2024年の国内IPO振り返り、特徴的な銘柄の紹介と2025年の展望について
この記事では、2024年の国内IPO振り返り、特徴的な銘柄の紹介に加えて、2025年の日本のIPOの展望について書いています。
「これは知らなかった」と少しでも思っていただけるような情報を色々と盛り込んでみましたので最後までお読みおいただけると嬉しいです。
2024年は86社がIPOを達成しており、前年の2023年の96件と比べると10件減少していますが、大型案件のIPOも複数件、執行されていることからも非常に堅調であったと考えられます。
まずは2024年の日本のIPOを振り返りたいと思います。
2024年の振り返り
2024年の日本のIPOは、公募価格と初値を比較すると、64勝19敗3分となったようです。勝率は74.4%ということで結構高いのではないかと思います。
まずは主幹事証券についてみていきたいと思います。
86件のうち22件をSMBC日興証券が主幹事を務め、トップの件数となりました。ついで14社でみずほ証券が2位、13社で大和証券が3位という結果に。かつては野村證券の1強という印象の強かった日本のIPOですが、近年ではその様相も変わってきているようです。個人的にほSMBC日興証券とみずほ証券はIPOに力を入れている印象があります。大和証券は聞くところによると、IPO案件を抱えすぎて少し手が回らなくなってきているような印象とのこと。
一方で引受金額ベースではキオクシアなどの大型案件を手掛けた三菱UFJモルガン・スタンレー証券がトップのようです。同社は大型案件に強いイメージがありますが今なおその特徴は確固たるもののようです。
続いて監査法人について見ていきましょう。2024年は大陽有限責任監査法人が14件で初のトップ、ついでEY新日本が13件、トーマツが10件という結果になりました。
2020年以降、監査法人難民というワードをよく聞くようになりましたが、その間に監査受嘱を進めた監査法人の結果が出始めたように思います。
また、年を追うごとに顕著になっているのが新興監査法人の台頭です。2024年は20件近くを新興の監査法人が担当しており、年々この件数は増えてきています。最近では大手監査法人も改めてIPOに力を入れ始めているようですが、果たして今後の監査法人の傾向はどうなるのか、注目です。
(個人的な印象ですが、大手監査法人は監査受嘱した上で対会社で高いハードルを設定したり、コミュニケーションが疎かになってしまい会社との認識の相違が実は残っていたなんてこともある印象です。意思決定のスピードやフレキシビリティという点でも新興監査法人が伸びる可能性はあるのではないかと考えます。当然、監査品質の維持向上は不可欠ではありますが)
続いて、2024年のIPOマーケット全般について見ていきましょう。
IPOマーケットと言ってもやはり相場全体に左右されることは言うまでもありません。年間を通して、総じて堅調であったとは考えられますが、やはり2024年8月上旬のマーケットの急落後は、機関投資家のポートフォリオも傷んでしまったこともあり、IPOマーケットに関しても機関投資家の需要が見込めないのではないかと言う不安があったと考えられます。
IPOにおいて、仮条件レンジの決定や、最終的な公開価格の決定はいずれも機関投資家の需要を主要な要素としているため、IPO公表後の機関投資家とのコミュニケーションで、彼らからの需要が見込めないとなると、需要がある(買ってくれる)価格まで下げる必要があります。目論見書記載価格から仮条件レンジが下方に設定されてしまうIPO銘柄は、機関投資家から「目論見書記載価格では高いから買わない」と言われたも同然ということです。逆に仮条件レンジが目論見書記載価格よりも上方に設定されるということは「もっと高い価格でも買うよ」という機関投資家がいるということを示しています。実は仮条件レンジを見ればそのIPOに対して強気でいて良いかどうかが個人の投資家でもわかるということですね。
話が逸れてしまいましたが、マーケットの急落があると、機関投資家の上場株ポートフォリをが傷んでしまうため、その時期に出てくるIPOに新規に資金を投じるという意思決定をしづらくなってしまいます。そのため、マーケットの急落後はIPOの延期を決定することもありますし、投資家センチメントが弱気になってしまっているため、目論見書記載価格、仮条件レンジ、公開価格が低くなりやすい状態です。2024年は8月にマーケットの急落があったため、IPOマーケットもその影響を受けていたと考えられます。(2023年比でIPO件数が10件少ないのも、もしかするとここに原因があるのかも知れません)
そんなこともありましたが、その後、東京メトロやキオクシアHDのような大型IPOも無事上場していることを考えると、総括としては「堅調だった」と言えるのではないかと思います。
ここまでは全体的な振り返りをしましたが、ここからは今後のIPOにも影響を与えうる印象的だった、ピックアップすべきIPOについていくつか振り返って見たいと思います。今後のIPOへの投資を考える上でも参考になるかと思いますので是非ご一読ください!
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