かっこいい姉
せっかく妹がいる環境だ。
どうせならかっこいい姉、みたいのを一度はやってみたい。
年の差もそこそこあることだし、妹が学生のうちにやってみたいことがある。
学校の近くに車で迎えに行って、クラクションを軽く鳴らして合図をしてみたい。
バリキャリ感出して。
「早く終わったから迎えに来た。ご飯食べに行かない?お友だち?妹がお世話になってます」
って言いたい。
古いと言われようが漫画的と言われようがやりたい。
車持ってないけど。
免許もないけど。
かっこいい姉といえば、子どものころ、妹の教室に忘れ物届けに行くことがあった。
妹のほうが準備が早く、家を出るのも早いから、のんびり準備をする私はちょくちょく妹の忘れ物を届けに行くことになる。
体操服やらお弁当やら手提げ袋やら。
妹の教室をのぞき込んで妹を探す時点で、注目の的なのだが、これはあまり好きではない。
なのでクラスに入っていく子に声をかけて妹を呼ぶ。
出てきた妹に忘れ物を渡してミッションコンプリートだ。
妹が友だちに優しいお姉ちゃんだねとか言われてるのを振り向かずに颯爽と自分の教室に戻る。
これはかっこいい姉だ。
ドヤ顔をしていい。
私は優しくてかっこいい姉になりたかった。
妹が小学生くらいまでなら、年の差でごまかせたが、もう無理だ。
かっこいい姉になるには免許と車が必要だ。
あと、身長と化粧とヒールも必要だ。