伊藤弘之絵画の真骨頂「カルーセル」の魅力 【伊藤弘之-さくら回廊展Ⅱ-】
半世紀以上前の遊園地の華といえば、なんと言っても「メリーゴーランド」。回転木馬といった方が馴染みがよいかもしれない。子どもの頃に空き地に移動遊園地ができ、その中には必ずメリーゴーランドがあったのを記憶している。鼻たれ小僧には似合わない遊具で過去このかたメリーゴーランドに乗ったことがない。
メリーゴーランドが私の馴染になったのは、伊藤弘之先生の絵の中で表現されている様々な幻想的なメリーゴーランドを見てからである。それはメリーゴーランドというようは「カルーセル」という名称やイメージで描かれている。カルーセルから飛び出した木馬たちが飛翔する姿が映し出されている。
むかし、回転木馬という遊具だったのが、時代の流れや親しみやすいことからメリーゴーランドと呼ばれるように。このメリーゴーランドはフランスが発祥で、ヨーロッパを舞台にする映画にはよく登場していた。フランス生まれということからフランス語の「カルーセル」と呼ばれことも多くなった。
日本に初めてお目見えしたのが、大阪で行われた「第5回内国勧業博覧会」ということらしい。常設されたのが1918年に浅草の娯楽施設「木馬館」で、日本の最古のものといわれていたのが、3年前に閉館したとしまえんにあったカルーセル「エルドラド」である。
現在、人気のカルーセルといえば、皆さんご存じのとおり東京ディズニーランド「キャッセルカルーセル」やディズニーシーの「キャラバンカルーセル」などがある。
いまの遊園地にある遊具の人気は絶叫マシーンのようだが、オールドファンやファミリー層にはメリーゴーランドは無くてはならない存在である。木馬に座りゆるりと回る (merry go around 楽しく回る) 、その風景は郷愁を誘う。古き良き時代の遊び文化の象徴のように思えてくる。
リポート/ 渡邉雄二
作品/ 伊藤弘之
最後の写真/ 3年前に閉園になったとしまえのメリーゴーランドのフリー写真
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