【決算】三洋化成工業(4471)
時価総額920億円、PER21.6倍、PBR0.63倍、利回り4.35%
2025年3月期第2四半期(11月12日)
経済環境の概要
日本経済は雇用・所得環境の改善を背景に緩やかに回復。一方、世界経済は地域によって明暗分かれる(米国: 底堅い、欧州: 回復傾向、中国: 不動産市況悪化による遅れ)。
地政学リスク(ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢)や資源・エネルギー価格の高止まりにより先行き不透明。
業績概要
売上高
770億3千万円(前年同期比2.8%減)
→ 高吸水性樹脂事業からの撤退が主因。営業利益
44億5千3百万円(前年同期比120.5%増)
→ 事業撤退による収益性改善や需要回復が貢献。経常利益
49億9千1百万円(前年同期比0.9%増)
→ 為替差益が為替差損に転じたことが影響。中間純利益
9億4千万円(前年同期比78.6%減)
→ 特別損失や投資有価証券売却益の消失が影響。
分野別業績
生活・健康産業関連分野
売上高: 207億2千9百万円(前年同期比12.5%減)
営業利益: 2億5千2百万円(前年同期は9億7千3百万円の損失 → 改善)
石油・輸送機産業関連分野
売上高: 251億1千2百万円(前年同期比1.2%増)
営業利益: 21億1千3百万円(前年同期比96.6%増)
プラスチック・繊維産業関連分野
売上高: 133億8千4百万円(前年同期比9.5%増)
営業利益: 14億2千6百万円(前年同期比25.1%増)
情報・電気電子産業関連分野
売上高: 104億8千4百万円(前年同期比7.5%減)
営業利益: 12億6百万円(前年同期比9.6%増)
環境・住設産業関連分野
売上高: 73億1千8百万円(前年同期比1.5%増)
営業損失: 2百万円(前年同期は3億3千8百万円の営業利益)
財務状況
総資産: 1,871億1千4百万円(前年末比187億3百万円減)
純資産: 1,391億4千1百万円(前年末比24億3千6百万円減)
自己資本比率: 72.9%(前年末比5.3ポイント増加)
外部環境の影響を受けつつも、事業構造改革や需要回復により収益性の改善が見られる一方、為替や特別損失などの要因で純利益が大幅減となったことが特徴。
メモ
界面制御技術を駆使した様々な事業を展開。高吸水性樹脂事業撤退の影響により売上高減収も収益性改善。さらに利益面では自動車関連産業や半導体分野の需要回復を受けた。上期の営業利益率は5.8%と前年度比で上昇。高付加価値製品にも注力しており、2025年3月期予想として売上高345億円、営業利益53億円を目指している。
連結配当性向30%目安。PBR1倍割れの割安企業。割安な要因としてはIRや株主還元などへの言及が少なく株主と対話する意欲が低く見られていることが考えられる。「シルクエラスチン」の成長性には注目したい。
潤滑油添加剤「アクアルーブ」はギアオイルやエンジオイルに添加することで焼き付き防止や低温時に低粘土化する効果を得られる。マーケットとしては純粋なエンジン車は減少していくもののハイブリッド車の需要増が見込まれる。さらにハイブリッド車の方がエンジン車に比べアクアルーブの使用量は多い。三洋化成は国内シェア1位、海外でも2番手のシェア。
機能性タンパク質「シルクエラスチン」は遺伝子組み換えにより作製された人工タンパク質。慢性創傷、急性創傷などの従来治療で治療が期待できなかった傷に対して高い治癒効果が得られた。化研総研と日本国内での独占販売に関するライセンス契約を締結。2025年度に創傷治癒用途で実績化、実績の積み上げを目指す。2030年までには営業利益60億円の中心的事業へ育成目指す。
引用