“いいんですか? そんな事してしまって?”編
いざ、一か月間の成果を見せるとき!
前回の記事では頭突きのことばかり記したが、本田には他にも特異で、相手が不慣れであれば対応しにくい強力な技が沢山存在する。
強力な対空手段を有していなければかなり対処に困る百貫落とし、ガードされても本田側が有利な展開を維持できる百裂張り手、極めつけは、ヒットした瞬間相手を画面端に運搬して本田が超有利な状況から仕切り直しする大技、岩戸開き。
戦いの中で相手との明らかな実力差、経験差を感じながらも、上述した技の数々が俺の実力に大きな下駄を履かせてくれ、3本先取の戦いは2-2且つ、フルラウンドまでもつれ込んだ!
こちらが格下なのだからどっしり構えたりせず、このままやぶれかぶれでも、混乱に乗じる形でもなんでもいいから勝ちを拾ってやる! と意気込み攻め立てたが、、、!?
負けてしまった、、、
この勝負を思い返すと、当時は本当にボタンを押して、技を出す事以外に何も考える余裕がなく、相手の無敵技※を全くケアできず、簡単に攻めを切り返されてしまっていたのが大きな敗因だった。
※文字どおり攻撃中に無敵状態になる技(持っていないキャラも一杯いる)。相打ちの状況でも一方的に競り勝て、強引に敵の攻撃を切り返せるが、ガードされると尋常じゃない隙を晒すことになるハイリスクハイリターンな技。当時の俺のように、馬鹿の一つ覚えの如く攻撃一辺倒な人間には非常に有効な技。
ただ、正直な話この結果には大満足だった。 始めて一か月ということを考えると、相当良好な成長速度ではないか? というのが率直な感想だったのだが、、、
時は数日経ち、また同じ先輩と戦う機会(今度はオンライン対戦じゃなくオフライン)があったため、今回は無敵技の警戒意識を高めれば勝てるんじゃないか!?
と思い意気込んで臨んだのだが、、、
全く勝てないッ! 無敵技云々とか関係なく勝てそうな兆しが全くない!
この日は、普段アケコンを使っている先輩がパッドを使っていたという大きなハンデがありながらも、この体たらくだった。
そもそもこちらの攻めが全く通らないのだ。以前の戦いは、相手が本田の特殊さに慣れていないから偶々攻めが通っただけで、慣れられた途端に冷静に対処されるようになってしまったのだ。
一方向こうの攻めは、鬼のように通りまくる。一度触れば気絶※まで持っていくレベルまで通る。頭突きばっかりで楽に勝っていた俺はディフェンス面が本当からっきしダメだったのだ。
※短時間に攻撃を食らいまくると気絶し、フルコンボが確定するぐらいの隙を晒す。
なんともまあ因果応報なやられ様。「俺より弱い奴と戦いたい。」という最初の誘い文句のとおりボコボコに連敗を重ねる俺。攻撃の糸口を掴んだと思った矢先、折角掴んだチャンスを逃したくないと前のめりになり、先述した無敵技で切り返され苛立つ俺(対戦前に言っていた、無敵技を警戒するとは何だったのだ?)。
悔しさ、苛立ち、不甲斐なさ等の感情が俺の中で渦巻いていたが、そんな感情とは比較にならないぐらい大きな想いが俺の胸中を支配していた。
「いいんですか? そんな事してしまって? そんなにボコって俺に火を付けてしまったらすぐに強くなってしまいますよ?」という、思い返すと少々尊大な感情だった。
正直な話、そこまで練習をしないでも頭突きで楽に勝て、3本先取もギリギリまで食い下がったという事実が胡坐をかかせ、真摯に練習していなかった自負がある。
しかし、このボロ負けが心に火を付けてしまった、、、
そして、何をすれば上達するかという具体的なイメージが湧いていたため、強くなる未来の自分を想像するのが楽しみで仕方なかった
つづく!
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