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タコ部屋 in the foot
伊豆見工業の作業員は10人程 35歳〜65歳の年齢で 親族と繋がってる様子は一切ない。僕も同じである。ここにいるを知っているのは地元の仲間だけで口外しないようにしてもらってる。母親が心配してるのは分かるが知られたくはなかった。別に仲が悪いとかではなく、身勝手で判断できないから逃げていたにすぎない。
休日 僕は朝食と昼食とボルビックをコンビニに買いにいっただけで一日中 寮にいた。半数ほど出張で不在、残りはスナックからの朝帰りで夕方まで起きてこない 僕は日だまりで自然環境に富んだ寮からの景色を眺めてる。そこへおニューのデニムのセットアップの作業服で決めた山さんが部屋から出てきた。山さんは僕が入社して間もない頃は物言いが気に入らず敵対心があったが、徐々に仕事の技術が上がるにつれ認めてくれるようになり半年ほどで僕のほうが出来ることは多くなった。山さんも休日前にはキレイな作業服でドコモのPの携帯を持って出る時は「はい 山内携帯」と言って 行きつけの寿司屋に行く 行きつけの寿司屋にみんなを招待したいと連れてってくれたりする。古くこじんまりとしたお店だけど、打ち水をした入り口に寿司屋にある独特のみずみずしさも気持ちよく かっぽう着の女将さんもいて、昼から飲んだビールも上手くいい思い出である
山さんはその日は珍しく昼から外出するようで愛車のセフィーロの室内を片付けてると所長が「山内 郵便あるぞ」と言って渡した。寮に届く郵便物は所長の部屋のポストに投函され、所長が各々に渡す。山さんはその郵便物を手に取ってそのまま破り捨てた。「えっ」と僕は思った封も切らず捨てることなんてあるのだろうか 僕はいまだかつて内容を確認しないで封書を捨てることなんてなかった。山さんがセフィーロで山道を下った後、僕は捨てられた手紙を見た「国民年金督促状」と印字されていた 納得したがその時は見ずに捨てる行為は特別だった 山さんはぴんから兄弟の宮 史郎似の愛すべき人である。