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生成AI関連発明は特許になるのか?と、生成AIで特許明細書は書けるのか?


はじめに


ChatGPTが登場してもうすぐ2年になります。

私がChatGPTに初めて触れたのが、2023年1月でした。当時通っていたプログラミングスクールの卒業制作としてプログラムを書いていたのですが、何分初心者でもあり、苦戦しておりました。

しかし、ChatGPTを使ったところ、あっさりプログラムが完成してしまい、近年にないほど驚愕しました。

これを使えば、特許明細書も書けるのではないか?と感じてしまうのも無理はありません。そこで、2023年春ごろから、ChatGPTを使って明細書を書き、特許出願をしてきました。もちろん、ChatGPTを使うといっても、全面的に使用するのではなく、部分的に使用するイメージとなります。

そうして書いた明細書ですが、以下の発明は、今年の4月に出願し、今年の7月に特許されました。

この出願の趣旨は、ChatGPTを使って明細書を書けるかという実験でしたが、もう一つ、どこまで書けば、生成AI関連発明が特許されるかの実験でもありました。

生成AI関連発明は特許になるのか?

生成AI関連発明は特許になるのか?ですが、2024年10月の今の登録状況を見ますと、普通に特許になります(現在300件を超える特許が成立していると思われます)。

ただし、何をどこまで書けば特許になるかが当時はよくわかりませんでしたので、以下の請求項で審査してもらいました。

請求項1.プロンプト入出力レベルの発明

ChatGPTへのプロンプト入出力レベルですと、自然法則を利用していない、すなわち、発明ではないという拒絶理由が来ることが想定されます。

請求項2.プログラムを具体的に書いた発明

プログラムを具体的に書けば、今の審査基準では、物の発明とされ、請求項1がダメでも、請求項2なら特許されるのではないかと考えました。

事前の予想では、請求項1はだめで、請求項2なら大丈夫と考えていたのですが、結果としては、どちらもOKでした。

したがって、思いのほか、自然法則の利用に関しての認定が緩く、広く権利化できるのではないかと思います。もちろん、もう少し事例の分析をしなければなりませんが。

生成AI関連の出願をするならば今のうちかもしれません。皆さんも迷っていたら、出願しちゃいましょう!

生成AIで特許明細書は書けるのか?

この出願の作業の役割分担としては以下の通りです。

ChatGPTの役割

明細書本文の文章を生成する。

人間の役割

・どういう文章を書けばよいか指示を出す。
・主に方式面からの文章の修正・追記
・願書と請求項と図面の作成

ということで、基本的には人間が書いたようなものですが、明細書本文については人間は指示を出すだけですので、明細書作成作業の効率化は図られたような気がします。

当初の危惧としては、生成AIが生成した文章に審査官がどのような反応を示すか予測できないことでしたが、文章の質も高く、特に問題なかったようです。

ということで、生成AIで特許明細書は書けるのか?という疑問については、人間が適切な指示を出せば書ける、という夢も希望もない結論となります。

おそらく、多くの人が望むのは、明細書を書いて!と生成AIに指示するだけで、完成明細書が出力されるような感じと思うのですが、そのレベルに達するまで、もう少し時間がかかりそうです。

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