Responsibility Evaluation in Vehicle Collisions from Driving Recorder Videos
2023年度研究会推薦博士論文速報
[知能システム研究会(ICS)]
YAWOVI Agbewonou Helton
(DASHMAKE 最高経営責任者)
邦訳:車両対車両衝突事故におけるドライブレコーダ映像に基づく責任評価手法について
【背景】画像による交通事故責任割合評価に課題
【問題】夜間・悪天候時など画像のみでは情報不足
【貢献】オープンデータによる情報補完技術を実現
交通事故は世界的にも重大な懸念事項であり,安全性を向上させるためには革新的な解決策が必要である.交通事故の発生後,警察にとって当事者の責任を判断し,犯罪行為と非犯罪の事例を区別することが非常に重要である.また,保険会社も被害者に対する補償のために警察の判断に頼っている.事故後の責任の評価は,道路規則の高度な知識を必要とする複雑なタスクであるが,警察が責任の評価を完了するのに3日から15日かかり,保険会社は最大30日かかる.道路と交通信号機のみのシンプルなシナリオの場合,その評価は迅速で容易である.しかし,交通標識のない状況における事故では,専門的な知識が不可欠になる.
本研究では,クラッシュ動画内の車両衝突を検出し,運転者の責任を評価するためのオリジナルの責任評価プロセスを実装したシステムを提案した.これにより衝突事故の正確で迅速な評価を提供し,公正な責任の帰属を容易にすることを目指す.2台の車が関与する対向衝突を対象とし,衝突発生後数分以内に評価結果を警察と保険会社とシームレスに共有する.本システムは,衝突検出に対してオブジェクト検出を使用し,知識ベースのルールシステムと責任評価のためのオリジナルのアルゴリズムとプロセスの組合せから構成される.責任評価プロセス全体は次の4つのステップからなる:
(1)クラッシュ動画内での衝突時刻の検出
(2)クラッシュ動画内のすべての交通信号機の識別
(3)オープンデータからの道路情報の取得(必要に応じて道路の幅や他の交通標識の存在など),情報の分析と処理
(4)道路規則,車両速度,および方向をもとに知識ベースシステムを使用した各当事者の責任推定
高度な画像処理技術を使用することで,本システムは迅速に衝突事件を検出し,運転者の責任を分析する.オープンデータの統合により,道路環境の文脈をより考慮し,特に夜間の交通信号機のない状況での責任評価の性能を向上させた.
本システムの既存のものに対する重要な違いと利点は,警察・損害調整者・被害者自身のための責任評価の自動化だけでなく,車載システムとして適用可能であることである.本研究は,機械が自動的にクラッシュ動画内で運転者の責任を評価することを初めて実現するものの1つであり,自動車の自動責任評価の先駆けと基盤の一部として機能することが期待される.
■Webサイト/動画/アプリなどのURL
https://github.com/heltonyawovi/car-crashes-responsibility-assessor/tree/main/models
(2024年6月1日受付)
(2024年8月15日note公開)
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取得年月:2024年1月
学位種別:博士(工学)
大学:名古屋工業大学
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研究生活 保険会社からの遅延補償に関する不満を経験したことから,この研究テーマを選びました.このような研究を行うことで,私のような多くの人々が保険補償を迅速に受け取るのに役立つ解決策を提供できると考えました.研究の過程では,多くの情報を収集し,膨大な量の文献を分析しました.また,技術的な課題に取り組み,研究手法を洗練させることに苦労しました.博士課程を進む皆さんへのメッセージとして,研究は長い道程であることを覚悟してください.しかし,その過程で学ぶことや発見する喜びは計りしれません.自身の研究に真摯に向き合い,常に問題解決への情熱を持ち続けてください.