上のやつが最強の鍵
⭐️⭐️
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僕は最近よく実家に帰る。
玄関まで着くと
母親が大抵扉の鍵を開けてくれ
中に入ることができる。
僕は実家の鍵を持っていない。
そんなに帰るなら
持っていてもいいかなとは思うが
持っていなくても特に不便はない。
だいたい誰かしらが開けてくれる。
逆に僕が実家に一人でいる時
母が帰ってくると
母は自分自身で鍵を開けて中に入ってくる。
僕は扉まで開けに行く必要がない
母は鍵を持っているからだ。
ある日僕が実家で過ごしていると
インターホンがなった。
珍しいな
宅急便だろうか
インターホンの画面を見る
そこには玄関でたたずむ母がいた。
なんでピンポン鳴らしたんや!
入って来れるやろ
僕は頭にはてなを浮かべながら玄関へ向かった。
扉を開ける
なんや閉まってへんやないか
ガン!
手にちょっとした衝撃が走る
僕は少し鍵から視線をあげた
これだ
これが犯人だ
なるほどこれが閉まっていれば
母でさえ家に入ることができないのか。
僕はこの時これが
最強の鍵なのではないかと考えた
僕は素人なので全くわからないが
そもそも同じ扉に
同じ鍵が2つついていて
意味があるのだろうか。
僕にはあまり意味がないように感じる。
同じ問題を2問出されてるような
問1(配点50点)
8×7=
問2(配点50点)
8×7=
僕にはこんな風にしか見えない
こんなテストがあったとしたら
0点か100点以外あり得ないだろう
50点のやつなんかいるはずがない。
といっても僕は素人なので
もしかしたら同じ鍵を2つつける、
いわゆる二重ロックにも
ちゃんとした理由があるのかもしれない。
決めつけるのはまだはやい
と思い
調べてみることにした
理由は大きく2つあった
まず1つ目
時間稼ぎになるから
え?
時間稼ぎ?
つまり泥棒がこの鍵を開けようとすると
時間がかかる
もう一つが全く同じだったとしても
同じように時間がかかる。
そういうことだろうか
納得いかない。
そもそも優秀な泥棒なら
2つ同時に開けたりできるんじゃないだろうか
(優秀な泥棒ってなに?)
とはいっても理由はもう1つある
まだ決めてしまうのははやい
理由2つ目
見た目で抑止力になる
は?
嘘やろ?
そんなもん泥棒のメンタルによるやろ!
もしその泥棒が
例えば最近捕まって出てきたばかりで
今回が久しぶりの泥棒だとすれば
たしかに躊躇するかもしれない。
もっと簡単そうなところにしよう
久しぶりだから確実に行こう
そう思うかもしれない。
しかし
最近盗みまくってる
脂のノリまくった
凄腕の泥棒だったらどうだろう
全盛期の泥棒だったらどうだろう
俺ならこのくらいの鍵
2つ開けるくらいわけない
そう思うかもしれない
(全盛期の泥棒ってなに?)
見た目の抑止力なら番犬を飼ったり
めっちゃ貧乏そうな
玄関にした方がいいんじゃないか。
やっぱり最強はあれだ
あのU字型のやつだ
僕はもう少し調べてみることにした。
あのU字型のやつは
名前をドアガードというらしい
ドアガード
いい響きだ
いかにも守ってくれそうだ
ドアガードについてもっと知りたい
僕はそう思った
さらに調べる
「ドアガードは防犯目的ではない」
僕は思わず自分の目を疑った。
ドアガードが防犯目的じゃないだと?
あれだけ守ってくれていると思っていた
ドアガードが
そんなわけない
僕たちのドアガードはそんなところで
ぐずぐずしているような立場ではない
もっと上の世界で戦うべきだ。
さらに調べる
「ドアガードは本来訪問販売対策」
嘘だろ
僕たちの知っているドアガードの姿はもうない
結局僕たちは
勝手に守られてると思ってただけなんだ。
信じていた僕が悪かった。
僕が勝手に騙されて楽しんでただけなんだ
ドアガードに弄ばれていた
「ドアガードはヒモで外からはずせる」
この文字でトドメを刺された
最強でもなんでもなかった。