この夏、私はアイス屋さんになる。
はじめまして。入江葵です。三重県生まれ、埼玉県育ちの33歳です。旅先として沖縄を選ぶ回数が年々増え、滞在期間も次第に長くなり、ごく自然な流れで大好きな沖縄に移り住み、島暮らしを始めて3年目になりました。この夏、私は小さなアイスクリームショップをはじめます。数年前までは沖縄でアイスクリーム屋さんになるなんて、私自身も、まわりの誰も、想像すらしていませんでした。人生、面白いです。
宜野湾市普天間にアイス店開業準備中！
小さなアイスクリームショップの名前は「CAFUNÉ」。ブラジル・ポルトガル語で、「カフネ」と読みます。大好きな絵本「翻訳出来ない世界の言葉」を眺めていた時に目に留まった言葉で、音の響きが南国っぽいなぁ、という理由で名付けました。（余談ですが、こちらの本、とても素敵なので読んだことが無い方はぜひ。）
今までの私、そして今の私
東京にいた頃、私は芸能活動をしたり、パンのイベントを企画・運営したりしてのらりくらりと生きてきました。一度も一般企業に就職したことはなく、いわゆる「フリーランス業」として20歳から働き始め、今日まで生き延びてきたことに、自分でも驚きます。セミリタイア状態ではありますが、お声かけ頂いたら今でもたまにモデル業もしますし、2015年に立ち上げたBREAD LABというパン愛で突き進むチームの主宰でもあります。（BREAD LABのお話は、長くなるのでまた今度！）まぁ、やれることはなんでもやって、生きながらえてきた感じです。
そんな私がなぜアイスクリームショップをはじめたのか？
きっかけは、「沖縄で暮らすなら、1つでいいから本当のことがしたい」と思ったこと。今まで、大勢の人たちと1つのモノやコトをつくる仕事をしてきた私は、1人ではじめから最後まで出来て、シンプルで、正直で、みんなに喜んでもらえるようなことを生業にしたいといつからか思うようになり、その気持ちを後押ししてくれたのが沖縄という環境でした。想いを実現する方法として、私は大好きなアイスクリームを選んだのです。沖縄は果物はもちろん、塩も砂糖もとても美味しいし、素材そのものがもつポテンシャルが素晴らしい！そして何より「南国のアイス屋さんって存在そのものがハッピーじゃん！！決まり！！」そんな感じです。勢いですね！そして物件も、何も決まっていないのに、2018年に業務用アイスクリームマシンを購入しました！(笑)今思えば、これが記念すべき、アイス屋への道のり第一歩でした。
やる気満々！でも前途多難…
「アイス屋さんになりたい！」そう周囲の人に話ながら、10坪程で家賃が5万円～8万円位、沖縄県中部というざっくりとした条件で物件を探し始めましたが、現実は本当に厳しく打ちのめされました。ボロボロすぎて店づくり素人の私には手も足も出ない物件だったり、家賃が高かったり、そのエリアで自分が商売をするイメージが出来ない場所だったり、飲食NG物件だったり(実はこれが1番多かったかも！)。不動産屋さんでは｢店舗物件を探しています。｣という度に、渋い顔をされました。それでも少しでも気になれば物件に足を運び、約50軒ほど見に行ったと思います。結果、惨敗。はじめから大きな壁にぶち当たり、正直、落ち込みました。
とりあえず、間借りアイス屋活動開始！
「いつ店舗化できるかわからないから、とりあえずアイスづくりだけでもはじめよう！」そう思っている頃に、友人達の助けと協力もあり、イベントという形でアイスクリームを販売する機会をもらいました。この時、店舗はないものの、Instagramのアカウントをつくり、ロゴもつくってもらいました。沖縄の季節の素材を使い、アイスクリームをつくり、みんなに食べてもらえることが、ただ嬉しかったです。
イベントを継続していくうちに、店舗はないけれど、私は周囲の人たちから「アイス屋さん」と認識されるようになりました。案ずるより、産むがやすし。なりたいと思ったら、なりたい、と口に出す。やりたいと思ったら、そのヴィジョンを誰かに話す。人間の行動力は、必ずしも自分だけでつくるものではなく、周囲の人や環境の力をも巻き込んで大きな原動力になっていくのだ、ということを体感した1年でした。例えば、沖縄は人と人との距離が近い。だから、「アイス屋さんになりたい。物件を探している。」と言うと、挨拶代わりに「物件見つかった？」とか「あそこが空いてたよ、聞いてみたら」とか、皆が気軽に、気にかけてくれます。気軽に、気に掛ける、って変な感じですが、深刻になりすぎず、負担になりすぎず、でも時に親身に気にかけて、思い出してくれる、そんな感じ。このちょっと適当な感じが、私はとても気に入っています。そんな空気感から、「無理に流れをつくろうとしないこと。待つときは待つ。流れがきたら緩やかにのる。」という生き方が、上手になったと思います。
4月、一気に急展開！
そしてこの4月、友人の情報をたよりに、友人づてに連絡先をきき、やりとりをしていた方から連絡が来ました。「物件を譲りたい」と。その物件は私の自宅からもほど近い、普天間にありました。前を通るたびに、「可愛いなぁ、ここは何なんだろう？」と思っていた場所を居抜きで借りられることになったのです。
春から少しずつ手探りで準備を進め、2020年7月30日にプレオープンを迎えました。
こうして私はこの夏、アイス屋さんになりました。
ときどきここで、日々の出来事を綴ろうと思います。
どうぞよろしくお願いします。