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なぜテレビを辞めたか

近しい人には報告をし、Instagramでも書いたのでご存じの方も多いと思いますが、9月末日をもっておよそ5年間所属していた制作会社を退職しました。
別に誰かに理解してもらいたいというわけでもなく、自分なりの労働と創作と報道の総括として、なぜ僕がテレビの制作会社を辞めたのか書き記しておきたいと思います。

暇な人は暇つぶし程度に読んでいただけたら幸甚でございます。

理由①:業界の衰退

もう散々言われていることですが、テレビという業界はスマホ、SNSが普及し始めた10年前から凋落の一途を辿っています。あらゆるコンテンツがマスから個へと推移しました。あらゆるコンテンツ、嗜好、真実、がソーシャルからパーソナルへと移行し、世界は“真実のその先”で飽和している。全ての正しさが消滅したpost-truthの時代、ポストポストモダンの時代に、マスメディアというものは圧倒的に不利なのは間違いありません。
報道は真実の弁証より敏捷性が重視されるし、専門的な立場からの知見よりもあくまで受け手の感情的充足感を満たすことが優先されます。
事実、スマホ世代と言われる層のテレビの視聴率は減少傾向にあり、テレビのメイン視聴者層は、F3層(50歳以上の女性)、M3層(50歳以上の男性)になっています。その結果、番組の指向性も3層をメインに据えているのが夕方の報道番組の現状です。若者はどうせ見てくれないから爺さん婆さんがチャンネルを変えないようなものを作ろうということです。短期的に見ればそれは正しい判断かもしれません。しかし、長期的に見れば賢い戦略とは言えないと思います。今のように3層ばかりに目を向けていたら、今の3層が世代交代する10〜20年後一体誰がテレビを見るのでしょうか?若者のテレビ離れが進んでいるとしても、やはり若い世代にも食い込んでいかないといけないのではないでしょうか。でも今のテレビ(特に情報や報道)はそれをやっていないので確実に衰退していくと考えています。ならばテレビ以外の映像の力と人脈を作っていかないと数年後食いっぱぐれを喰らうことになるでしょう。テレビが力を失っても映像というものが力を失うことはないです。以上のことからネットの映像分野にも進出していこうという気持ちが大きくなりました。

理由②:番組への不信感

番組やテレビ局への不信感が大きくなったことも理由の一つです。目先の視聴率に飛びつくだけの企画、取材対象者や視聴者への影響を考慮していないナレーション、削るべきではない部分での制作費のカット、やりがい搾取のようなスタッフの扱い方、これら全てに嫌気がさし、嫌悪するようになったため、これ以上は続けられないと感じました。
僕たちが取材した方がネットで炎上した時も、それを気にするスタッフはいませんでした。マナー違反をしている人を安易に外国人と名指しするナレーションもそれが原因でヘイトや偏見を煽ることへの懸念を充分に考慮しているとは思えませんでした。僕はグルメもののVTRを制作していた時、こだわりを持って制作をしていました。少しでも見た人が美味しそうと思ってもらえるよう、お店の人が喜んでくれるよう、美味しそうに撮るためには努力を惜しみませんでした。しかし制作費不足から外部カメラマンの発注が禁止されました。仕方がないので自分たちで一眼レフやシネマカメラで撮影をするようになりましたが、今度は機材のレンタル費が高いと言われるようになりました。プロデューサーには「美味しそうに撮る必要があるんですか?」と言われました。これは流石に怒りに震え、やめちまえと思いましたが、プロデューサーを辞めさせることはできないので、僕がやめちまうことにしました。
制作費がないのは仕方がないことですが、取材させてもらっている料理を美味しそうに撮るのは当然のことですし、それができないならそもそも取材すべきではありません。

理由③:自分の力を伸ばしたい

3番目の理由は唯一ポジティブな理由かもしれません。①の理由とも重なる部分ではありますが、ネット分野や配信分野のニーズが高まるなかで、配信に関する力を伸ばしたいと思いました。
これからの時代はなんでもこなせるマルチな人間にならなきゃいけないと思っています。能力ももちろんそうですが、人脈や活躍するフィールドも一つではなく、複数持っておくことが必要で、そうしないと自分のニーズがAIに奪われたり効率化されたりした時に詰みますし、こんなことはない方がいいですが、自分が活動していたフィールドにいられなくなった時に、ゼロからのスタートになってしまいます。
だから僕は配信に挑戦しようと思って転職し、今まで通り映像作品も作ります。細々と作家の活動もやっていきます。ラジオのディレクターもやります。いろいろ挑戦して様々な力をつけて、メインフィールドを見つけられるように頑張ります。

途中愚痴っぽくなってしまいましたが、これが僕がテレビを辞めた理由です。
かなり個人的な話になって退屈だったでしょう…

次回からは批評をちゃんとあげていきますし、noteも月一くらいで更新できるようにしたいです。

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