【決算】東日本旅客鉄道(9020)
時価総額3兆2660億円、PER15.5倍、PBR1.16倍、利回り1.81%
2025年3月期第2四半期(10月31日)
1. 概要
鉄道利用増加や不動産販売の好調により、営業収益は4期連続の増収。
すべての利益項目で増益を達成。連結営業利益は438億円増の2,356億円、中間純利益は227億円増の1,397億円。
2. セグメント別の業績
(1) 運輸事業
営業収益: 9525億円(増加率105.6%)。
営業利益: 約125%増で1423億円。
売上増要因:
鉄道運輸収入は500億円増。
利用増による430億円増加。
北陸新幹線敦賀開業の貢献:45億円増加。
課題:
夏の猛暑や台風の影響で新幹線と在来線の収入が計画を下回る。
平日の利用減少(特に東北新幹線のビジネス需要の鈍化)。
インバウンド収入: 167億円。通期目標430億円に向けたさらなる需要喚起施策が必要。
(2) 流通・サービス事業
営業収益: 1900億円(増加率107.3%)。
営業利益: 約119.6%増で277億円。
リテール営業収益は計画通り進捗。セルフレジ導入や商品単価増で利益率が改善。
交通広告は計画を上回るが、コロナ前の7割水準にとどまる。デジタルサイネージの活用でさらなる成長を目指す。
(3) 不動産・ホテル事業
営業収益: 前年同期比54億円増の410億円(増加率115.2%)。
営業利益: 約130%増で128億円。
ホテル: 計画比106%の進捗。インバウンド需要(200億円)も順調で、通期計画(360億円)を超える見込み。
オフィス: 空室率1.4%とほぼ満室状態。
(4) その他事業
営業収益: 454億円(増加率112.3%)。
営業利益: 前年同期比約77%で70億円。
増収減益。
エネルギー事業では風力発電関連で減収減益。特に、山形県での風力発電プロジェクト撤退に伴う費用計上が影響。
3. 成功要因
鉄道事業の回復基調
コロナ前の85%まで定期利用が回復し、安定収益基盤を確保。
北陸新幹線敦賀開業が収益増に寄与。
不動産・ホテル事業の成長
不動産販売の計画前倒しで業績が向上。
インバウンド需要拡大がホテル収益を押し上げ。
リテール事業の効率化
セルフレジ導入や利益率改善施策が収益に貢献。
4. 課題
鉄道事業の不安定要素
台風や猛暑などの天候要因が利用者数に影響。
ビジネス需要の鈍化(特に東北新幹線)。
インバウンド収入の通期目標達成に向けた施策の強化が必要。
エネルギー事業の課題
風力発電事業で地元合意を得られず撤退を余儀なくされた点が、収益にマイナス影響。
5. 今後の展望と戦略
鉄道事業の成長施策
インバウンド需要拡大のため、ゴールデンルート設定やプロモーション強化。
天候要因の影響軽減策の検討。
不動産・ホテル事業の拡大
インバウンド需要の多様化に対応(欧米から中国市場へのシフトも考慮)。
デジタル施策の強化
交通広告でのデジタルサイネージ活用推進。
エネルギー事業の見直し
風力発電事業での課題解消と新規プロジェクトの慎重な計画立案。
6. 総括
鉄道や不動産事業を中心に増収増益基調を維持。一方で、気象リスクやエネルギー事業の課題に対応する必要。今後は、既存事業の効率化に加え、新たな収益源の育成やインバウンド需要の取り込みを通じて、安定した成長を目指す。
メモ
全てのセグメントで増収増益も在来線と新幹線の定期外運輸収入は計画下回る。増益要因としてはJR運輸収入増が500億円、流通・サービス、不動産・ホテル収入が+280億円と大きく貢献。一方、人件費(105億円)や物価高騰によるJR修繕費(80億円)などの費用が増加。
配当性向30%、総還元性向40%を目指す。
引用