フルリモートの特許事務所は実現可能か
リモートワークを支えるツールを紹介
わたしたちが今働いている事務所は完全ペーパーレスを目指して様々なツールを活用しています。
事務所内のやりとりはSlack、管理データベースはrootip、請求書発行はマネーフォワードを使用し、インターネットに接続できる環境さえあればどこでも仕事ができるようにしています。
日々の業務の中心はSlackです。Slackで技術担当者から出願や中間応答の指示が来て、事務は自分のパソコンで庁提出用書類を編集して特許庁に提出します。費用はマネーフォワードで請求書を発行し、お客様へはメールやSlack、Teamsなどで手続き完了のお知らせとともに送信します。
紙の書類はほんとうにないの?
紙の書類はありません。
代わりにGoogleドライブ上に顧客ごと、案件ごとのフォルダを作成し、すべて電子データでそこに保存し共有しています。紙書類の保管場所(スペースの確保)や管理に悩まず済むのは助かりますが、ファイルに付箋をはったり包袋の表書きに注意事項を書いたりできないのは、事務方からすると地味に不便です。その問題にどう対処するのがよいのかを考えるのも、ちょっと楽しかったりします。同じような悩みを持っている方からの情報をお待ちしています!
特許庁への提出書類はどうしているの?
インターネット出願ソフトを、事務担当者全員のパソコンにインストールし証明書の設定をしています。これで事務担当者ならだれでも庁への提出書類がオンラインで提出できるようになります。
紙での提出が必要な委任状や手続補足書、各種証明書や宣誓書などは、事務担当者が自前のプリンターで出力して郵便局に持参しています。押印廃止になった書類も多いので捺印のためだけに出社することも激減し、それほど頻度は高くないので大変ではありません。
リモートワークでは郵便物はどうなるの?
都心にあるオフィスに日々配達される郵便物は、アルバイトさんに整理をお願いしています。
週に1~2回出社してくれるアルバイトさんには、郵便物の種類・宛先ごとに異なる対応をしてもらっています。たとえば弁理士宛のニュースレターや弁理士会からのお知らせだったら、アルバイトさんがスマホで写真をとってSlackにアップして報告した後に、各人の郵便物トレーにふりわけてくれます。ある程度郵便物がまとまったら自宅へ発送したり、首都圏在住の社員なら自ら事務所に回収に行ったりします。
特許庁からの郵便物はすべてスキャンしてPDFにして、所定のフォルダに格納してもらいます。それを事務方が確認後、電子データを回収してしかるべきフォルダに格納したり、必要なら技術担当者へ報告したり自宅へ転送してもらったりしています。(※情報セキュリティの観点から、アルバイトさんがアクセスできるフォルダやSlackのチャンネルは限定しています)
リモートワークで使うPCや周辺機器は自前?
弊社では、社員に対しては会社から業務専用のノートパソコンが支給されます。ディスプレイやケーブル、キーボードやマウスなどについては費用を会社が負担してくれています。わたしは自分がもともともっていたプリンター(スキャナ機能つき)を業務に使用していますが、印刷用紙やトナーの費用は会社から出ます。
会社のお金で購入したこれら周辺機器は、退職時にはもちろん会社に返しますが、消耗品は状態によっては返却されても迷惑になることもありますのでそこは都度相談となります。
なお、仕事で作成する各種アカウントはプライベートで使っている個人のPCから開くことは禁じられています。特許事務所の扱う情報の機密性の高さからいって、これは当然ですね。特許事務所のリモートワークのハードルが高いのは、情報管理の点からの不安材料が多いからかもしれません。
出社頻度はどれぐらい?
頻度としては1カ月に1回あるかどうかといった程度です。
捺印が必要な書類や高額な印紙を貼付する書類などは、やはり出社しての作業が避けられません。また、電子データ化済みの郵便物(原本)の定期的な整理も必要です。その場合は首都圏在住の事務担当者が出社して作業をします。
出社して作業してくれる人がいるのといないのとでは、事務所内の整い方が違います。やはり普段人のいない事務所は乱雑になりがちなので、リモートワークといえど気をつけておきたい点です。
これも「うちの事務所はこんな風に工夫しているよ」というコメントなどいただけると嬉しいです。
こんな感じの環境で日々働いています。
Slackでのテキストコミュニケーションは難易度高く感じることも多々あり、試行錯誤しています。あふれるメールフォルダ、メーリングリストの管理なども悩ましいですが、自宅から働ける快適さのほうがまさります。
各ツールを実際につかってみての感想なども、また投稿したいと思います。
「ほかの事務所はどうやっているの?」って知りたいですよね。わたしたちも同じです。それならまずは自分からということで、こんな情報発信をしています。今週金曜日(2022/04/22)には勉強会…といいつつ【特許業務法人から弁理士法人へ・事務所名称変更に伴うあれやこれやの情報交換会】を予定しています。特許事務所で働く事務方さんなら誰でも参加OKです!zoomでお話ししてみませんか?
こちらからお申込みいただけます。
https://forms.gle/QisDtEbeZs8FZs6E7
written by Rika