読書ログ:人生のピークを90代にもっていく
良い人生とはプロセスであって状態ではない、方向であって目的地ではない。
心理学を学んだ著者の本だけあって、研究結果に基づいたノウハウがまとまっていて参考になります。
タイトルが示す通り、人生100年と言われる現代で90代が人生のピークになるように、その心構えや方法を解説した本。加齢とともに幸福度も相関して上がっていくと、歳をとるのが楽しくなりますね。
90代をピークに持っていくためには3つ意識すると良い。①人生の午後を楽しむ、②幸せの自給率を上げる、外部からもたらされる幸せに依存しない、③成長、革新し続ける。
なんとなく聞いた話ばかりで、実はこの本にあまり期待していなかったのですが、面白い気付きが多くありました。
具体的には、①メンタルモデルを変更する方法、②時間は3種類に分類できる、③幸福をもたらすのは実は配偶者・子供よりも友人関係、の3つが特に印象に残りました。
①メンタルモデルを変更する方法
メンタルモデルとは、要はブレインロックのこと。あの人はxxだと言う単軸評価から、あの人はxxだけどこういうところは良いと言うような多面的な見方をする。
メンタルモデルを変えるには、❶気づくことと❷ゆるめることが必要。
例えば、何かに怒ったり落ち着かない気持ちになった時は、自分のメンタルモデルに気づくチャンス。家族がXXしてくれなくて怒った時は、自分の中に「家族はxxするべきだ」というメンタルモデルがある証拠。
それに気づいたら、まずは自分のメンタルモデルを認め、それが普遍的なものなのか、いつでもどこでも守られなければならないのか考えてみる。
「家族は自分の部屋を整理整頓するべきだ」というものなら、病気の時や忙しい時もするべきなのか、毎時間毎日するべきなのか、例外はないのかなど考え、すこし思い込みをゆるめてみる。
自分の前提やルールで動きがちな私には、とても有用なアドバイスでした。
②時間は3種類に分類できる
人生の贅沢とは、自分の時間を好きなことに費やせること。
そして時間には3種類ある。生産的な時間、感性と喜びの時間、社会のための時間(ボランティアや地域活動小さなものでも良い)。
若い時は生産的な時間に時間を費やしがちなので、年齢と共に時間のバランスを見直すことを著者は勧めています。
仕事人間であった著者の大きなプレインロックとして、「自分だけの楽しみのために時間を使うのは良くない」との思い込みがあった。休暇さえ、「仕事の効率を上げるためのリフレッシュ期間」と捉えたりして。私もややこの傾向があるので気を付けたい。。
生産的な時間には、やりたい生産的なこととやりたくない生産的なことも含まれていますよねー。やりたくない生産的な時間を減らしていくのも課題です。
③幸福をもたらすのは、実は配偶者・子供よりも友人関係
ロバート・ウォールディンガーのTED「人生を幸せにするのは何?」でも語られているように、幸福な人生とは、良い人間関係に恵まれているもの。
ロバート・ウォールディンガー: 人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から
ただ、配偶者や子供との関係からよりも、友人関係からの方がより幸福がもたらされるという研究結果があるらしく驚き。でもこれは、良い友人関係を持てる人は、その他の家族とも良い関係が築けていることがベースにあり、家族の輪より広い充実した人間関係が築けているという事なのかもしれませんね。興味深い研究です。
充実した人間関係形成のコツとして、❶思いや感情に寄り添う、❷依存しすぎない、❸どの人とどれだけ付き合うかを自分でコントロールするという点が挙げられていました。
いろんな世代と付き合うことや、「はず」より「かも」を念頭に置き相手への期待を下げることなどにも取り組んでいきたいです。