読者レビュー: 事実は小説より…想像の限界を突破した現実世界の幻想譚🤖
極夜行(角幡唯介 著)
現代、動画という「リアル」を伝える媒体の進化は行き着くところまで行っている
フルHD、4K、となってきて、それらの映像と肉眼との明確な差異を表すには
空気感
とか
現場感
とか
そういう言葉を使わないと難しいくらいになっている
一方で、リアルな映像を用いない媒体
例えば音楽や文章は言うに及ばず
アニメーションやマンガ、ゲームや絵画に至るまで
想像力を掻き立てることを前提とした表現物の中で、素晴らしいと評されるものはすべからく
その映像を思い起こさせる何かを持ってして、リアリティ、と言われてきた
このリアリティ、言うなれば想像してしまうものの解像度の高さ、という側面があると思うのだ
そしてSF、ファンタジーなどの
世界観を我らが地球とは別にした創作物でもそれは同じことで
全く知らない、存在しない何かを、我々はありありと感じることがある
そういった意味で言うと、極夜行はまさに例外なのだ
本書はノンフィクションであり、記述されている内容は筆者の実体験であるし、作中描かれる世界は間違いなく地球上に実存するもので、つまり現実世界のことを写実的に描いた作品と言えると思う
しかし、私ははっきり言ってリアリティなど欠片も感じなかったのだ
仮に、これが別世界の幻想譚だとしたら、私はその圧倒的なスケールと超然とした風景、環境の無慈悲さとドラマチックさに心打たれ
すごいリアリティ!!!素晴らしい作品でしたのだ!👏🏻
などとレビューすると思うのだ
しかし、これが地球上の人間が現実に行った冒険の記述ですと言われると、話は変わってしまう
余りにも社会とかけ離れたノンフィクションゆえに、想像の解像が追いついていかないのだ
私の知る現実と、作中の現実にはあまりにも大きな隔たりが存在していて、それは多分埋まることは無い
怖い話
と
本当にあった怖い話
の違いというか、それとも
次は読んでいるあなたです、系の嫌悪感ともいう感情と言うべきか
ファンタジーなら、そこにあるかのような、で済んだリアリティは
そこにありました、と言われると、それは安全な部屋の中で感じるリアリティとは程遠い
現実に受け入れたくないような、凡人の想像力を遥かに越えたノンフィクション
もはやこれは冒険ファンタジーなのだ🤖
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