全国から集う企画吹奏楽団を目指して【Iris Wind Orchestra運営インタビュー②】代表・指揮者神林克哉
皆さん、こんにちは!Iris Wind Orchestraの浅野です。
現在連載中のIris Wind Orchestraの運営のインタビュー。前回に引き続き、代表兼指揮者のぱずーこと神林克哉のインタビューをお届けします。
SWO(イリスの母体)として初の演奏会から6年。楽団の立ち上げから吹奏楽への想いをアツく語ります。
「今できる最高の音楽をつくりたい」ーコロナ禍だからこそ悟ったことー
ー元々Iris Wind Orchestraとして初の演奏会は2020年10月を予定していましたね。
2020年1月4日にSophia Wind Orchestraとして第四回の演奏会を企画していました。そのころには次回の演奏会に向けても動き出していて、曲も募集もかけていました。
でも、コロナ禍により延期を三度せざるを得なくなりました。コロナ禍での延期はしょうがないし、できない。
それで、「できないならしょうがない」から「だったら何ができるんだ」って考えてみたんです。できないならできないで終わっちゃいますが、何もできないのであれば、できる時に「その時の最高」を作りたい、と思ったんです。
僕らにできる力を最大限使い果たして、お客さんに楽しんでもらえるようにすることが今は必要かなって。だから、そういった意味では、僕ら自身が楽しんでないと最高のものは作れないと考えてます。正直、今僕は結構もう楽しいです(笑)
ー合奏会や演奏会に参加してもらった人々ってたくさんいますし、楽しかった!って声を聴くと嬉しいですよね。
そう、応募して参加してくれる方々がいるから、その方々に感謝もあるし、一緒に作りたいと思いますから。
2021年の12月にはIris Wind Orchestraとして初となる合奏会を開催しました。
これは、大人の吹奏楽としては本当に久々で。音を合わせたときに純粋に「楽しかったな」と思いました。
そして、合奏会というあり方もあるんだって感じたんです。
演奏会と一緒に、合奏会を交互に続けていくのもアリだなって思ったし、何かの形で続けていきたいと思っています。
誰かを喜ばせたい、それが原動力。
ーコロナ禍によって楽団の演奏会の開催方法には「有観客か無観客か」という選択肢が生まれました。そして、「有観客の良さ」の良さに気づかされる機会にもなりましたよね。
やっぱり、当たり前だけど有観客がいいんです。これは僕のポリシーですが、我々のように「趣味」で音楽を奏でる楽団であっても、誰かに還元したい、喜んでもらいたい。
音楽の良いところは、自分たちだけでも楽しめるけど、誰かに聞かせて人の感情を動かすことができること。もちろん趣味ってほかにもいろいろありますが、僕は誰かを喜ばせたい。だから、そういう意味では、お客さんを喜ばせるためにも有観客がいいって思うんです。
ー「誰かに還元したい」というのは、とても共感します。そして共感する人々が集まってイリスができているんですね。神林さんは、そんな「大人の趣味としての吹奏楽」の魅力って何だと思いますか。
なかなか難しい質問ですね(笑)
個人的には、「追求できること」なんじゃないかなと思います。大人になると、学生の時より色々考えられる。アイデアもあるし、資金もある。それで、できることはたくさんある。
ただ、時間がない。
僕の人生の主軸は音楽で、音楽がないと死んじゃう。廃人になっちゃうと思う。だから、その限られた時間の中で音楽を楽しみたい。
それに、大人になっても音楽を続けている人って本当に音楽が大好きなんじゃないかなと。熱量が近い人達と音楽できるっていうのも一つの魅力です。
大人が自己選択した結果集まった人々が年代を超えて楽しむというだけでモチベーションが高いように思います。
僕はとにかく、音楽が好きな人とたくさん音楽を楽しみたい。
一緒に音楽を追求できる人だと合奏でもそのオーラが伝わる。それで、合奏の時には意見しあうことで、高みを目指すこともできるのではないか、と思うんです。
ー以前、Iris Wind Orchestraでは、幅広い音楽にチャレンジしたい!っていわれていましたよね。
イリスでは、なんでもやってみたい。ミュージカルもやってみたいし、吹奏楽と合唱団のコラボもやりたい。
あとは団員やゲストとのコンチェルト。ピアノでも、管でも楽しそう。
他団体との交流や対バンも可能性が広がると思っています。
また、カルミナ・ブラーナもやってみたい。
そして、いつかは、Iris Wind Orchestraの楽団名にゆかりのあるマスカーニ作曲の歌劇「イリス」にも挑戦してみたいと考えています。
目指すは吹奏楽版サイトウ・キネン・オーケストラ。
ーSWOから数えれば、もう創団して5年ほど経過しています。イリスを企画するにあたり、目標としていたことなどはありますか。
実は、最初はコンクールバンドを目指そうと思っていた時期があるんです。こうして学生時代に吹奏楽に向き合ってきた仲間と自分の指揮でどこまで進めるんだろう、と。
コンクールは全国大会に行くことも一つのゴールではありますが、実力を図る物差しでもあると思っています。そういった意味では、コンクールにも出場するバンドであってもいいんじゃないかと考えていました。
ただ、コンクールでのあり方や吹奏楽について考えていくうちに、自分の思う音楽の方向性とは違うということも見えてきて。また、僕のポリシーとして挙げた「お客さんに還元する」というところでも、コンクールがやりたいことじゃないなと思ったんです。
それで、コンクール出るのはやめよう、って決めました。
ー「コンクールの吹奏楽」も一つ議論の分かれる内容ではありますよね。これを掘り下げるだけで特集が組めちゃいそうです(笑)
コンクールに出場されない、と決めてから目指された方向性はどのようなものでしたか。
すごく自分たちのレベルとはかけ離れているかもしれないけれど、サイトウ・キネン・オーケストラみたいな形になったら面白いなって考えていました。
普段はコンクールに出場する楽団に所属していたり、オーケストラにいたり、幅広い楽団に所属している人々が日本中から集って演奏する。参加者は各団体で学んだことを持ってきて共有して、交流する中でみんなでうまくなっていく。
そんな吹奏楽団もアリだと思ったんです。
音楽は「感情」
音楽の前では素になれるー団長として、指揮者として。
ー神林さんはIris Wind Orchestraの団長兼指揮者として、運営面も音楽面も担当されていますよね。なかなか大変じゃないですか。
団長である限り、運営については全部把握しないといけないから、その点は大変です。
今は、全体の進捗管理やタスク管理が主ですが、自分のスキルアップにも陰ながら役立っているんじゃないかなと思っています。
音楽面に関しては、かなり楽しくやらせてもらっていますよ。
僕としては、音楽をしてる時は素になっちゃう。
音楽の前だと丸裸になるというか、自然と素直になっちゃう。
たとえば、演奏会に足を運べば、席で音楽に合わせて揺れちゃうのよ。
後ろの人にはすごく迷惑なんだろうな、と申し訳なくなるんだけれども(笑)
音楽の感情に乗って、音楽と呼吸する感じ。
だから、合奏でも自分の思う音楽について素のままに表現しているつもりです。
神林の考える「吹奏楽っていいね」とは
ー最後に。神林さんにとって「吹奏楽っていいね」って何ですか?
「感情」です。
揺れる、揺らすというか…やっぱり音楽って人の心を動かすものですし。
音楽には幅広い可能性があります。聞いて「楽しい」というだけではなく、「うれしい」、あるいはホラー映画では「怖い」とか、感情を起こさせることもできるんです。
奏者、あるいは指揮者からすれば、感情を表現することもできる。それこそが芸術の特権だと思っています。
昔、恩師に「お前のすごいところは感情が豊かなことだ」と言われたことがあるんです。だからこそ、精いっぱい感情を届けたい。
そして、演奏会にご来場いただく方には、この感情をぜひ追体験していただきたいです。
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神林とのインタビューは2時間にも及びました。
編集の都合でカットした箇所もありますが、インタビュー時には運営の吹奏楽やイリスへの想いを知る貴重な時間になりました。
2022年5月28日、Iris Wind Orchestraはイリスとして初となる第一回演奏会を開催します。
現在、私達は共に音楽を楽しむ仲間を探しています。
興味のある方は、こちらのURLから詳細をチェックしてみてください。
公式Twitter、Instagramもありますので、@Iriswindo でぜひフォローをお願いします。
それでは、また次回!