FM 5-0 第1章 (1)

第1章 作戦プロセスの基礎

 この章では作戦プロセスの概観について取り扱う。まず最初に、作戦に関する全般的な性質について記述する。一般にドクトリンは、指揮及び統制の中に見出すことが出来る。次にこの章では作戦プロセスの諸活動について記述すると共に、指揮官が戦闘指揮を通じて作戦プロセスをどのようにして運用するのかということについて記述する。ここでは、指揮官や幕僚が戦闘機能に同調することを助けると共に、統合プロセス及び継続的な諸活動について記述する。最後に評価の実行について議論する。

作戦の性質

1-1.

 まず、ドクトリンを理解するために、指揮及び統制(C2:Command and Control)に注目する。欠点や失敗、資源需要、人口統計学的推移などに関する幾つかの世界的な傾向によると、今後の十年は、現在継続中の戦闘や対立により特徴づけられる可能性が高くなる。戦闘や対立は予想外に爆発し、強度や範囲により変化し、長期間に渡る。(FM 3-0 に記述された、新たな戦略的環境の構造についての国際的傾向についての総論を参照されたい。)

1-2.

 軍事的プロセスは闘争のスペクトラム(個々の成分の連続による総体という概念?)と解釈することが出来る。(安定した平和状態から、暴力の範囲が激化し、一般的な戦争に至る。)国家総力戦あるいは完全な平和といったものはおおよそ存在しない。この極端な両者の間においては、社会(グループや団体を含む)が関係性を保つ。それらの関係性は、日々の経済的競争、政治的もしくはイデオロギーに関わる緊張、時折発生する危機を含む。武力を行使する決断は、相対的に平和な時期においてさえ、いつでも発生する。スペクトラムの一端では、内乱において軍は秩序を取り戻すために使用される。他の極端な例では、社会における秩序を覆すために軍は使われる。

1-3.

 軍事作戦は、参加者すべてにとって継続的、相互適応的、ギブアンドテイク、動的あるいは反動的性質を有するという特徴を持つ。敵は自ら目的を持ち、有効な力に基づいて独立に行動する。決して無生物のような存在ではない。友軍が敵に対して行動を強いる間、敵は抵抗し、かつ友軍に行動を強いることを試みる。この動的性質はまた、市民団体の要求と軍事作戦の間にも発生する。このような対立軸にある両者にみられる関係性は、作戦の性質の基本を理解するために最も重要な事柄である。敵対するもの同士が行動する時、両者は反応し、学び、適応する。

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