不動産鑑定士試験の演習問題、どこの街がモデルなのか問題(令和6年編)
全国若干名の不動産鑑定士試験マニアのみなさまこんにちは。そして令和6年不動産鑑定士試験受験生のみなさまお疲れ様です。
年1回の特番と化した演習ナイトスクープのお時間です。この記事の執筆のために、本日仕事を休みにしているirisです。嘘です。
それでは令和6年の演習問題聖地探し、やっていきましょう。
(演習問題は↓のリンクから閲覧できます)
都市概況からの考察
まずはいつもどおり都市概況(問題用紙 P.11)から見ていきます。
今回は以下の4点の記述により、B市(対象不動産の存する市)のモデルと考えられる都市はかなり絞り込めます。
B市はA県の南部に位置し、県庁所在地であるE市に北側で隣接する(=B 市の北隣に県庁所在地がある)。
JR線がB市内を東西に横断している。
かつては商工業も盛んであったが、近年ではE市のベッドタウンとしての性格を強めている。
古くは宿場町として栄えた。
特に1と2の情報は重要です。この2つの情報をもとに素直にイメージ図を書くと、以下のようになります。
しかし現実のJR線は、全ての県庁所在地を通過するように線路が張り巡らされています(そもそもJR線が通っていない沖縄県那覇市は除く)から、上図では不十分です。
県庁所在地であるE市にもJR線が通ってるものとした場合、考えられるパターンは以下の図1〜3になるかと思います。
このうち、図1はあり得ないパターンとみてよいでしょう。JR線がこのように通っている場所ってほぼ無いんじゃないかなと思いますし、このような鉄道の通り方で、B市がE市のベッドタウンになれるか?という疑問が当然に湧きます。
図2のパターンは、やや強引な解釈ですが1か所だけ見つかりました。千葉県市原市です。
とはいえ市原市は前記3.の情報(かつては商工業も盛んであったが、近年ではE市のベッドタウンとしての性格を強めている)とおそらく合致しません。なぜなら下表の通り、市原市は現役バリバリの工業都市だからです。
したがって、残る可能性は図3です。これが一見突飛なパターンに見えますが、各都道府県の県庁所在地は色々な市町村との合併を経て巨大になり、かつ、結構変な形をしているケースが多いので、あり得なくはない。各都道府県の地図とにらめっこした結果、以下の2都市が候補に挙がりました。
① 神奈川県藤沢市
② 静岡県藤枝市
どちらの都市もベッドタウンとしての性格が強く(藤沢市は観光都市の側面も強く持っていますが…)、かつ、江戸時代には東海道の宿場町として栄えた歴史を持っているので、前記1.~4.の情報すべてに合致します。
以上より、藤沢市と藤枝市を最終候補地として、問題用紙に載っているB市の他の情報と照らし合わせていきます。
その他情報からの絞り込み
まずは都市概況や市場の特性欄に書かれているB市の主な情報と、藤沢市・藤枝市とを照らし合わせて、適合度を〇・△・×で評価して下表にまとめました。
これを見ると、どちらも決め手に欠けますが、やや藤沢市のほうが適合性が高いように思います。藤枝市はB市より少し小ぢんまりした都市かな?という印象ですね。
しかし一方で、位置図(問題文 P.15)や近隣地域・類似地域の概要(同 P.16)の内容は明らかに藤枝市の藤枝駅北側エリアのほうが似ており、藤沢市の藤沢駅周辺とは随分違います。
まとめ
以上より、令和6年演習問題のモデルとなった街は、「藤沢市のパワーをトッピングした藤枝市 藤枝駅北側エリア」と結論付けました。ややすっきりしない結論ですが、名前に「藤」が使われている都市同士なんで多少はね?なお、藤枝駅北側エリアは現在、「藤枝駅前地区市街地総合再生基本計画」に基づき、次々と再開発事業が行われていく予定のようですよ。がんばれ藤枝市。
【参考】
それではまた。