鋼材価格値下げ、中国鋼材輸出増加など厳しい状況に
【決算】東京製鐵(5423)
時価総額1642億円、PER9.6倍、PBR0.76倍、利回り3.35%
2025年3月期第2四半期(10月25日)
売上高:1,742億円(前年同期比で減収)
営業利益:139億円(前年同期比で減益)
製品出荷数量:151.7万トン
うち輸出:22.9万トン
減収・減益の主な要因
出荷数量の減少
海外市況の低迷や台風の影響により、製品出荷数量が減少。
特に輸出市場での需要が低調だった。
評価損の発生
製品および原料の評価損が発生し、利益が圧迫。
9月度に鉄スクラップ購入価格が急速に下落したこと、および9月契約売り出し価格の値下げが評価損の要因。
市況の影響
製品出荷価格は1Q比でわずかに下落。
ただし、鉄スクラップ購入価格が大幅に下落したことで、メタルスプレッドは改善(約2,200円/tの改善)。
2025年3月期通期業績予想
売上高:3,080億円(前年同期比で減収)
営業利益:240億円(前年同期比で減益)
減収・減益の主な懸念事項
中国の鋼材輸出増加
中国からの鋼材輸出増加が価格競争を激化させる可能性。
国内建設需要の低迷
国内建設案件の工期遅れに伴い、鋼材需要の伸び悩みが予想される。
ポイント
ポジティブ要素
鉄スクラップ購入価格が想定を大きく下回ったため、メタルスプレッドが改善。
→ 中間期ではメタルスプレッドが約2,200円/t改善。
ネガティブ要素
製品出荷価格の下落と輸出需要の低迷。
鉄スクラップ価格の急速な変動による収益への影響。
業績下振れのリスク
市況の不安定さや、輸出競争の激化。
原材料や製品の評価損が今後も発生する可能性。
メモ: 2025年3月期中間期の業績は、台風や評価損などの一時的な影響が響いたものの、鉄スクラップ価格の下落によるメタルスプレッド改善が収益を下支えした。通期業績は減収減益が予想されているが、鉄スクラップ価格の動向次第で改善の余地がある一方、中国の鋼材輸出増加や国内建設需要の伸び悩みには注意が必要。
財界より奈良社長が経営者賞を受賞。ベンチャーEVメーカーの株式会社FOMM(本社:横浜市 鶴巻日出夫社長)と協働して、建材スクラップ由来の鋼材を使った自動車を完成させるなど、循環型社会づくりに貢献している点が評価。ヤマハの二輪車梱包枠の鋼板に採用。100億円上限(6.26%)に自己株取得。