新刊「不機嫌な妻無関心な夫」への思いが強すぎて、たった数ページのまえがきを書くのに17時間かかった話。【本に載らなかった「まえがきのB面」を特別掲載】
新刊が出ます。
「不機嫌な妻無関心な夫」というタイトルです。夫婦の会話の本です。これまでずっとコミュニケーション本を書いてきましたが、満を持して「夫婦の会話」に取り組みました。夫婦の会話とはどうあるべきか。なぜ難しいのか。インタビューし、考えて、書き上げました。
自信作、いよいよ明後日発売です。
https://www.amazon.co.jp//dp/4799326791/
今回はひと月前からTwitterで情報を小出しにしてきたので、表紙ができあがるまでの過程など見ていただけると、より楽しめると思います。
部分公開
また、版元であるディスカヴァー・トゥエンティワンのnoteでは、部分公開も始まっています。
裏話
で、ですね。
ここからが、今回のnoteの本題なのですが、今回の本、思い入れが強すぎて、強すぎて。
もともと、家族とか夫婦とかについては思うところがありすぎるほうです。なぜか目が離せない。小さいころなにがあったんだというぐらい、関心がある。
家族の新しい形とかそういうテーマのドラマも大好きです(カルテットとか、海街ダイアリーとか)。
ですが、この本はあくまで「夫婦の会話の本」です。夫婦のあるべき姿だとか、日本の家族制度とか、夫婦別姓問題とか、共働きとジェンダーとか、フェミとミソジニーとか、そういうテーマを語る本ではありません。抑えろ、自分。
自分の中にあるマグマのような、モンスターのようなたぎる思いを、どうにかこうにか、コミュニケーションの本として昇華させたのが今作です。
ですから、端々に、そういったマグマの飛沫が散見されると思います。それはそれで、お楽しみいただければ。
その難航ぶりを象徴したのが「まえがき」です。
まえがきが書けない
あれは校了目前の10月29日の深夜。半蔵門にある出版社の会議室でうんうんとうなっていました。
本のまえがきは、たいてい、こうやって大詰めになって全体像が見えてから、これまでの執筆を振り返ったり概観したりしながら、改めての思いを書くものです。
どういった経緯で書くことになったのか。この本を読むとどういうメリットがあるのか。手にとってくださった方への最初のご挨拶でもある、とてもとても大事なところです。
ですが、これが書けない。
その日は、朝10時からまえがきを書き始め、途中ラジオの収録を挟み、その間もぐるぐると頭の中で整理し続け、夜はちまちまと校了作業をし、編集者さんと缶詰になって一緒に夜食を食べながら、考える。それでも書けない。まとまらない。
それはひとえに、言いたいことがありすぎるからでした。あれも言いたい、これも言いたい。だけど、まとまらない。本の内容とうまく結びつかない。長くなる。しつこくなる。
途中、何度も音を上げかけ、ため息をつき。最終的には、編集者さんに「ちょっと一旦帰ります。それで頭を冷やします」と泣きを入れ帰宅しました。それが夜中の12時過ぎ。帰り道のタクシーからの風景、思い出します。
そこからいったん仮眠を取り(頭が興奮して寝付けなかった)、1時に起きて、そしたらなんとか頭も冷静になって書き上げることができました。メールを送信してOKをもらったときには、午前3時を回っていました。
朝の10時から始めて、17時間。いやはや難産でした。
そうやって書き上げたのが、こちらです。
まえがきのB面
なのですが。
このバージョンになる前の、そうですね、時刻で言うと夜の11時ぐらいに、いったん書き上げていた版があります。
が、納得が行かずにボツにしました。
というわけで、そのバージョンの供養のためにこのnoteで掲載したいと思います。
いわば、世に出ることのなかったまえがき、「まえがきのB面」ということで、お楽しみいただければ幸いです。
正直、あまりまとまってませんが、マグマの熱量としてはこっちのほうが高いかもしれません。
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夫婦、うまくいってますか?
いきなりぶしつけなことを尋ねてしまい、すみません! 答えにくい質問ですよね。
もしおおむねうまくいってるなら、よかったです。
夫婦仲さえうまくいっていれば、たいていのことは乗り切れます。
相談できる相手、信頼できる相手、助けを求められる相手、いろんな話をできる相手、一緒に笑い合える相手。そういうパートナーさえ横にいれば、人生どんなことがあっても安心です。
ですが、正直そうでもないなら、ちょっと心配です。
夫婦仲がうまくいってないと、いろいろなことが具合悪くなります。
一緒にいても楽しくない、ちょっとしたことを話し合えない、ピンチの時に助けてもらえない、うれしいことを共有できない。そういう相手と同じ空間に住んで人生をともに歩むのは、最悪とまでは言いませんが、ちょっと辛いです。
・ 夫婦の会話が少なくなってきた
・ 大切なことが話せていない気がする
・ 「自分ばっかり大変だ」と不満を感じることがある
・ 「こんなはずじゃなかったのに」とギャップを感じる。
・ 思い描いていた理想とずれてきた
・ 愛が冷めてきたのか、相手にだけ優しくできない
・ 子どもが巣立ったあとのことが不安
そういった気持ち・感覚が心の中に少しでもあるなら、どうぞこのまま読み進めてください。この本は、そういうあなたのための本です。
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いきなり結論から言いますが、夫婦って難しいです。一筋縄ではいきません。
その理由はいくつもあります。
まずは夫婦という関係性からして難しい。
家族のような他人のような。恋人のようなパートナーなような。信頼できる相方なような、一緒にいるのが自然な同居人のような。
二人組なのも難しい。3人なら多数決で決められるけど、2人だとそうもいかない。育ってきた環境も価値観も違うふたりが一緒になって、対等にいろんなことを話し合って、人生のあらゆることを決めていかなくちゃいけない。それはもう、めまいがするような難しさです。
ただでさえいろんな側面があるのに、刻々とそれが変化していくからまた大変。
最初は恋人の延長のような気持ちで一緒にいても、そのうち、ともに戦う戦友になり、それどころじゃなくなる。
あるときは、気の置けない同居人。あるときは、社会的地位を担保してくれる人。あるときは、子どもの親同士。あるときは、老後の茶飲み友達。
一日、一年の中でも役割が変わるし、関係が落ち着いたと思ったらすぐにまた変わっていく。その度に順応していかないといけない。
夫婦に比べたら、恋人同士のほうがまだわかりやすい。仕事の同僚のほうがまだやることが明確です。
家族ならあきらめもつく。他人なら関わらなければいい。でもそうはいかない。
いろいろな側面を持ち、複雑に絡み合い次々と形を変えるアメーバのような組織体。それが夫婦です。
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夫婦という関係の難しさに比べて、その話し方はこれまであまりクローズアップされてきませんでした。
多くの夫婦の話し方は適当になってないだろうか。
夫婦は一筋縄ではいかないのだから、その時その時に応じて、最適なコミュニケーションを取るべきではないか。
そうすればどんな夫婦も、ストレスが減ってケンカも減って、行き違いが減ってイライラも減って、結果的に少しだけうまくいくんじゃないか。
人間関係とコミュニケーションについて24時間・365日考え続けている者として、そこのヒントをお伝えする。そういう本です。
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執筆の際、「夫は妻をこう取り扱え」「妻は夫をこうあしらえばいい」という一方的な内容にはしないよう気を配りました。
夫と妻は、夫婦という生き物を構成する細胞同士。切っても切り離せない一心同体。どちらかが上に立って一方的にコントロールするような関係ではありません。
そうではなく、こうすれば話が通じやすくなる、こうすれば聞き入れられやすくなる、という普遍的・汎用的なコミュニケーションアドバイスを載せています。
結果的に、妻にも夫にも、新婚夫婦にも熟年夫婦にも、未婚の人にも同性カップルにも、すべての人に役立つ内容となった自負があります。
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本書ではまず、夫婦タイプ分けチェックリストを設けました。これは、「いま自分たちの夫婦はどの側面が強くなってるのかな?」という、簡単な診断のようなものです。これをすることで、第1章以降の内容がよりわかりやすくなると思います。
続く第1章では、それらの側面について改めて詳しくひもときながら、こういう話し方を心がけるといいですよ、というアドバイスをお伝えします。
第2章〜第4章では、家事の分担、育児・進路、実家・介護、お金・仕事、趣味・スマホなど、さまざまなシチュエーション別に具体的な処方箋をお伝えします。
さまざまな角度からのコミュニケーションアドバイスを読むうちに、改めて「夫婦って一筋縄ではいかない難しい関係性なのだなあ。だからこそ、大事にきちんと向き合わないといけないなあ」と思っていただければ幸いです。
さてさて、前口上が長くなりました。
夫婦のイライラ・モヤモヤ・ギスギスが、スッと解決する「夫婦の話し方のレッスン」、いよいよスタートです!
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●「不機嫌な妻無関心な夫 うまくいっている夫婦の話し方」、11月20日発売です。
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