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夏休みと、これからの目標

「会いたかったよ」

…なんてセリフはちょっと照れくさい。だけど、待ちに待ったこの日がようやくやってきたんだ。ストレートに口には出せないけれど、心の中はウキウキと踊っている。

夏休みを利用して、高校の終わりから付き合っている彼女が暮らす、山の緑と空の青が爽快な地域にやって来た。彼女が進学した大学は、僕たちが生まれ育った街からは遠く離れている。

彼女は「自分の食べるものくらい自分で育てられるようになりたい」と言って、この地で農業を学んでいる。農繁期の今、田畑から離れるわけにもいかず、僕の方から訪ねることにした。夢や目標を明確に持っていて、大人だなあと思う。

航空券は、大学生である僕らには決して安くはなく、学業、バスケサークルと共にアルバイトを必死に頑張った。バイト先の店長は、夏は人手が必要なのにも関わらず、1週間の休みをくれた。

久しぶりに会った彼女は、肌が少し焼けて、表情から充実した日々を送っていることが読み取れた。高いビルなど皆無の広い空の下、「見てみて、可愛いでしょ、このトマト」と畑の夏野菜を愛でる彼女の横顔は、今まで見た中で一番美しかった。

「寂しい」

そんな言葉を漏らしてしまうのは、無粋な気がした。充実した日々を送る彼女を見て、劣等感に苛まれないか少し不安だったが、自分も頑張ろうと刺激を受けた。

「お互いに高めあえる関係性でいたい」という彼女の目に、今の僕はどんな風に映っているのだろう。今度は、僕が何かに打ち込む姿を、彼女に見に来てもらいたい。

別れ際、彼女に「テレピー」をプレゼントした。

バイト代を貯めて、頑張って買った。
テレピーなら、彼女が生活する土地の空気も一緒に感じながら会話できる。今回滞在して肌で感じた彼女が頑張る土地の空気を、テレピーを通じて吸い込みながら、僕も頑張ろう。


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