CASEに関わる最新海外動向 (2021年9月)
2021年 9月2日~10月8日
この期間の重要な動向
■ 米国半導体のサプライチェイン強化を目的とする$52B Chip法案の下院通過を急ぐため、商務省は関連企業に需給状況の明確化を求める。
✔ $52BのCHIPs for America Actは、6月に上院を通過したが、下院で滞っている。
✔ 商務省はより的を絞った方法で助成プログラムを策定するため、45日以内に在庫、注文、顧客販売に関する情報を提供する質問票への記入するよう関連企業に要求する。
■ Teslaが多くの点で進化している。
✔ 第3四半期に予想を上回る241,300台を出荷。半導体不足と世界的なロジスティクスの問題で他社が販売台数を減らす中、この出荷台数は「目を見張る」もの。
✔ Model Yの車体下部構造を前部、後部、構造型バッテリーの3パーツで製造する製造方法を年内にギガファクトリーベルリンで開始する予定。
✔ Full Self-Driving Beta (実際にはLevel2+)の広範なユーザへのリリースが週明けにも始まり、今後さらに広範なユーザデータから学習した自動運転機能が更に高度化する。
✔ Teslaのショートセラーのほとんどが諦めた。
■ 2025年に向けてEV化の大きな変化が起こっている。
✔ GMは、以前の約束より5年早く、2025年までにすべての電力を再生可能エネルギー源から得る。
✔ Fordは、 ピックアップトラックの新工場とバッテリー工場の3つの建設を発表し、生産開始は2025年。(年間16万台をターゲットとするF-150 Lightningの第二世代の2025年出荷開始)
✔ Daimlerは2025年から3つのBEVプラットフォームでEVを製造し、パートナーと伴に世界中に8つのバッテリー工場を設立する。
✔ BMWは2025年から新世代バッテリーへの切り替えを開始する予定。
✔ VWの€20,000のBEVとなるID Lifeの販売開始ターゲットが2025年。(Teslaの$25,000 EVは2023年ターゲット)
✔ EVバッテリーのリサイクルおよび製造を行うRedwood Materialは2025年までに米国内での製造規模を100GWhに拡大する。
■ Mercedes-Benzの高級BEVであるEQSの価格がガソリン車Sクラスよりも安く設定されており、これは高級車の売り方自体を変える可能性もある。
✔ Mercedes-Benzの販売に於けるEVへの切り替えが加速する可能性がある。
✔ 2種のグレード設定があるが、パワートレイン系は同じで、大きな違いはディスプレィとホイールの大きさのみ。
✔ パワートレイン系の追加機能(例えば後輪のステアリング角を大きくするなど)は、後で追加料金を支払いOTAでソフトウエア鍵を解除することで利用可能となる。
■ LFPバッテリーの世界的特許が2022年に失効し、中国以外でも生産可能となる。
✔ LFPはTeslaが中国製Model 3に採用したことで再注目され、VW、Ford、Stellantis等も量産EV向けに採用を予定している。
■ 半導体問題: 自動車のレガシーな部分は45nmレベルの短中期的なロジスティクス問題、EVや自動運転を実現に必要な28nm以下のハイエンド半導体の開発・製造は10年タームの長期的問題と分けるべき。
✔ 長期的にEVや自動運転の制御に、10nm以下のハイエンド半導体が必要になっている事が今後の課題。その生産はTSMC、Samsungに集中している。 (Teslaは7nm以下、GMも5nmの半導体が必要と明言)
以下詳細です。
◎◎◎ 米国の動向 ◎◎◎
★ 米国半導体のサプライチェイン強化を目的とする$52B Chip法案策定に向け、商務省は関連企業に需給状況の明確化を求めている
◇ $52BのCHIPs for America Actは、米国の半導体サプライチェーンを強化し、TSMCやSamsungなどのアジア太平洋のファウンドリオペレーターへの依存を減らすことを目的としている。
◇ 商務省はより的を絞った方法で助成プログラムを策定するため、45日以内に在庫、注文、顧客販売に関する情報を提供する質問票への記入するよう企業に要求する。
◎◎◎ 中国の動向 ◎◎◎
★ EV製造の資源をより絞り込んで利用する方法を検討している
◇ 「中国政府はEVの過剰生産能力を抑制し、リチウム、ニッケル、コバルトなどのEVバッテリーに使用される原材料をより的を絞った方法で全国の主要な生産ハブに向ける措置を起草している」という。
◇ 「規制当局はEV生産能力の最低利用率設定を検討しており、それを満たしていない省は、余剰能力がオンラインになるまで新しいプロジェクトの開始が許可されない」という。
◇ 4月新華社が報告した公式統計によると、中国全体の自動車メーカーの平均生産能力稼働率は昨年約53%で、中国には約300のEVメーカーがある。
◎◎◎ 欧州の動向 ◎◎◎
◇ 欧州自動車工業会によると、欧州では自動車販売が数か月の穏やかな回復の後、再び悪化し、新車登録は7月に24%、8月に18%減少した。
◇ 減少は広範囲に及び、欧州最大の自動車市場であるドイツ、フランス、英国、イタリア、スペインに及び、どの市場も2桁の落ち込みが見られる。スペインは売上高は29%急落し8月に最悪のパフォーマンスを示し、イタリアは次いで27%減少した。
◇ 但し、上半期の収益、利益率、キャッシュフローは業界史上最高だった。
★ Norway政府は2025にはエンジン車両の前面販売禁止しているが、現在の傾向からすると今年4月にはほぼEVへ移行する
◇ ガソリン車がなくなることが明らかになっているので、10年後に燃料を補給できない車を買わなくなっている。
◎◎◎ EVの動向 (Tesla) ◎◎◎
★ Model Yの車体を前部と後部の2つの鋳造部品と、構造型バッテリーで車両の構造プラットフォームを構築する
◇ 既に世界最大の鋳造機を数台購入し、TeslaはModel Yの後部の70の異なる部品を単一のリアボディピースに置き換えた。前後2つのパーツでModel Yのボディを製造する。
◇ 昨年発表された新しい4680バッテリーセルを搭載した構造型バッテリーパックでこれら2つの部品を結合する。
◇ ギガファクトリーベルリン新工場のツアーで4680セルで構造化されたバッテリーパックを利用したModel Yを公開した。来月からの生産開始を目指す。
★ 驚異の241,300台を出荷し記録的四半期となった
◇ 第3四半期に予想を上回る241,300台を出荷。半導体不足と世界的なロジスティクスの問題で他社が販売台数をへらす中、この出荷台数は「目を見張る」もの。
◇ 今四半期の売上の96%以上は、Model 3とYだった。
★ Musk氏はFSD Betaの広範なリリースを1週間延期と言った一方、Teslaの所有者は早くFSD βのテスターになりたがっている
◇ 9月24日、Teslaは顧客にベータテストプログラムへの参加をリクエストできるソフトウエアボタンをリリースした。
◇ FSD ベータを利用するには、顧客はTeslaが7日間運転行動を0〜100のスケールで評価されることに同意し、警戒を怠らずに運転を続ける責任があることを認める必要がある。
◇ 最終的には1日あたり約1,000人の所有者をβプログラムに追加する。
★ 多くのTeslaのショートセラーが諦めた
◇ 空売りの標準的な尺度である「トレーダーが借りた株式の割合」は、取引可能なTeslaの株式の1.1%にまで落ち込み、2010年の株式公開以来最低になった。
◇ Tesla株に対する悲観論は2019年に存在したが、その後、EVへのシフトが加速し、Teslaが優位性を固め、株価は1,000%以上急増した。
★ Elon Musk CEOは半導体不足は短期的解決するとの自信がある
◇ Musk氏は半導体不足は短期的に解決されると確信していると明らかにした、
◇ 一般的には、業界が急増する需要に追いつくまでに「数年」かかる可能性があると考えられている。
★ 次世代のFull Self-Driving chipの生産に関してSamsungと話している事を明らかにした
◇ Musk CEOは、来年Tesla Cybertruckに最初に搭載される予定と述べた。
★ カリフォルニア州ラスロップにメガパックバッテリーを製造する新しい‘Megafactory’を起工
◇ Tesla最大の定置型エネルギー貯蔵用バッテリーであるメガパックの製造に使用される。
◇ メガパックユニットは、統合されたモジュール、インバーター、および熱システムを備えたコンテナサイズの3MWhバッテリーシステム。
◎◎◎ EVの動向 (VW/Audi) ◎◎◎
★ VWの労働組合は世界最大の自動車工場でのEVへの敏速な移行を求めた
◇ ヴォルフスブルクのVW主要工場は、過去10年間、年間平均約78万台の自動車を生産し、5年前の労使協定で合意された目標では2020年に82万台の車両を製造する予定だったものの、50万台を下回り、今年は更に歴史的に低くなる可能性がある。
◇ ヴォルフスブルクでのEV生産は、計画では2026年に組立ラインをロールオフする予定だが、Teslaは来年ベルリン工場で生産を開始する状況で、競争力を維持するためにEVへのより迅速な移行が必要と労組トップが求めた。
★ VWのID Lifeコンセプトは誰でも購入可能なEVを示す
◇ VWグループが$数Bを費やしたモジュール式のMEB EVプラットフォームの開発により、その多様性とEconomy of Scaleから最小限の価格でEVを提案できる。
◇ ID Lifeコンセプトは、57kWhの容量バージョンのMEBバッテリーパックを搭載し、約400 km(約250マイル)持続でき、強力な172kWモーター(約230馬力)が搭載され時速0〜100kmまで7秒弱で加速でき、これらの仕様はID 3よりも優れている。
★ Audiはインセンティブ後$36,400から始まるQ4 e-tron EV SUVを発売
◇ Audi Q3とほぼ同じサイズで価格もインセンティブ後で同程度。年末までに米国の販売店に到着する予定。
◇ 4月の発表時点では、55kWhと82kWhの2つのバッテリーパックオプションで発表したが、今回の発表は82kWhのみ。
★ AudiはA8セダンのEV化を彷彿とさせるワイルドな新コンセプトを発表
◇ 本日発表したAudi Grandsphereコンセプトは、技術革新とまったく新しい全体のモビリティ製品の自動車業界のトップでトレンドセッターになりつつあるというAudiの主張を示している。
◇ Grandsphereコンセプトは自動化を中心に設計されており、Audiはそれを「プライベートジェットまたは道路のファーストクラス」と表現している。
◇ Audiによると、120 kWhのバッテリーパックが搭載され、e-tron GTに搭載されている最新の800V技術が使われる。
◎◎◎ EVの動向 (Mercedes-Benz) ◎◎◎
★ EQSの価格は$100,000を超えるがSクラスよりも安い
◇ 2022年のMercedes-Benz Sクラスは$111,350から始まるのに対して、EQSは$102,310から始まる。
◇ 車格はEQS 450+とEQS 580という2設定があるが、異なるのはインフォテイメントの画面サイズ(それぞれ12.8”か56”)とホイール(それぞれ20”か21"か)と、Premium、Exclusive、Pinnacleの3種の内装等のレベル設定があるが、走行系の基本設定は1種で全て同じ。
◇ 車両購入後に追加機能にお金を払う事が期待されている。例えば、後輪のステアリング角を大きくするなど、さまざまなアドオンを提供しており、これらのアドオンは、顧客が料金を支払えばOTA (無線ソフトウェアアップデート)でロックを解除される。
★ 驚きの走行距離400マイルでEQE EVセダンを発表
◇ MercedesのデザインはEV全体を通して同じ設計思想に固執しており、EQEはEQSを彷彿とさせる。
◇ ブレーメンのMercedes-Benz工場で、今年後半に出荷するための生産が開始される予定。
★ $8.2Bで欧州バッテリーベンチャーを支援
◇ DaimlerはStellantisおよびTotal Energiesと提携し、欧州のバッテリーベンチャーACCへの支援規模を€7B($8.2B)以上に拡大する。
◇ DaimlerはバッテリーメーカーのAutomotive Cells Company (ACC)の株式、債務、補助金を通じて資金提供し33%の株式を取得する。ACCは、10年の終わりまでに欧州で少なくとも120GWhの容量を目指す。
◎◎◎ EVの動向 (BMW) ◎◎◎
★ 周りが半導体不足で警告を発する中、BMWは利益予測を引き上げた
◇ BMWは、半導体不足の悪化による警告の流れに逆行し、今年の利益予想を引き上げた。
◇ 半導体が不足する中、BMWは収益性の高いモデルの生産を優先し、在庫不足により新車と中古車の価格を押し上げ利益が高まった。
★ EVの需要拡大により、最大$24Bでバッテリーを調達
◇ BMWは2025年から新世代バッテリーへの切り替えを開始する予定。
◇ BMWのバッテリーセルの注文は、中国のCATL、EVE Energy、韓国のSamsung SDI、スウェーデンのNorthvoltに広がっている。
◎◎◎ EVの動向 (GM) ◎◎◎
★ 火災リスクが解消され、Chevy Bolt EVのバッテリー生産を再開
◇ バッテリー火災を引き起こす可能性があった原因は、アノードの破れとセパレーターの折畳みの2つの製造上の欠陥であり、両者が同じバッテリーセルで発生した場合に起こる事を確定。
◇ 交換用バッテリーモジュールは10月中旬にディーラーへの出荷を開始。
★ 全てを再生可能エネルギー化する最終目標を早めた
◇ GMは、以前の約束より5年早く、2025年までにすべての電力を再生可能エネルギー源から得る事になると発表した。
◇ 既に再生可能エネルギー源ですべての電力を賄っている米国企業の仲間に加わる。その中にはMicrosoftとIntelがあり、どちらもGMが国内で使用するよりも多くの電力を使用している。
★ 米国の第3四半期の売上高は、世界的な半導体不足に打撃を受けてかなり厳しい
◇ 特にGMは9月に主要なピックアップトラック工場を遊休状態にしたGMは最大の打撃を受け、直近の3か月間で売上高は3分の1に減少した。
★ GMは$30,000の新しいEVクロスオーバー含む多くの車種でTeslaを抜き米国でEVリーダーになることを目指す
◇ GMは現在バッテリー火災で苦労しているが、次のUltium EVプラットフォームを搭載する新しいEVに賭けている。
◇ 内燃機関(ICE)車両からの利益を拡大しながら、米国でEV市場シェアでリーダーシップを発揮することを計画している。
★ Hummer EVから始まる新しいEVモーターを公開
◇ UltiumベースのEVに電力を供給する180kW前輪駆動永久磁石モーター、255kWリアドライブとフロントドライブの永久磁石モーター、62kW全輪駆動アシストインダクションモーターの3つ新しいモーターを明らかにした。
◇ 新しい電気モーターは、さまざまな出力とトルクのニーズに合わせて、いくつかの異なる方法で構成できる。たとえば、次期Hummer EVは、最大3台の255kWモーターで構成される。
◎◎◎ EVの動向 (Ford) ◎◎◎
★ ピックアップトラックの新工場とバッテリー工場の3つの建設を発表
◇ テネシー州でEVピックアップトラックを生産する巨大な新工場「Blue Oval City」と3つの新しいバッテリーギガファクトリーでEVの生産を加速する。生産開始は2025年。
◇ バッテリー工場はSK Innovationとの提携で構築され、年間129GWhのバッテリーセルを生産することを計画。
◇ Fordの$7Bの投資は、2025年までのFordのEVへの$30B超の投資の一部。
★ Tesla元幹部のスタートアップRedwood Materialsを利用してバッテリーリサイクルを行う
◇ FordとRedwood Materialsは十分な容量が残っている使い古したバッテリーの新しい利用法の開発、Fordが回収したリチウム、ニッケル、コバルト、銅から新しいバッテリーを作成するのを支援する。
◇ 契約の一環としてFordはRedwood Materialsに$50M投資する。
◎◎◎ EVの動向 (Stellantis) ◎◎◎
★ 半導体不足の中、EV生産を優先する
◇ 内燃機関車は使用する半導体の数が非常に多いことと、消費者が多額の補助金を含む誘導でEVになびくことで、EVの販売を内燃機関車よりも優先している。
◇ EVモデルは、欧州では上半期にStellantisの出荷の14%を占め、米国では4%を占めた。2030年までに、Stellantisはそのシェアがそれぞれ70%と40%に上昇すると予想している。
◎◎◎ EVの動向 (Volvo) ◎◎◎
★ 皮革を利用しない新素材を公開
◇ Volvoは、オプションとしても革をまったく提供しないと言っている数少ないブランドの1つ。
◇ 他に、Rivianは現在、R1Tピックアップにビーガンの「レザー」シートのみを提供し、レザーを利用しない。
◎◎◎ EVの動向 (Renault) ◎◎◎
★ EVシフトのためフランスで従業員を2000人カット
◇ 2022年から2024年の間に1,600人のエンジニアと400人のサポートポジションを削減する予定。
◇ 但し、同期間に、データサイエンスとバッテリー化学を含む2,500人を採用する。
◇ Renaultの案に応えて、CFDT組合は、製造拠点を閉鎖せず、フランス国内で年間750,000台の車両が製造することを保証することを要求。
◎◎◎ EVの動向 (日系) ◎◎◎
★ トヨタは1.5兆円($13.7B)を費やしEVバッテリーの供給を賄う
◇ トヨタの幹部は、投資のうち生産ラインに約1兆円を投じ、2030年までに70車種のEVを投入することを目指し、バッテリー供給量を200GWhとした (現在6GWh)。
◇ VWが$29Bを投資し、2030年までに欧州に6つのバッテリー工場を建設し、240GWh生産するのと比較する少なく見える。BMWはバッテリーセルの注文を€20Bとしている。
★ 日産は次世代EVを生産するハイテクグリーン工場を公開した
◇ 日産は、「Intelligent Factory Initiative」の一環として、世界の工場をより効率的に、汚染を減らし、EVなどの次世代自動車を生産する準備を整える新技術の導入に1,300億円($1.2B)以上を費やす計画。
◇ 今回、栃木にある改装されたインテリジェントファクトリーを公開した。導入された技術には、効率を高めるVRの導入や生産ラインの新しい自動化などがある。
★ 米国でホンダは、GMのUltium EVプラットフォームベースのBEVであるPrologueを2024年に登場させるが、年間販売台数を7万台と発表
◇ 現在開発中の新しいe-Architectureに基づくEVの導入によって2030年までに50万台のBEVの販売を見込み、北米で2040年までに100%ZEVにする。
◎◎◎ EVの動向 (韓国系) ◎◎◎
★ 2045年までに全世界レベルでカーボンニュートラルにするとコミット
◇ Hyundaiは2030年までに世界の売上高の30%をZEVとし、2035年に欧州のすべての内燃機関車の廃止し、2040年までにBEVとFCEVが全世界で売上高の80%を占めることを目指す。
◇ ZEVに加えて、Hyundaiは再生可能エネルギーを生産施設に統合する。そのため、Vehicle-to-grid(V2G)やSecond Life Battery Energy Storage System(SLBESS)などの将来のテクノロジーへの長期投資も行う。
◎◎◎ バッテリーの動向 ◎◎◎
★ Teslaの共同創設者であるJ.B.Straubel氏が設立したRedwood Materialsは米国内に完全なバッテリー産業を作ろうとしている
◇ Redwood Materialsはリサイクルの他に、アノード用の銅箔の製造、カソードの製造を行っており、バッテリー産業の巨大な塊をアジアから米国に移す目的を持つ。
◇ Straubel氏によれば、$1Bを超える追加投資により、米国で2025年末までに年間100GWh、2030年までに500GWhのバッテリー材料(カソード)を生産する予定。
◇ 同社のリサイクルはすでに利益を上げており、最終的にはリサイクルと精製および生産を統合していないバッテリー企業はコストで競争に勝てなくなる、とStraubel氏は言う。
★ 一部の自動車メーカーは低価格、低走行距離のバッテリーの採用を試している
◇ 中国国外でのLFP生産を管理する3つの世界的な特許が2022年に失効すると、多くの車で採用されることが期待される。
◇ Teslaは2020年に中国でLFPバッテリーの使用を開始し、昨年末にLFPバッテリーを搭載した中国製Model 3を欧州に輸出開始した。欧米の自動車メーカーは過去10年間LFPの利用を避けてきたが、VW、Ford、Stellantisはすべて、将来的に低コスト、低距離のEV向けにはLFPを使用すると発表している。
★ ソフトバンクは日本のバッテリースタートアップ3DOMの技術を検討している
◇ ソフトバンクの高出力バッテリーへの関心は、6Gへの競争で先手を取るという孫正義の野心の一部で、空飛ぶデバイスを利用した無線通信プロジェクトを推進するため、3DOMのバッテリー技術を検討している。
◇ 3DOMは、リチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高く、充電速度がはるかに速いリチウム金属電池に取り組んでいる。
◎◎◎ クリーンエネルギーの動向 ◎◎◎
★ 化石燃料からクリーンエネルギーへの移行には、今後30年間で$173兆ものエネルギー供給とインフラストラクチャへの投資が必要になる可能性がある
◇ リチウム、コバルト、希土類などの金属の不足も課題だが、鉄鋼、銅、アルミなどのより身近なコモデティも、急速に加速する需要で危機に瀕している。
◇ BloombergNEFの推定によると、1GWhのエネルギーを蓄えることができるリチウムイオン電池には、約729トンのリチウム、1,202トンのアルミニウム、1,731トンの銅が必要。1GWの風力タービンとインフラストラクチャには、約387トンのアルミニウム、2,866トンの銅、154,352トンの鋼が必要。1GWのソーラーパネルには、18.5トンの銀、3,380トンのポリシリコン、10,252トンのアルミニウムが必要となる。
◎◎◎ 充電インフラの動向 ◎◎◎
★ ニューヨーク市DOTは米国で最大のEV充電ネットワークを構築しようとしている
◇ 2030年までにニューヨーク市全体で40,000の公共レベル2充電器と6,000のDC高速充電器を実装するという。
◇ この夏の時点で、ニューヨーク市内の高速充電器は117台、レベル2が1,449台であり、2030年までに計50,000近くのEV充電器に到達するまでにはまだ長い道のりがある。
◎◎◎ 車用半導体の不足 ◎◎◎
★ AlixPartnersの見積もりでは、半導体不足の自動車産業への影響は$210Bの売上減となる
◇ 半導体のリードタイムは記録的な21週間となり、世界の自動車メーカーは770万台の生産が減り、不足が何年も続く可能性があると言う。
★ Intelはアイルランドでの生産を自動車用半導体用に確保する
◇ 高度安全機能と予想よりも早く起こっているEVへの移行により、自動車業界では半導体への依存度が高まっており、Intelは自動車企業グループとの関係を築く事を目指している。
◇ Intelは今後10年間で€80B($95B)の投資を行い、欧州に少なくとも2つの新しい半導体工場を建設する計画。
◇ Pat Gelsinger CEOによると、2030年までに、半導体はプレミアムカーの製造コストの現在の4%からの20%以上に増加する。Gartnerは、自動車用半導体の総市場は、半導体市場全体の11%に達し、総額$115Bに達するという。
★ 自動車メーカーは石器時代の半導体から脱出すべき
◇ 電子ブレーキシステムからエアバッグコントロールユニットに至るまで、あらゆるものに見られる半導体は、10年以上前の古いテクノロジーに依存しており、これらはサイズは45nmから最大90nmのスケールの比較的単純なトランジスタで出来ており、大きすぎてかつ原始的すぎて、今日のスマホには利用できない。
◇ 車のほとんどのシステムは安全性が重要であり、温度、湿度、振動、さらには小さな道路の破片に関係なく、事実上すべての状況で動作する必要がある。非常に多くのリスクがあるので、枯れた技術が新しく改善された技術よりも好まれる。
◇ 一方、ファウンドリにとって、古いテクノロジーへの投資は、遅かれ早かれ新しいテクノロジーに切り替わるので魅力的ではない。
◎◎◎ 自動運転の動向 ◎◎◎
★ カリフォルニア州車両管理局(DMV)は、自動運転車サービスで料金を請求する許可をCruiseとWaymoに与えた
◇ GMの自動運転部門Cruiseは今後数年間で$50Bの売上になると見ている。
◇ Cruiseは来年、Chevy Bolt EVの改良版で顧客に課金開始し、その後California Public Utility Commissionの承認が得られれば、4〜6人乗りでステアリングホイールや手動制御がないOrigin自動シャトルで2023年に共有乗車サービスの提供を開始できると予想している。
★ ドイツはロボカーを擁護している一方、ニューヨーク市は新しい規則の提示により、米国で最も自動運転に不親切な都市と指摘されている
◇ 7月に採択されたドイツ連邦法は、自動運転開発会社が開発および商業化できるサンドボックス化を推めており、ドイツが自動車技術で優位性を維持したいという願望を反映している。
◇ 一方、米国ニューヨーク市は、州が行ってきたことを超えて、自動運転テストが安全に行われることを保証する権利を主張し、ニューヨーク市は州の交通規則を修正して、別の許可プロセスを作成した事で、重複と矛盾が生まれ、米国で最も不親切な都市と指摘されている。
★ NHTSAはTesla Autopilotに対する調査を拡大するため、Ford、GM、トヨタ、VWなど、12の自動車メーカーに、レベル2 ADAS機能に関する情報を要求した
◇ ADAS機能が使用された合計マイル数、および変更または更新の最近のリスト、更には顧客の苦情、現場および事故の報告、関連する訴訟の情報を要求している。
◇ Teslaは10月22日までデータを提出する必要がある。Ford、GM、Stellantisなどの米国を拠点とする自動車メーカーは11月3日まで、トヨタ、スバル、日産、ホンダなどの他のすべての自動車会社は11月17日までに提出する。応答しない自動車メーカーは、最大$115Mの民事罰に直面する可能性がある。
★ GMはOTAアップデートを追加した真のハンズフリー運転技術‘Ultra Cruise’を発表
◇ 新しい「Ultra Cruise」機能では、米国とカナダの「運転シナリオの95%」で「真のハンズフリー運転」が可能になる。
◇ 現在の「Super Cruise」の後継ではなく、LiDARを搭載する「プレミアム車」で利用可能で、2023年のCadillacから導入される。
★ XPengのNGPシステムが混雑した市街を自動でナビゲートする
◇ XPengは、先進運転支援システムの今後の機能の1つとなるCity Navigation Guided Pilot(NGP)のベータテスト映像を公開した。
◇ 最新バージョンのX-PILOT 3.5はP5でデビューし、2つのLiDARを必要とする。
★ QualcommはMagnaを抑えてVeoneerを$4.5Bで買収
◇ QualcommはArriverとして知られるVeoneerの自動運転ソフトウェア事業を確保し、残りのエアバッグやシートベルトプリテンショナーを作動させる電子機器やセンサーなど事業は他社に売る。(Magnaが買う可能性がある)
◇ Arriver事業を買収することで、Qualcommはドライバー支援技術の新興市場で確固たる地位を築くことができる。
★ 高度運転支援機能(ADAS)は今どれほど売れているのか?
◇ BNEFは、世界の乗用車販売のほぼ60%が組み込みテレマティクスを装備し、その一部は、OTAアップグレードとインフォテインメントサービス、および安全性と利便性の機能を提供していると推定。
◇ 世界の乗用車販売の40%以上が、標準ではないにしても、少なくともオプションとしてADASを提供している。自動車メーカーの目標と政府の方針に基づくと、2030年には90%を超える可能性がある。
★ 隠密なロボカースタートアップが遠隔ドライバーを自動運転への近道と見ている
◇ ベルリンで遠隔操作EVの艦隊を隠密にテストしているドイツのVayは、来年、欧州、そして潜在的には米国でモビリティサービスを展開することを計画している。
◇ Vayは、緊急ブレーキや回避操作を必要とする極端な状況でも、通信遅延の問題を解決し、車のリモートコントロールに成功したと述べている。
◎◎◎ MaaSの動向 ◎◎◎
★ Kiwibotは、電気半自動ロボットを使用して15万件以上の食品配達を完了した
◇ KiwibotはBEVであり、120Vの充電で4時間かかり、一回の充電で10時間動作でき、最大20 km走行できる。
◇ モビリティデータ仕様(MDS)フレームワークと自動データ収集システムを使用して、エリアをマッピングし、歩道とインフラストラクチャのデータを収集し、最終的には歩道の状態や車両や歩行者の交通に関するデータを市当局と共有し、米国の都市がよりアクセスしやすく安全になるのに役立てる。
◎◎◎ その他の動向 ◎◎◎
★ Apple Carのトップが去りNext Big Thingに暗雲が垂れ込めている
◇ Teslaに勤続していたDoug Field氏は、2018年にAppleに入社し自動車プロジェクトを率いてきたが、火曜日FordのChief Advanced Technology Officerに就任した。
◇ AppleのCar Projectの過去7年間の歴史の中で退社したエグゼクティブでField氏は4人目で、Appleのトップカーマネージャーの3人であるBenjamin Lyon氏、Dave Scott氏、Jaime Waydo氏はすべて今年の前半に去った。
◇ Kevin Lynch氏が、自動車プロジェクトを引き継いだが、Lynch氏が自動車業界から来たのではないことから、その動きは社内でも疑問が投げかけられた。Appleはまた、BMWのEV部門を監督し、Faraday FutureとCanooのトップリーダーを全う出来なかったUlrich Kranz氏を雇った。
★ FoxconnのLordstown買収はApple Carへのオーディションとなるか?
◇ Foxconnが計画している、オハイオ州にあるスタートアップLordstown Motorsの自動車工場買収は、Appleの自動車を組み立てる為の競争力を高める可能性があるが保証はされない。
◇ 車は次のモバイルデバイスになりつつあり、Foxconnに有利に働くのはAppleとの強力な関係だ。
★ 現在の法律や規制を変えなければ、排出量の削減と地球温暖化の減速が進まない。世界的に私たちは間違った方向に進み続けている
◇ 新規発電は主に再生可能エネルギーに基づくが、天然ガスや石炭火力発電技術やバッテリーなどの可搬発電源は、特にグリッドの信頼性にとって引き続き使われる。
◇ 2050年までに、非OECDアジアが天然ガスの最大の輸入国となり、ロシアが天然ガスの最大の輸出国となる。
★ VWは炭素回収の為に$355MのVenture Capital Fundを計画
◇ VWのHerbert Diess CEOは、火曜日のLinkedInの投稿で、炭素回収は実現可能だが費用がかかり、一部の新技術に対して事業規模を拡大することが重要だと述べた。
◇ ミュンヘンモーターショーで、Diess氏は、再生可能エネルギー源の大規模な拡大を含む、業界の変革を加速するためのより深い政治改革の必要性を新たに訴えた。
★ ホンダはGoogleのembedded Android Automotiveを2022年モデルから利用する
◇ ホンダの現在のオペレーティングシステムが何年もの間Androidベースであったことを考えると驚きではない。
★ Boschは”充電用ブリック”のないユニークなEV cableを発表
◇ Boschのスマート充電ケーブルは「ブリック」と呼ばれるケーブル内充電ボックスを必要とせず、ブリックを装備したケーブルよりも約40%軽く、約3 kgとなっている。
◇ 自宅で接続する場合でも、公共の充電器で接続する場合でも、新しいボッシュケーブルを接続して最大22kWの充電速度を実現できる。