新宿で出会ったデベソのおじさんの話
※さしたるオチはないです。ノンフィクションです
今から1年前ぐらいのことだった。夜の新宿を無駄にフラフラしていたら、3丁目の飲み屋街のあたりで見知らぬおっさんに声をかけられた。普通に怪しい上にイヤホンをしていたので会釈だけして通り過ぎよう…と思っていた。
そしたらおっさん無限に着いてくる。
めっちゃ手をブンブンして存在をアピってきた。何この人?立ち止まりイヤホンを外すと、おっさんは訥々と言葉を発した。「すみません、少しだけお時間いいですか…聞きたいことがあるんです」
おっさんは60歳前後くらい、中肉中背で少し小汚い、しかし優しそうな物腰の人だった。
声をかけられた場所がまぁまあ人通りがある所で、もし危ない目に遭っても大声出して逃げればええか…と思いつつ、本当に困ってます〜的アトモスフィアがあったのでとりあえず話を聞くことにした。
しかし、おっさんからの質問は予想の斜め上のものであった。
「デベソの平均サイズはどのぐらいだと思いますか?」
?何言ってんだおっさん????
聞くところによると、おっさんは役者さんで、デベソ。次の公演でデベソの人がストーリーに出てくるので、おっさんがデベソ役に選ばれたそうだ。しかし、脚本の人に「思ったよりデベソが大きいですね…」とデベソ具合に文句を言われたらしく、おっさんは落ち込んでしまったらしい。
デベソ役が必要はまだしも、人のデベソ具合にケチつけるってどういう状況?????おっさんはデベソの平均サイズを知ってどうしたいんだろうか????それ聞いて何かなるんか??????
話が込み入ると面倒なので何も質問出来なかった。とりあえず、「デベソ見たことないから分からないです。予想で答えるなら1センチぐらいだと思います」と答えた。
おっさんは一言、
「そうですよね〜。」
と答えた。
?????そうなのか〜(混乱)
そうこうしている内におっさんは「いやね、私の役がデベソなもんですからね、」と再び状況を語り出した。いやそれさっきも聞いたよ。まくしたてている内に満足したのか、おっさんは「いや、お時間取らせて申し訳ない。ありがとう、ありがとう、ありがとう…」と無限にお礼を言いながら突然どこかへ去っていった。
いえいえ、どういたしまして。
よく分からんけど強烈な思い出が出来てしまったなぁ。面白かったなぁ。帰りの電車でおっさんのことを反芻していた。
そういえば、おっさんの公演見たかった。
突然のことに呆気に取られて「てかその公演どこで見れますか見に行きたいです」って聞き忘れた。
今からでもいい、おっさんはそのあとどうなったのか、楽しく役者をやれているのか聞きたい。あわよくば普通に公演が見たい。
デベソで役者のおっさん、そしておっさんの関係者、もしくはそれっぽいおっさんを見た方、ぜひコメント下さい。
〜完〜