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【写真のみ】麗都街景〜まちにあるものたち〜・水谷慎一郎【序文】

これから、 この2年の間に撮りためた都市写真を1枚ずつ載せていこうと思います。

タイトルは『麗都街景 〜まちにあるものたち 〜』です。


2022年の終わりまで、約7年のあいだ私は日本を離れていました。
その海外生活を終えた時、かつて足を運んだことのある東京および近隣県のいくつかの場所を数年ぶりに、カメラを持って再び訪れてみたところ、見知っていたはずの光景が、日本の大都市ならではの独特なものとして目新しく、そして、ときに奇異に感じられました。例えば ― 。市街地に突如として現れる墓苑。家族連れが往き来する繁華街の真ん中で堂々と営業する風俗店。山の傾斜に造成して作られた、無機質で画一的な家屋の並ぶ郊外のニュータウン。大規模な開発がおこなわれ姿を変えていく駅前の風景 ― 。

これから1枚ずつアップする合計46点の写真たちは、2023年から24年のあいだに、東京・神奈川の都市部と郊外で撮影したものです。見慣れていたはずの街・もの・人に出会う中で、あらためて心を動かされた数々のものにレンズを向けました。

撮りたまった写真を選定する際は、A4の写真用紙にプリントし、それらを10枚、20枚、30枚…と部屋の畳の上に適当に並べ、それらを端から順に見ていきました。当然ですが、 写っているものたちは1枚、1枚、バラバラです。撮影された時間も存在した空間も何ら共通しません。しかしそれらが「私が見た」という一点だけを接点として、畳の上で隣り合っている —  撮り集めてみると、そんな面白さを感じることができました。
このような、スナップ写真集における偶然と主観性の混在の面白さを、都市風景をモチーフにした私の写真で表現してみようというのが、 このポートフォリオの試みです。
自分にとって、美しいと感じた人・もの・状況をまとめた写真なので、タイトルは 『麗都街景ーまちにあるものたち』、としました。


麗(れい)・「麗しい」という言葉には、 《端正で美しい》だけでなく「愛すべき」という意味があります。 

ここにあるのは、私にとっての愛すべき写真たちです。


水谷慎一郎


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