東京外語大日本史2016年論述答案例

大問1問7
答案例①
近代の女性解放運動は、1910年代に平塚らいてうらによって、結成された文学結社青鞜社が雑誌『青鞜』を発刊して始まった。1920年代、ロシア革命や米騒動などを背景に社会運動が隆盛し、市川房枝らによって設立された新婦人協会が女性の社会的地位を高める運動を展開し、同時期に山川菊栄らが赤瀾会を設立し、社会主義の立場から女性運動を展開した。新婦人協会は治安警察法5条の改正に成功した後、婦人参政権獲得期成同盟会に発展し、女性参政権の獲得を目指した。しかし、1925年に普通選挙法が制定された際、女性参政権は実現せず、婦選獲得同盟と改称して、活動を続けたが、1930年代以降、日本が相次ぎ戦争に突入し、戦時色が濃くなる中で目的を果たせなかった。アジア・太平洋戦争直後、GHQの五大改革指令に基づく改革の一環として、衆議院議員選挙法が改正されて女性参政権が認められ、それに基づき、翌年実施された戦後初の総選挙で、女性代議士が誕生した。(399字)

答案例②
近代の女性解放運動は、明治末期に平塚らいてうらによって、結成された文学結社青鞜社が雑誌『青鞜』を発刊して始まった。第1次世界大戦後、ロシア革命や米騒動などを背景に社会運動が隆盛し、市川房枝らによって設立された新婦人協会が女性の社会的地位を高める運動を展開し、同時期に山川菊栄・伊藤野枝らが赤瀾会を設立し、社会主義の立場から女性運動を展開した。新婦人協会は治安警察法5条の改正に成功した後、婦人参政権獲得期成同盟会に発展し、女性参政権の獲得を目指した。しかし、1925年に普通選挙法が制定された際、女性参政権は実現せず、婦選獲得同盟と改称して、活動を続けたが、1930年代以降、日本で戦時色が濃くなる中で目的を果たせなかった。アジア・太平洋戦争直後、GHQの五大改革指令に基づく改革の一環として、衆議院議員選挙法が改正されて女性参政権が認められ、それに基づき、翌年実施された戦後初の総選挙で、女性代議士が誕生した。(400字)

太字は指定語句。
推移型の問題なので、最初に時期区分をして、書き出すことが重要。その際、まずは「最初」と「最後」を意識しよう。
1910年代…青鞜社の活動、1920年代…「新婦人協会→婦人参政権獲得期成同盟会」と「赤瀾会」の活動、1930年代以降を「戦前」と「戦後」という形で4つに分けられれば良い。

大問2問7
17世紀後半に『大日本史』編纂の中で誕生した水戸学は19世紀前半に入り、藤田東湖らが天皇を尊崇する尊王論と接近する欧米諸国を打払うべきだとする攘夷論を結び付けた尊王攘夷を主張し、幕末に大きな影響を与えた。(100字)

水戸学に関する体系的な理解が求められ、難易度が高い。『大日本史』・藤田東湖を適切に使えた外語大志望者は少ないだろう。得点ができなくても気にしなくてよい。なお、外語大は専任教員のうち、2名(吉田ゆり子氏・友常勉氏)が江戸時代を専攻しており、近世史は比較的出題が多い。大問2問7は友常氏の専門である近世思想史からの出題である

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