ビジネス地区の平均空室率
久しぶりに空室率データを見てみました。
まずは三鬼商事さんのページから抜粋です。
空室率と平均賃料
「東京ビジネス地区、3月は大規模ビルの竣工があり、それぞれのビルが募集面積を残したことにより、同空室率が上昇しました。
●東京ビジネス地区の3月時点の平均賃料は19,991円。前年同月比1.84%(375円)、前月比0.11%(23円)下げました。平均賃料が2万円を下回るのは2018年4月以来59カ月ぶりとなりました。」
わかること
オフィス空室率と平均賃料からは、企業の移転需要が顕在化することがわかります。東京23区のオフィスマーケットは、2020年1~3月期の0.71%を底に空室率は上昇に転じ、現在にいたります。
また、都心オフィス空室率は上昇基調が続くとの見方が多く、3月の全体の平均賃料は1坪(3.3平方メートル)あたり2万円を割れています。
続いてザイマックスさんのページから
「グラフは企業の移転決定件数を表したものである。これをみると、移転決定件数は2020Q2、2020Q3は低位で推移していたものの、2020Q4からは増加に転じ、現在も横ばいで推移している。
このことから、コロナ禍が始まった直後、企業は移転計画を見合わせていたが、2020Q4以降は企業の移転需要が顕在化していることがわかる。」
オフィス移転の構造(渋谷)
「コロナ禍が始まった当初、渋谷ではテレワークに抵抗感が少ない通信・IT系企業がいち早く在宅勤務を導入し、オフィスを返却する動きがみられた。そのため、空室率はほか4区に先駆けて上昇に転じ、上昇のスピードも速かった。こうした動きはメディアに取り上げられ、「都心のオフィスは不要」といった論調が広がるきっかけとなっていた。
しかし、その後、成長を続ける通信やIT系の大企業、スタートアップ企業などに広がったオフィス拡張の動きが、空室率の低下傾向につながっていると考えられる。
このような渋谷のオフィス拡張の動きの背景としては、変化が速い通信やIT業界では、従業員の創造性を最大限に引き出し、イノベーションを創出するには社員同士が顔を合わせたコミュニケーションが重要と考え、在宅ではなく出社に重視している企業が多いことがあげられる。
次に、トップのカリスマや強烈なリーダーシップで急成長してきた新興企業では、企業文化の醸成や経営理念の浸透、急激に増える社員の教育などを目的に出社を重視するケースがみられることも、オフィス需要が増加している要因の一つと考えられるだろう。
また、流動性の高いIT業界で新人・中途を問わず能力の高い人材を確保するためには渋谷に本社があることが有利に働くようだ。」
空室率は緩やかに
「今も世界的な金利高やインフレ、地政学リスクなど日本を取り巻く環境は厳しく、日本経済の力強い回復はみられないものの、空室率の上昇は緩やかで、急激に上昇する兆しはみられない。これは、企業がポストコロナを見据えてオフィス戦略を見直したことによる新しいオフィス需要が継続して発生しているためである。
空室が都心部や大規模ビルでも増加し、賃料水準も以前より低くなっている現在のオフィスマーケットは、企業にとっては自らが理想とするワークプレイス戦略を実行できるビルの選択肢が豊富な状態にある。そのため、企業による入居ビルの選別が行われ、空室率は規模や築年、エリアによって差が生じている。特に、大規模ビルや築浅ビルにおいて、空室率の変化が目立っていた。
さらに、オフィスを賃借ではなく所有を検討する企業も出てきており、今後は様々な企業のオフィス戦略の影響を受けて、中小規模ビルや築古ビルにも空室率に変化が表れてくる可能性があるだろう。」
まとめ
コロナ後、一時的な空室率上昇はあったものの、必要とする動きも出てきており、入れ替わりを挟みながら緩やかに空室率は上昇していきそうですね。
築古ビルは設備も古く埋まりにくい状況が目立ちはじめており、資金のある起業は所有という選択も視野に入れているようです。
それだけ空室の目立つビルが増えてきたのでしょう。
都心と地方との差はあるのですが、どこに需要があるのか?を参考にできるデータだと思います。
住む場所も同じで交通や生活の利便性や災害の少なさなど、借りる側・買う側が賢く選べる状況に入ってきていると感じています。
人口が減る中で新築が減らない状況は余るしかないので、そういう意味では価格も下がり、選べる楽しみが広がる市場です。