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真鶴
ここ数年、年末は漁港に行くことが多くなった。
その理由はまだよくわからないけれど。
今年は真鶴。
「マナ」というと太平洋の島々では「神秘の力」という意味があったり、キリスト教では神が天から降らせた食べ物だったりと、原始信仰の中でその音が何か意味を持つ音。
真鶴も当て字で、もとはその音に意味があったのではと思う。
「マナ」が「出づる」場所。
くねる道を歩けば、角を曲がるごとに、高低差の変化に富んだ街並みや海が目に飛び込んできて、たのしい。
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貴船神社という名も、後で勧請した名で、元は貴宮(きのみや)大明神を祀っていたとか。もとの音が残るといいのにと、よそ者は勝手に思うけれど、地元の方々はどう思っているんだろうか。次回訪れる際は、お話を伺ってみたい。
その貴船神社の中に、稲荷社があり、元々祀っていた稲荷社に各家庭の稲荷を合祀したそうで、神さま同士がわちゃわちゃ井戸端会議をしているように見えた。
神さまは全知全能ではなく、人間とはできることとできないことが違うだけ。ほんとうにそう思う。
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岩が黒いからか、人の世界の外れという感がある海辺へ。この先は太平洋。先月行った瀬戸内海とはだいぶ趣きが異なる。もちろん玄界灘とも。
海辺の取り残された潮だまりには、クサフグが何尾かお腹を上にして浮いていた。取り残されて命を落としたのか、それとも骸が浜に打ち上げられたのか。
近くでは、セキレイやクロサギ、ユリカモメが食事をしようと狙っている。
海は、生きるものも、骸も、食事も、不要な排泄物も、すべて吞み込んでたゆたっている。
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街も行きと帰りで景色が違って見える。これは神社と同じ。
半島全体がそんな地なのか。マナヅル。
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