看板①駅
ごはん屋いっぽ製造キッチンの目の前には、小さな駅があります。渥美線というローカル線の無人駅。
近くにあるのは雑木林と田んぼ。今まで電車に乗る機会も無いし、周りに何と言って目的地になる様な場所も無いこの駅には馴染みがありませんでした。でも縁あって近所に製造キッチンを構え、改めて眺めて見ると…。のんびりした何とも良い雰囲気。春には桜並木も。
何より、驚いたのは利用者の数。よく考えたら『周りに何も無い』が故に近隣住民は皆んな毎日どこかへ通勤、通学、外出するわけで。
どうやら渥美線は彼らの生活に、しっかりと根付いている。ちょうど新しいキッチンも構えて新たなスタートのタイミング。効果的な余剰金の使い道として看板広告を検討していました。
引越し以降、毎日駅の様子を見ていた夫はこの場所に看板を出す事を決定。その際、夫は私に聞きました。
『上りと下り、どっちのホームが良いと思う?』
私は、ちょっと考えて『下りだねぇ。』
夫も我が意を得たり、と言った感じの表情。何故かと言えば、ここまでに書いた通りこの駅は目的地ではなく出発地。しかも毎日仕事や学校に出発するための。そして裏を返せば『帰って来る』場所でもある。
想像してみましょう。朝、仕事や学校に行くときの気分。そして仕事や学校が終わって帰ってきた時の気分。
人によるでしょうが、朝は眠たかったり、憂鬱だったり、緊張したり。ちょっとテンション低めじゃない?
逆に帰って来た時は、『ごはん何食べよう?』週末なら『明日休み♪』何にせよ無事帰って来れてホッとしますよね。
その『ホッとする』タイミングに無意識でも、いっぽのマークを目にして貰えたら。いっぽ自体にもホッとする様な良い印象が付くのではないか。
もちろん、朝のスタート感や『やるぞ!』って言うポジティブな気持ちに寄り添うパターンもありだとは思う。これは、店のコンセプト次第。いっぽは、のんきで安心感のあるイメージを目指しているので夫婦共に『下り』を選んだわけです。
同じ方向を向けている事も確認できて安心しました。看板設置の知らせを受けて、さっそく見に行くと。
何か、めっちゃ良い。小さくて可愛らしい駅に良い感じで馴染んでる。でもちゃんと目に入る。余計な情報や色をいれなくて良かった。駅の持つ優しい雰囲気を壊したらイメージ戦略の意味が無いですからね。
効果が出るのは数年後の予測ですが、良いチョイスな気がします。単純に地元に愛着も湧いて嬉しいものですね。
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