたと思った。
タッパーに入れて保管しておくように指示があったので、くるんでおく。
おなかは痛いけど、聞いていたほど激痛ではない。
ただの生理痛のような感じだった。
出てきたら産科へ電話するように言われていたので、電話する。
「じゃあ、明日もともと受診あったんだね。そのとき持ってきてね。今日は眠れそう?ゆっくりあたたかくして休んでね。普通の生理のときみたいにね。」
眠れそうですといった。そんなに具合が悪いわけじゃない。
なぜかここの助産師や看護師はみんなため口だ。
でもほっとする。
腐らないように保冷剤と保冷バックを使って冷やした。
さすがに冷蔵庫に入れたら、家族がびっくりする。
彼氏に連絡した。今日は受診せず、明日予定通り受診することになったと。
「ゆっくりやすんでね、おやすみ~」
ゆるっ。
あんたの彼女いま流産したと思うんだけど。しかもあんたの子供。
8/2産科へ出てきた胎児とともに行く。
お腹の大きい妊婦ばかりだ、でも70代くらいの人もいる、すこし安心した。
物凄く暑いなか、20分歩いて来た。もうこの胎児ともお別れだと思うと、タッパーを入れてきたバックをぎゅっと抱きしめた。
なんにも変わることないし、出てこなくても中絶してきたであろう命なのに。
医師から今までの経過を確認されたあと、内診とエコーを受ける。
「お腹の中にあったものは全て出てるね。」
ああ、やっぱり胎児だったんだな。
自分でも分かっていたはずなのに、改めて言われると悲しいというかなんとも表現しがたい感情になる。
内診が終わり、また医師から詳しい説明を受ける。
「初期は流産しやすいからね。子宮収縮剤飲んで、残ってる部分を出そう。腹痛強くなったら受診してね。次2週間後に受診して、確認したら今回の妊娠は終わりだね。」
わたしは子宮頸がん検診に引っかかったこと、はやく再検査を受けたいことを伝えた。
「今は出血してるから、そうすると正確な検査が出来ないんだ。次回の受診の時に再検査しよう。このAUS-USという状態はがんの前段階だけど、がんじゃないからね。HPVは女性なら性交渉があれば感染するし。」
穏やかな口調で教えてくれる、すごく心配だったから安心した。
「最後に、今回の妊娠は大変でしたね。今後またピルを飲みたいとのことなので、次回診察時に飲めるかどうか確認しましょう。今回は残念だったけど、流産はよくあることです。ピル飲んで、次妊娠したいと思ったら出来るように準備しましょうね。」
産科のだれもが29歳の望まない妊娠を責めなかった。
わたしは29歳で中絶考えてると言ったら、呆れられるか怒られるかすると思っていた。
怖くて言えないかと思ったけど、先生の口調が穏やかで言えた。
今回の妊娠で3回診察を受けたが、みな違う先生だった。
でもだれもわたしを責めずに、決定を尊重してくれた。
すごく安心した、そしてやっぱり妊娠を喜んでくれる人と結婚したいと思った。
産科にいる幸せそうな妊婦が羨ましかった。
(みながみな幸せかなんて分からないけど、いまの自分にはそう見えた)
わたしもいつか妊娠を喜んでくれる人と、かつ自分が好きな人と妊娠して出産したい。
今回の胎児のことは一生忘れずに生きていきたい。
やっぱり職がない状態で妊娠してしまったのは自分のせいだし、胎児のためにならないと当たり前だが思った。
わたしはまた後日記事にするが、就職がきまり、新天地で働くことになる。
安定した経済的、社会的基盤を再び持って、ちゃんとした大人に戻りたい。
軽率に無職になるんじゃなかった。
あらためてそう思わせてくれた。
次の診察で今回の妊娠はちゃんと終わる。
でも今回の妊娠のことは一生忘れずに生きていく。
次は仕事のこと書きたいと思います。
次の記事が20代無職望まない妊娠をするが最後になるかなと、最後まで見届けてくれたら嬉しいです。