卒業前夜の吐き溜め
現在2月28日22時45分。卒業前夜。
仮卒期間を経て、久しぶりに教室にクラスの面々が揃った。卒業式の予行演習をして、卒業アルバムをもらった。
こういう時「名残惜しい」と感じる。のが普通。でも私は名残惜しいとは感じなかった。最後の日であるのにも関わらず、教室はいつも通り息苦しく感じた。
私はずっと、学校という場所が苦手だった。楽しそうなキラキラした学生に馴染めなかった。流行りの音楽にミーハー的な感情を抱くことはできなかったし、同年代がかっこいいというような明るい男の子には魅力を感じられなかった。
バズマザーズのスクールカーストとかハンブレッダーズのDAY DREAM BEATとか、日陰に寄り添ってくれる音楽を聴いて「自分の歌だ」と思うような学生だった。
駅から学校まで歩いて移動する間も、教室で朝のホームルームが始まるのを待つ時間も、話す友達はいなくても「こんなにかっこいいロックバンドを聴けるんだから1人がいいや」とか思ってしまう捻くれた学生だった。
そんな私は「名残惜しい」と感じられない代わりに、なんだかほっとしている。
山田亮一の言葉を借りるなら「登校中、改札を抜けるだけなのに、荒野を行く兵法者みたいな気分」をもう味わわなくて済む。
女子高生とか、Z世代とか、私には似合わない代名詞で出かけなくていい。それが1つの安心材料。明日の卒業式を耐えれば、もっと楽になるかもしれない。
ちなみに私は小学校の卒業式も、中学校の卒業式も、終わってすぐに逃げるように帰った。
こんな私にも、学校に唯一居場所があった。吹奏楽部。ここだけが私が安心していられる場所。部活がなかったら、退学してたかもしれないし、出席日数が足りなさ過ぎて卒業できなかったかもしれない。
部活が生活からなくなることだけが、私の心残り。
3月末の演奏会までは部活が続く。演奏会は楽しみなのに、いつまでもその日が来なければいいのに、とも思う。
学校の集団生活に適応できなかった日陰の女子高生の吐き溜め。