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逃げ恥 ガンバレ人類!新春スペシャル!!に思う 2021年以降の世界のあり方
シンプルに新垣結衣と星野源の可愛らしさを求めてみたら、期待の斜め上をいくすごいドラマだった。
なにがすごいかは、下記のツイートがわかりやすくまとめていたので貼っておきます。
逃げ恥2021、たった一回の放送で扱っているテーマまとめ
— DAI (@never_be_a_pm) January 2, 2021
・選択的夫婦別姓
・セクシャルマイノリティーと結婚
・子宮体癌
・男性の育休取りにくい問題
・コロナ禍リモートワーク
・男性への性別役割押し付け
・計画的無痛分娩
120分でこれだけ盛り込んでいるの本当すごい。
予告CMで妊娠出産のことを取り扱うのは知っていたので、
「ええっ、お正月で一家団欒をしている人が多いであろうこのタイミングで、ヘテロセクシュアル夫婦の結婚妊娠出産をテーマにしちゃうの!?大丈夫!?結婚したくてもできないひと、妊活してるひと、不妊のひと置いてきぼりにならない!?結婚してるけど子供作らない(作れない)女性が親や姑に嫌味言われるきっかけにならない!?!?」
などと、本当にお節介なそわそわを胸に見始めたのですが、それは杞憂に終わる結果となりました。
最終的には、いろんなアイデンティティをもつひとのいろんな生き方に触れていて、どの考え方にもリスペクトと愛があってよかったと思います。
具体的には
・妊娠をきっかけに事実婚から、籍を入れ夫婦に親になることを選択したみくりさん(25歳)と平匡さん(36歳)
・50を超えても結婚をせずキャリアを極め、病気になってもひとりで手術を乗り越えてしまうゆりちゃん(52歳)(生涯男性経験がなく、癌の結果として子宮摘出)
・そんなゆりちゃんを好きだった、レズビアンの伊吹さん
・はたまた、そんなゆりちゃんと付き合って別れたイケメンハイスペックだけど恋愛迷子系男子の風見さん(27歳)
・歳の差ゲイカップルの沼田さんと梅原くん
・2人の子供のパパで、家族だいすきな日野さん
主人公2人の選択や行動だけでなく、いろんなアイデンティティを持つ周りの登場人物の発する言葉が、ハッとさせられるような名言が多い。
なんかいろんなテーマを盛り込むなぁ。
— はずれスライム (@39373orz) January 2, 2021
#逃げ恥 pic.twitter.com/XHNfflOEJg
冒頭にヘテロセクシュアルカップルを基軸にストーリー展開がされることへの不安があったと書いたけど、実際はそれが全面に押し出されることなく、他のそれぞれの人生を生きている人たちの葛藤、良い意味での諦め、そしてマイノリティであってもそれと向き合って腹落ちして生きていこうとする姿勢が、ポツリと呟かれるセリフに込められていて本当に良かった。
いろんなひとがいろんな部分で共感しつつ、自分とは違う価値観を知り尊重できるよう仕向けられた構成だったと思います。
普段は日本のドラマをあまり見ないので(決まった曜日時間にみるというルーティンが苦手)野木亜紀子さんの作品をもっと見てみようと思いました。
逃げ恥や野木ドラマを観る人と、拒否反応を示す人たちの分断が徐々に可視化されてきていて苦しい。「光が当たってこなかった痛み」と「それに寄り添うメンタリティの選択肢」を提示されただけで嫌悪感を抱く人にはもう何を言っても届かないのかもしれないという絶望感、徒労感との闘いが次のステップ。
— B面(大島育宙/コンテンツ全部見東大生) (@zyasuoki_b) January 2, 2021
4大好きなドラマは「アンナチュラル」「最高の離婚」「リーガルハイ」「逃げ恥」。
— 辻愛沙子|arca (@ai_1124at_) January 2, 2021
物語の軸部分だけじゃなく、本来入れなくても良いような何気ないセリフで社会に対してクリティカルなメッセージを入れてくる所がどれも本当に好き。
アンナチュラルに至っては、好きすぎて各話の神台詞をメモってる🙏🏻 pic.twitter.com/qLzlM9Pvzw
そしてこのドラマの功績は、今までマスメディアやエンタメで切り込まれてこなかった社会課題を直球で提示したことだよね。(YouTubeやネットやTwitterではなく、お茶の間に届くメディアという意味で)
逃げ恥、
— あつたゆか | ふたり会議 (@yuka_atsuta) January 4, 2021
・育休にさも当然な態度はいかがなものか
・切迫流産でもないのに会社を休み、家事もやらないみくりはモンスター妊婦
・たいして苦労してないのに権利ばかり主張
などの感想を見て驚いた。そりゃ少子化になるよなあ...と悲しくなるけど、こういう呪いを少しずつ解いていきたい2021 pic.twitter.com/ehcHMonshV
もちろんいろんな価値観の人がいるし、何に対しても普遍的な正解は無いと思っている。ただ、このドラマの定義したテーマにどう反応するか、つまり、新しい価値規範に理解ができないものとして拒絶をしめすか、すべての人が生きやすい社会を目指して議論をする姿勢を示すかは大きな別れ目だよなあ。
「〇〇な人に見て欲しい、考えて欲しい」という感想を多く見かけたけど、たしかにこれをリトマス試験紙のように使うのはいいのでは。
(もし私も彼氏、夫、子供がいれば見せていただろう)
4年前にドラマが放映されたときからアップデートされた考えも制度もあったと思うし、いまだに実現されないものもあるだろう。(選択的夫婦別姓もそのひとつだよね)
残された課題も、今後速いスピードで議論されていくことを願うし、あまりそういったものに普段関心を持たない人たちもこういったエンタメを通して、考えるきっかけになったらいいなと願う。
そしてより多くの人が、無意識のうちに自分を縛り付けている呪いを解くきっかけを得ることができますように。
逃げ恥を見た5年前から
— あや☺︎ (@AYA19970922) January 2, 2021
ゆりちゃんの言葉を心に刻んで生きてる pic.twitter.com/kPO5GlD4Bt
26歳独身彼氏なし、結婚出産の予定なし、東京で単身一人暮らしをして生計を立てている身としては、みくりさん夫婦というよりもゆりちゃんを自分の将来像と重ねてしまった。
社会で1人で生きていく選択肢って、大変だよなあ。みくりが妊娠してる対比で、パートナーや家族のサポートなしでひとりで子宮摘出するゆりちゃんすごすぎるなあと思い。
これに対して、東京(実際は横浜なのかな?)に住んでいることと、経済力があるからこそできたことだよという意見を耳にした。
じゃあ女性は、家族を持たないのであればお金を稼がなければいけないのか。(もちろんそれは男性も同じだけど)だったら男女の給与や昇進のスピードの格差の問題はどうなる?家族もなく結婚もせず、キャリアも築けない女性は社会的に弱者ということになる?そういった人々への社会的救済措置は?
コロナ禍で若い女性が貧困に苦しむ現状も、そういった社会構造のねじれからきているのだろう。
社会が変わるように声を上げていくべき一方で、自分の首を絞めない賢い選択をしていく必要があると、新年早々考えさせられました。
そのためには情報のインプットが必要なので、やはりそういう意味で多くの社会課題をテレビドラマでポップに取り扱ったというのは、偉大なことだったのだろう。
ああ、改めて、すごいドラマだった。