ナラティブでオルタナティブでリジェネラティブなもの

阪神がアレした夜、一年の振り返りをサンテレビと一緒に過ごした。
実は桧山進次郎が引退した時、ボクは阪神ファンとして勝手に一区切りをしていた。野球選手は好調も不調も当然あり、どれだけの共感力を持って多くの人の心を震わせるかにある。打てない4番、たまに出て活躍する代打であっても、そこにナラティブを感じたらファンは神様と崇める。

去年の今頃、岡田彰布は監督として阪神に復帰した。2008年の大きな彼の失敗、いや不運を埋めるためにはめちゃくちゃ長いブランクでもあった。その間、阪神タイガースは真弓、和田、金本、矢野を監督に擁立した。2位3位を彷徨く姿にファンはJoshinくらいしか居なくなった。いや、電気屋さんで勝った翌日にはポイントをもらえるだけの球団になろうとしていた。

と言っても潜在的なファンは多く、甲子園が埋まらない日は少なく、他球場でも読売より阪神の方が人気球団で、グッズも売れ、選手の名前もまあまあ売れてはいた。しかしながら放送局、新聞を持たないチームは知名度もファンから飛び出ることもなく、地方のコンテンツの一つ、ただただ阪神ってこんな球団、阪神ファンってこんな生き物みたいな見られ方になりつつあった。

今年の阪神は強かった。岡田監督の言う普通にやってたらこのチームは強いんよって言葉に選手たちは何かを感じ取っていた。打てない恐れや野次を飛ばされる劣等感、次々と責任を取らされる首脳陣たちを横目に、メジャーに行けたら良いなとか体を壊さないでこのまま現役を長く続けようとか邪念が生まれようとしたその時、今年の阪神にはアレしなきゃ行けない理由、野球を続けることができる喜びを痛いほど感じる出来事があった。横田慎太郎の早すぎる死だった。この2023年のアレを結びつけるには大きすぎる7月18日だった。28歳で終わってしまった野球少年の人生を見て、多くの選手は前を向き直した。自分自身のキャリアを見つめ直したんじゃないだろうか?誰のために野球をやってるのか?

阪神ファンがサンテレビを支持してる理由。今日、もし日本テレビ、いや読売テレビが広島戦を中継していた場合、優勝した時の試合後のセレモニーは放送されず、(あ、J sports 1 除く)金曜ロードショーのコナンを観る羽目になっていた笑。DAZNも契約してなかった試合、またAmazonで契約し直さなければいけなかったかも。オリックスファンが揶揄して、阪神のくせに全国放送ないやんって言われてたかもしれない。が、オリックスそもそも野球してることみんな知らへんやん、って言いたいところ。そんなくらい野球、ベースボールはマイナースポーツになった。高校野球であっても、今年の慶応の躍進がなければ人々の耳目に触れることもなかったのでは。そんな中、サンテレビだけは豊富な予算があるわけでもない中、ホームゲーム、特に甲子園を放送し続けてくれた。めっちゃ感謝しなきゃいけないのではあるが、ボクの家庭事情においても、テレビを大手振ってつけるわけにもいかず、携帯でDAZNで観るという現実の中、できる限りの放送をし続けてくれたことに感謝したいし、選手たちがサンテレビの放送の時に優勝しようってモチベになったかどうだかは定かではないが、完全中継を行なってくれたことを讃えたい。

人々が求めていること、物語を知りたいのである。

巨人のファンではないものの、長嶋、王が合宿所でフルチンでバットを振っていたことは知ってる。ちゃんと触れているか竿で感じろって教えである笑笑(嘘だったらごめんなさい)。

なのにYahoo!ニュースで出てくる野球ニュースはもっと下品で、どこそこのグラビアアイドルが、美しすぎるナントカがノーバンで始球式をしたみたいなものばかり、まあ、ノーバンとノーパンを掛けたモノではあるが、大衆を惹きつけるプロ野球のニュースがただの老眼のオヤジがニヤリとするだけのものになってるのは嘆かわしい。てか、そんなセクハラまがい、紙面に裸や風俗の案内を載っけてるスポーツ紙、雑誌にモラルとか人の道とか言われたくないもんだ。

ボクの今年の阪神に対する関心事は65歳の岡田彰布が24歳の佐藤輝明にどう接するのだろうか?ってのがあった。サトテルにとって監督はお爺ちゃんみたいなものだし、なんかぶつくさいっつも言ってるし、マスコミ相手に話さんと直接言ってこいよ!ってな気持ちであったし、今岡真訪なんて下の名前読めないし、意味わからないことばかりだったとは思う。しかしながら長い人生の中でこの2人の出会いはサトテルの人生において重要なものになるだろう。彼は本当のヒーローになろうとしてる。着実に階段を登ってる。新しい多くの共感を得ることのできる存在になりうると思う。本当にうちの子なんじゃなかろうかって目でずっと観察してる。

彼のサード固定にあるもの、中野拓夢のセカンドコンバートにある意味、岡田彰布の野球人生に由来している。ポジションを固定してもらえることの安心感は監督からの信頼度が高いことの証だ。歳の離れた選手たちをまとめるにあたって監督から信頼されてるか、干されてるかは直接の言葉ではいただけない。岡田はブレーザー監督の時に元々サードの選手であったものの、掛布とポジションが被ることでファーストから外野まで全部守る経験をした。セカンドコンバートの時はセカンドの外国人助っ人を招集されたこともある。フロント、言葉のわからない監督の中で当然腐ってもおかしくない状況だった。新人はじっくり2軍で育てるべきだとか言われた日には反骨精神の塊でしか無かっただろう。なのでポロって漏らす本音として日本人だけでチーム作りたいってのは一定の理解ができる。チームは個性の集まりであり、プロ野球なんて個人事業主の集まりでもある。チームのために自分を犠牲にするんだったら引退するか新しいチームを探すべきだ。お爺ちゃん監督にとって見えない信頼関係作り、受け取るだろうメッセージの想像力はとても重要なマネージメントの一つだと思う。

「普通にやったら普通に勝つんよ」
シーズン中によく使われたワードだ。その普通の中で4月より5月、交流戦ちょっとお休みして6月、7月とチームは強くなっていった。その中で好調の選手もいれば不調の選手もいた。それを含めて「普通」なんだろう。選手起用は本当に神がかりだった。ノイジー、ミエセスの使い方もボクの目から見たらとても愛のある器用だったと思う。ノイジーは本当に野球大好き芸人、いや選手だと思う。佐藤に常に声を掛け、共に強くなろうという精神が見てとれた。こんなに讃えたとしてあっさりオリックスに負けたらどうするんだろうって思うが、ここから分析力が問われる。

確かに今年のオリックスは強い。本当に強いチームを作ってきたと思う。しかしながら阪神のように常に分析されてきたチームとは違う。てか見てきた人数がそもそも違う笑。阪神では試合中にノートを見ることをあんまりしてこなかった。対策は前の晩にしっかりしとけという方針だった。誰が出てくるかちゃんと毎日想定しとけって。山本由伸には日本シリーズでノーノーされる可能性だってある。しかし穴のないピッチャーはいない。

てかココまで読んでもらってそろそろわかると思う。
めっちゃ阪神見てる。めっちゃ岡田さん好き。見てるニンゲンのそれぞれ楽しむ野球は違う。違って良いと思う。でもね、でもね、野球について本当に喋ることがなくなった。そんな時代なよね、おーん。

本当に阪神タイガース優勝おめでとうございます。日本シリーズにも行きたいなー。日本一にもなりたいなー。


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