秋風の浦や家業を仕舞ひたる
2022/10/12(水) NHK文化センター 俳句講座にて
岸本尚毅 先生の「入選」いただきました。受講者の5名の方々からも選をいただきました。1回の講座で4句メール投句。ZOOM講座の日の1週間前が投句締切です。お題は「秋風」でしたが、当季雑詠4句でもよいということでした。選句は一人4句。特選や並選などの区別はなく、ただ選ということです。当日までにあらかじめ送られた資料を読み込んで準備します。資料には先人の名句・秀句がたくさん挙げられていました。まず俳人の名前の読み方からわからない、聞いたことない句などが、資料にずらーっと並ぶので、大変焦りました。勉強不足を痛感!
【学びポイント】
切字「や」で明確に切れを作ったら、句末は連体形で着地するのが佳い。
【理由】
終止形で句末をはっきり切ってしまうと、一句に強い切れが二つあることになるので、連体形で止めた方が佳いのだそうです。
【その他の解説・選評・ご指導など】
この句では家業を明確に何と言っていないので、さまざまな想像が膨らむ、と評されました。先生の読みでは、いかにも海岸沿いにありそうな、漁業に関連する店を思われたそうです。この「家業」は真珠養殖業でしたが、それとわかるように、明確に詠んだ句も作ってみるようにとのお言葉をいただきました。(ただ、真珠養殖業では長いので、なかなか一句に入れるのが難しいとも言われました。)
切字「や」をどこに入れるか、で一句の景はがらりと変わります。この句は中七の途中に「や」を置いて切る変則形であるものの、句意を考えると、この位置で切ったので佳い、という評でした。
また、「浦」の一字が景を表すのに効いていること、句末を終止形ではなく連体形でおさめたことも、岸本先生からお褒めいただきました。