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【全話視聴感想】仮面ライダーセイバー【精読計画Vol.2】

仮面ライダーセイバーの再視聴感想文です。ネタバレありです。
初見ではありません。再視聴しての感想文ですのでご了承ください。

また、この感想文は「仮面ライダーセイバー精読計画」の一環として投稿しています。

こちらもぜひご覧ください。



今回改めて感じたこと

・一周では寄り添えなかった心情に寄り添えた
実はリアタイの時、自分の中の序盤のセイバーの印象は最悪レベルだった(中盤以降は当時から好きです)。
ずっと駆け足で会話も微妙に繋がっていない、場面転換が急、心情描写も足りていない、何が進行しているのか全く分からない、で仮面ライダーの終わりを感じていたくらい。

それが不思議と、2周目の今回は序盤でもそれなりに理解や共感ができる部分が多かった。何の話が進行しているのか2周目でようやく分かり、感情移入もしやすく当時よりも面白く見られた。
リアタイで大困惑した35章も、話の本筋は全く破綻していなかった。

だが、見切りをつけてしまった人は2周目を見ることはない。初見では分からない部分を分からないままでセイバーとの縁を切ってしまう。
そういう人を多発させかねない作りなのが本当にもったいない。
セイバーは好きになれば好きになるほど応えてくれる作品なのに。

・コロナ禍での戦い
仮面ライダーセイバーという作品はコロナ禍の影響が大きい。
初期案はロケができない都合で没、撮影中も常にコロナに注意を払わなければいけないというのは本当に大変だったことだろう。

セイバーの(特に序盤の)色々な要素はコロナとの噛み合いが最悪だったと自分は感じた。
まず、多人数ライダー。1クール目の剣士はカリバー含めて7人。最低でもこの7人のキャラ描写が必要になる。
そして、毎週のように出てくる新ブック。
販促のため、初登場時は朗読音声と変身音をフル尺で流さなければいけない。しかも、それなりに長い文章を、膨大な量があるブック全てで。

そしてセイバーは、コロナ対策でアイキャッチとEDを盛り込んでいて、その代償に本編の尺が短い

いつもより膨大なノルマをいつもより短い尺でやらなければいけなかったのだ。無理難題とはこのことだろう。
新発売のブックが減り、新キャラも序盤ほど出なくなった16話以降から見やすくなったのにはこのコロナと噛み合わなかった部分が減ったからというのが大きいかもしれない。

コロナ禍で撮影を止めることなく、スピンオフもあんなに出して、最後まで走り抜けたのは本当に凄いことだ。

・スピンオフの質が信じられないくらい高い
剣士列伝、ソードオブロゴスサーガ、萬画バスター、深罪の三重奏、サーベラ&デュランダルあたりが特に。
「本編でやれ」の声が出るのも頷けるくらい、スピンオフに情報や見せ場が詰まっていて面白い。
コロナ情勢に立ち向かうためにはスピンオフが必要だったのだ。
だからセイバーはスピンオフまで含めてで評価されるべきだと思う。

・SEが変
せっかく剣が題材なのに斬っている感じのSEではなく、謎の金属音(カンッ!って感じ)になっているのがとてももったいない。というか剣に限らず全ての攻撃SEがこれじゃないですか?
一度気づくとどうしても気になってしまった要素。

・剣士との決闘
16話以降の飛羽真とノーザンベース剣士たちの決闘、好き。
序盤では肩を並べて戦っていたから実感できなかった剣士の強さを、剣をぶつけ合うことでようやく実感するというのがいい。
それを通して飛羽真も剣の重み、背負うものを認識して成長していくから、めちゃくちゃプラス要素だと思っている。
フィギュア王インタビューの感じからして、テコ入れじゃなくてこれが既定路線ですよね。セイバーは剣士たちが剣でぶつかり合い、分かり合っていく作品なんだ。

・揃う十剣士
賢人の離脱はあったものの、最終的にソードオブロゴスの剣士は全員集合するのが最高だった。完璧自分好みの展開だったからセイバーのこと大好きになってしまった。
向かってほしかった場所にしっかり向かってくれて、仮初じゃない本当の結束で戦ってくれたのが嬉しい。
クロスセイバー登場後、OP映像に変更あったのまで含めて完璧。

キャラクターについて

キャラによって語る文量に差があることをお許しください

・神山飛羽真

だいすき!!!!!
世界に選ばれた主人公であり、その世界が定めた結末をも変えた有言実行の男。
飛羽真なら何とかしてくれる、約束は必ず守ってくれると本当に思えるから、剣士たちが信頼していくのも説得力がある、ついていきたい主人公。
どんな精神攻撃を受けようとも全く動じず返すメンタルも飛羽真の武器。

スーパーヒーロー戦記なんて本当に飛羽真らしい、飛羽真だからできるお話で輝いてた。
ビヨンド・ジェネレーションズは頼りになる先輩ライダーで、深罪の三重奏は落ち着いた大人で、テレビ本編以外でもたくさんの魅力を見せてくれるキャラクター。今の内藤秀一郎くんが演じる神山飛羽真の客演、どこかでしてほしい。

色んな本を知っているから剣士にはできない柔軟な戦い方ができるというのは面白いと思ったので、序盤だけでなく色々やってほしかった思いあり。


・新堂倫太郎
さすが2号ライダー、心情描写に尺が割かれているので感情移入しやすい。
愛嬌もあり、好感度の高いキャラだったと思う。
それは視聴者にとってだけでなく飛羽真にとっても同じ。
飛羽真は、視聴者が想像する以上に倫太郎のこと大好きだと思う。25章の褒め合いと、29章で戻ってくると聞いた時の喜びようを見てくれ。

飛羽真を信じたい想いと、家族と信じてきた組織の板挟み、芽依を救えない自分の弱さへの怒りなど、こちらに感情が伝わってくる。
上堀内監督が演出する絶望や葛藤の描写とめちゃくちゃ相性がいいなと思った。その分めちゃくちゃ監督に絞られて苦労してそう…。


・須藤芽依
剣士たちだけでは暗い方向に行きがちな雰囲気を明るくしてくれたありがたいヒロイン。そして滅びゆく世界を繋ぎ止めた立役者。
髪の毛焦げたり泥まみれになったり体を張ったギャグ描写も印象的。川津さん凄いよ。


・富加宮賢人
本当に本当に、抱え込みすぎ!!!!!

みんなから「抱え込むな」「頼れ」と何度も言われているのに、何もわかってねぇ!!
彼に一番似合う表情は笑顔なのに、笑顔を見せることが少なすぎ!!
自分が終盤のセイバーが好きなのは、賢人のメンタルが安定して笑顔を見せてくれることが多かったからというのも理由の一つだと思った。
賢人は本編でもかなりクローズアップされていた方だと思うけど、スピンオフも含めると味わい深い。剣士列伝EP3の「俺は一体今まで何をやっていたんだ…!」やソードオブロゴスサーガ後編の「けど良かった…。みんなが無事で…。」はかなり重要なセリフだと思う。

ゴールデンアランジーナで終盤を戦い抜いてるの凄過ぎる。蓮が尊敬するくらいだし、メンタルさえ安定していれば本当に強いんでしょうね。


・尾上亮
悪かったのは第一印象だけ。常に若い衆を気にかけ子どもを大事にする、とても頼れる年長者だった。
若い剣士たち、尾上さんが仲間にいるのめちゃくちゃ頼もしかっただろうな。
長期間ノーザンベース唯一のまともな戦力だっただけあって強いし。


・緋道蓮
最初は常にニヤニヤしてて強さのことしか言わないから苦手だったけど、悩み苦しんだ経過を経て大好きになった。
最終決戦では賢神2体も倒してるんだよね。本当に強くなったことが分かる大活躍で嬉しい。最終決戦MVPだと思ってる。

演じる富樫くんの演技力上達が目覚ましく、終盤の剣斬の演技は本当にかっこよかった。
45章の「強さの…果てを…!」の時みたいな声が一番好き。


・大秦寺哲雄
とても奇天烈だけど、やっぱり頼れる。剣士列伝で初めて尾上と同世代と知った時は本当に驚いた。
セイバーは年長組が本当に頼れるからいいですね。
ノーザンベースの中で最初に戻ってきてくれた剣士で、飛羽真もさぞ心強かっただろうな。


・ユーリ
最初から最後まで味方でいてくれて、これまためちゃくちゃ頼れる。
メギドとの分離、味方の回復、賢人の説得、普通の戦闘、ワンダーワールド事情の調査などやってくれたことが本当に多く、本当に本当にありがたい存在。
好奇心で奇行を繰り返すのも愛嬌があっていい。


・神代玲花
もう最初は剣士の結束を引き裂いてこの野郎💢とムカついたもんだけど、本質が見えてからはめちゃくちゃ可愛く思えるようになった。こんなキャラになるとは思わなかった。
玲花の絶対は凌牙であって、マスターロゴスではないんですよね。凌牙が「マスターロゴスは絶対」と言ったからそれに従っている感じ。
友達の友達は友達理論。少し違うか。


・神代凌牙
玲花を大切にしている描写が本編内で少ないのが残念だが、それが分かると玲花同様好きになったキャラ。ゼンカイジャーコラボ回あって本当に良かった。
あとジョジョ知ってから見ると能力がキング・クリムゾン過ぎて、理解がしやすかった。
大抵の物理無効のサーベラに、時間を消し飛ばすデュランダルって、サウザンベース2人だけでめちゃくちゃ強いな。なんだこれ。


・ソフィア
もう少し掘り下げが欲しかったかな…。ルナの身代わりになろうとしたのも、カリバーとして戦うことにしたのも、とても急に感じてしまった。
身代わりは飛羽真のため、カリバーは自分にできることを考えた結果なのだろうけど、心情描写が足りな過ぎる。
威厳ある指導者ムーブも悪くないけどショートアニメみたいなはっちゃけがあっても良かったのでは、とも思う(その方が自分好みなだけ)。


・上條大地
自分がセイバーで一番好きなキャラ。なぜなら作中最強だと思っているから。いずれ別投稿で彼の強さを証明してみせます。
カリバー時代は本当に意味の分からない人ではあったけど、ソードオブロゴスサーガで背景を知ったことで大好きになった。
火炎剣烈火とブレイブドラゴン奪取にこだわっていた理由がね、全然想像と違うというね…。
上條さんきっかけで平山浩行さんを好きになった。


・富加宮隼人
裏切った理由は賢人の生きる世界を守るため。
賢人のメンタルが安定していなかったのは、父の裏切りの責任を負っていたため。
なんて悲しいすれ違い…。
賢人は父の想いを闇黒剣月闇を通して知っていたから誤解は既に解けていたのだろうけど、直接謝れた38章の対話シーンがとてもよかった。


・バハト
世界を滅ぼそうとする理由付けに納得感がある。だから飛羽真の「勝手に絶望していただけだ」には共感できず、「俺の1000年をお前ごときの思いに覆されてたまるか!」の方に共感してしまう。


・マスターロゴス
長命なはずなのに、子どもみたい。崇拝され続けて、自身の器が空虚なことに気付かなかった男。
セイバーの剣士たちは苗字に「かみ」「がみ」「しん」がはいっているけれど、イザクには入っていない。
彼はどうあがいても神にはなれない

それはそれとして、彼の「まあいいでしょう」の精神はいざという時心を癒してくれる。


・タッセル
初めて見た時はその格好とキャラクターにドン引きしたが、いつのまにか彼の語りを楽しみにしている自分がいたし、語り手としてではなく登場人物として物語に介入してきた時は本当にワクワクした。だからストリウスにあっけなく殺された後の最終盤は本当に寂しかった。ストリウスたちに謝るのも切なくて悲しい気持ちになった。


・レジエル
白状すると初見の時、メギド3人の見分けが全く付かなかった。仮面ライダー剣で分からなかった「キャラの見分けがつかない」という感覚、ようやく理解した。
分かりやすいキャラ付けがないから多分一番最後に見分けがついたメギド。ショートアニメでもキャラ薄い問題に突っ込まれていて笑ってしまった。
途中からメギドと遭遇した剣士は開口一番相手の名前を言うようになったおかげで名前を覚えられた節がある。
傲慢」が彼のキャラなんだね。セイバーにこだわるのも、セイバーに計画潰されたり負けたりでプライドがズタズタになったからなんだ。


・ズオス
ズオスは一番脳筋っぽい奴として認識していたし、早い段階でブレイズとの因縁ができたから覚えやすかった。
粗暴な印象しかなかったから、2000年前とのギャップが一番ある。元々はあんな穏やかそうな奴だったんだね…。


・ストリウス
全てを知った後だととても愛おしく思える。彼の一番の見せ場は最終盤だが、彼の思想を示唆するセリフは序盤からあって驚いた。後述します。
キャラ作ってダミ声で話すよりいつもの雰囲気が好きだよ、自分は。
そういえば6章で火炎剣烈火を封印していたのは何?カリバーの力借りてた?それとも自前でその能力が備わってた?

好きな話

・剣士列伝
大秦寺の立ち位置だったり蓮とデザストの因縁だったりなにかと重要なことやりがちなスピンオフ。でも一番重要なのは、「この人はこういうキャラです」という設定を改めてセリフにしてくれるところだと思う。飛羽真は剣士にはできない戦い方ができる。倫太郎は本の知識は多いが実体験に乏しいなど。どういうキャラとして描きたいのかを掴みやすくなるのがいちばんの利点だと思ってます。
エスパーダ編が一番好き。病室から抜け出した時はカリバーとの因縁なんてこれっぽっちも頭になかった心情がちゃんと描かれていて普通に泣いた。

・第26章「深き闇、剣とともに。」
上堀内監督の演出が冴え渡っていた回。賢人が何度も見た未来の絶望表現が上手すぎる。
賢人との対立、それを決定づける使われ方をしてしまったかつての決め台詞「これで話は終わりだ」など辛い展開。そこがいい。


・第27章「哀しみを、笑顔に変えて。」
飛羽真の優しさ、そして小説家であることが生かされた名エピソード。中盤の山場としてこれ以上ない。

・第31章「信じる強さ、信じられる強さ。」
自信を失った倫太郎の痛々しさ、それでも信じてくれる飛羽真に影響され立ち上がる強さが熱い。
僕は僕を絶対に諦めない」という決め台詞の前に、「飛羽真くんも芽依さんも…どんな時でもずっと僕を信じて、諦めてくれない人たちがいるんです!」という言葉があることで最高に決まってる。ただ定型として言ってるだけじゃない、地に足ついた決め台詞になっている。
15章の「顔を上げろ!倫太郎!」に対応する「顔を上げろ!須藤芽依!」もあり、台詞が全体的に熱い。
「飛羽真なら!できます!」「皆さんが僕の家族です」「また、知らない未来か…」「きっとまたこうなる」なんかも好き。
あと、セイバーとブレイズの同時変身がめちゃくちゃかっこいい。

・第40章「輝く友情、三剣士。」
ノーザンベースに帰ってきた賢人も含めたソードライバー組の共闘が見られるので好き。やっぱり賢人には笑顔が一番似合う。
倫太郎も賢人もマスターロゴスとの因縁をバッサリと切り捨て決着を付けるのが良い。フィーチャリングセイバーもっと見たかったな。

・特別章「界賊来たりて、交わる世界。」
この回が好きな理由は、セイバーに圧倒的に足りないものがあったから。圧倒的に足りないもの、それは日常回
笑顔の多い賢人とか、飛羽真と賢人の寸劇とか、緩い雰囲気の話とか、飛羽真の小説家要素を押し出した話とか。もっと見たかった。
そしてこの回にはその全てがあった。見ていて本当に楽しかった思い出。
そういえばこの回だけ音質悪くないですか?


・第44章「開く、最後のページ。」
それぞれの決戦前夜。
ルナを引き止めるため即興の寸劇をする飛羽真と賢人(いや、飛羽子と賢子というべきか。最初は「僕」だった飛羽真が賢人によって勝手に女にされてそっちに合わせるの好きすぎる)、また3人で笑えたシーンや尾上家など微笑ましい描写が大好き。
一番好きなのは、9人が集合するラストシーン。
キングダムハーツ2のシークレットムービーみたいでめちゃくちゃかっこいいんだよ。伝わってくれ。


・第45章「十剣士、世界を賭けて。」
開幕で遂に揃った十剣士の画が見られるだけで自分的には5万点くらいある。
でもその後も面白い。シミーを薙ぎ払う最光とカリバー。最推しの上條大地再登場。賢神を引き受けて進んでいく剣士たち。強くなった蓮。カラミティストライク。
デザストの存在価値を賢神撃破で示すというのが本当に良くて。最高の見せ場をくれて感謝の気持ちでいっぱい。
最初から最後まで戦闘シーンばかりのはずなのにめちゃくちゃ面白かった。

・「深罪の三重奏」
今でこそ好きな作品なのだが、初報で出た登場人物、「飛羽真の幼馴染」「倫太郎の父親」「賢人の恋人」の全てが地雷過ぎて心配だった思い出。
初見の時は賢人が飛羽真と全く関わらないことにモヤっていたけど、これも増刊号で飛羽真が言っていた「自分の幸せ」なのだなと再視聴で思えるようになった。
BGM極端に少なくて全体的に静けさが漂う。それが大人の雰囲気を醸し出していて引き込まれた。怖いよね、静かな中で突然出てくるファルシオンとか。そういうびっくり系の怖さもあるし、序盤で飛羽真が持ってる写真をよく見るともう蓮がいなくて、静かに迫っている怖さもある。
あと、この時の飛羽真がめっちゃすき…!感情を全て言葉に乗せていたテレビシリーズ本編と全く違う、とても落ち着いていて内に秘めるような感情表現が「大人になった飛羽真」で感激した。これを本編直後に演じられる内藤秀一郎くん凄くない!?

・スピンオフ「サーベラ&デュランダル」
大大大大大好きなスピンオフ。20分に詰められた幸福度は他のスピンオフの追随を許さない。
1年越しにセイバーの世界観をたっぷり浴びることができて最高に幸せだった。
本編ではサウザンベース所属で距離のあった凌牙が、尾上一家や蓮と良好な関係を築けていることを察せられるのが嬉しい。
玲花の意志を認め並び立つようになった兄妹の成長が嬉しい。


ヤバい話

好きな話もあり大好きな作品ではあるが、ヤバい話もあったということも忘れられない。この2話。

・第14章「この思い、剣に宿して。」

ずっとバトル、落ち着く暇のない乱戦、進まないストーリー。飛羽真が語る賢人像(いつも明るくての部分)の説得力の弱さ。
リアルタイムの時、自分はこの回を見て絶望した。セイバー、全然面白くないと。
この回以降セイバーは盛り返してどんどん面白くなっていくのだが、この回はワーストだと思う。
ただ、再視聴して改めて気づけたことがある。
ストリウスのセリフだ。

あなたたちは何年も何年も、無駄な努力を積み重ね、結局何も報われない。本当にかわいそうな存在だ。だからせめて楽しませてあげましょう。

序盤にして、ストリウスというキャラを表しすぎているセリフ。
頑張って詩を書いていた人間時代。しかし自作の詩は全て全知全能の書に書かれていたものだったと知り、あれは「無駄な努力を積み重ね、結局何も報われない」と思ってしまったストリウス。精神攻撃のために言ってたわけではなく、本当に同情していた可能性があるじゃないか。
最後に言った「だからせめて楽しませてあげましょう」も、あまりにもストリウス。
世界の終わりが決まっているなら、それを美しく演出しようとした終盤の行動と重なる。
愛おしいな、ストリウス。


・第35章「そして私は、神になる。」
この回はさすがに有名過ぎる、セイバー坂の回ですね。
これはリアタイしてた時、もうセイバーのことが分からなくなってしまった。どんどん面白くなっていって、セイバーってもしかして凄い作品なんじゃ!?と序盤の考えを改めた時にこの回をぶつけられて、上向いていた評価を改めかけたとんでもない回。
坂ばかりが取り上げられるが全体的にヤバいと思う。早過ぎる展開とか、突然現れるベッドと椅子とか、この話だけで次々奪われまくるブックと聖剣とか、出てきただけで特に何もなかったエモーショナルドラゴンとか、何の役にも立たないソフィアの身代わりとか、情緒がよく分からないマスターロゴスとか、ヤバい要素が多過ぎる。
もちろん、良いシーンもあるけどね!坂の絵面が限りなく変なだけでようやくルナを助けられたのは熱いし、聖剣の封印が解かれ今後の戦いがやりやすくなる予感もするし、雷鳴剣と闇黒剣どちらを取るか迷った末に闇黒剣を取る賢人のシーンはとても良かった。
それでもやっぱりこの回はヤバい。当時よりセイバーが好きな今見てもヤバい。
坂の愛嬌で迷エピソードに落ち着いているけど、坂なかったら今より酷い評価されてたんじゃないか。

その他感想

・深罪の三重奏
空気感がテレビシリーズと違いすぎていて、再視聴で固めたはずのセイバー観がこの一本だけで崩れかけていく。とんでもない作品だ。

・主題歌
最終章まで見た後だと「ALMIGHTY〜仮面の約束」のイントロを聴くだけで目が潤んでしまう。
「サビはいつだろう」と思いながら聞いていたら曲が終わっていてずっこけたファーストコンタクトからは考えられない。

・セイバーのBGMで思い浮かぶ曲といえば?
「物語の結末は、俺が決める!」か「仮面ライダーセイバーのテーマ」のどちらかになるだろう。
自分は「物語の結末は、俺が決める!」派なのだが、終盤で流れた「Timeless Story」(仮面ライダーセイバーのテーマの英語詞付きアレンジ)が良すぎて揺れている。

・気になるセリフたち
・「完成する前に奴らを倒せばまだ大丈夫ってことだ!」→「無謀と勇気は違うのですよ」→「覚悟を超えた先に希望はある!」→「その言葉は!?」(第2章より)
この繋がっているようで繋がっていない会話、クセになるぜ…。

・「待て!アリとキリギリスだ。だとしたら…キリギリスはアリを守っているんだ!」(第2章より)
アリとキリギリスってそんな話だったか…?

・「何言ってんだよ!俺なら1人で戦える!」→「みんなの力を貸してくれ。蓮、何か奥の手ってないか?」→「奥の手?もちろんある!」(第8章)
飛羽真に反発していたはずなのに急に笑顔で答えだす蓮。しかもちゃんと奥の手もあるんかい。
やりたいことは分かるしとても良いんだけど、会話と展開の早さで微妙に乗り切れない」という序盤セイバーの象徴みたいな話だと思ってる。

・「私はその時に気付いた。富加宮を変えてしまったのは…ソードオブロゴスだと」(第15章)
リアタイの時はいきなりソードオブロゴスが悪いと言い出して何分か見逃したかと思った。
一応そのちょっと前に「あのお方もそう言っておられた!」という回想はあるけどそれだけで判断はできないだろ………。

でも自分、これらのセリフが大好きになってんだ…。オモシロ要素として受け入れられるようになってんだ…。

まとめ

今の自分がこの作品に好意的すぎて、盲目になっている可能性もあります。
多分、都合よく補完して解釈している部分も多いです。

この「都合よく補完して解釈」はできるようになれば本当に楽しいです。初見の時と比較すると、変なシーンの比率より良いシーンの比率が高くなります。
好きであれば好きであるほど面白い作品だと思います。
初見で低評価をしてしまった人の評価はなかなか変えられず、好きかもと思った人の評価はどんどん上がっていく、両極端な作品。
自分はこの作品を最高に楽しみました。
この作品を楽しんでくれる人が増えますように。そして究極大聖剣の商品化が進みますように。

最後まで読んでいただきありがとうございました。いいなと思ったらスキ、共有、フォロー、コメントなどもしていただけると飛び跳ねて喜びます。

仮面ライダーセイバー、大好きです!!!


マシュマロ募集してます。お題、感想などなんでも募集中です。

おわり

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