CASEに関わる最新海外動向 (2021年1月)

~2021年2月3日

この期間の重要な動向

■ EV、バッテリー、自動運転の開発・製造や事業化に対する投資がハイテックスタートアップ向けに1000億円単位で動いている。それに乗じて、不穏なSPAC (特別目的買収会社)を利用した株式公開を行う新興企業も増えている。これらは、既存のクルマ会社の内燃機関事業からは容易に捻出できない莫大な金額を動かし、自動車産業の競争構造が大きく変化させている。莫大な企業価値を持つAppleからの自動運転EVの噂も、こうした産業構造の変化を背景として信憑性を増してきている。

■ 米国はバイデン政権になり、再生可能エネルギーの拡大、電力網の強化・改善(含: 定置型メガバッテリーの導入)、EV事業の推進(含: 政府調達に於けるローカルコンテンツ増加)、バッテリー事業の拡大等が官民上げて急激に動き出した。

■ 欧州では、欧州委員会が汎欧州プロジェクトとしてTesla、BMW、StellantisやスタートアップのNorthvoltを含を含む12カ国42社に$3.5Bの欧州バッテリー補助金を支援。この支援が3倍以上の民間投資を引き起こし、総支出が約€12Bになると予想している。欧州委員会は欧州のバッテリー市場規模は2025年までに€250Bに達すると考えてる。

■ GMは2035年までにゼロエミッションモデルのみを販売し、2040年までにすべてのグローバルな事業と車両をカーボンニュートラルにすると約束。2040年までに段階的に炭素排出量をゼロにする方向性を示す世界的な自動車メーカーが増える可能性がある。

■ Teslaの新型Model S/Xは非円形ハンドル、ソフトレバーの排除/自動化等の点で、今後各国で安全規格上物議を醸す可能性がある。

■ パンデミックの影響で国際的にライドヘイリング事業が縮小する中、DiDiでは2019年に対して利用数が10%伸び、最終利益が約$1Bとなった。これは、ライドヘイリングとしては驚異的な利益率であり、今後の自動車産業を考えるに注視すべき状況である。

■ 今月は中国市場の情報が少ない。

以下詳細です。

◎◎◎ 米国の動向 ◎◎◎

★ バイデン政権は、気候変動と安全保障を関連付けた。これにより軍事費が動く可能性がある。

◇ 気候変動は何十年にもわたって国家安全保障の要因となってきた。バイデン大統領が署名した多くの気候関連の大統領命令の中に、連邦政府に気候変動を国外および国家安全保障政策の必須事項にする指示が含まれた。
◇ NIE (National Intelligence Estimate)が、気候変動が重大なセキュリティリスクをもたらすと結論付けた場合、膨大な国防リソースが動員される可能性がある。

★ バイデン政権のエネルギー問題解決の秘密兵器はFERC (Federal Energy Regulatory Commission)にある。

◇ 米国では電力網を大幅に更新しないと、脱炭素化を達成することはできない。
◇ FERCは電力の炭素プライシングを強化し、高圧送電線の大規模な建設を推進し、天然ガスパイプラインの建設を精査する立場にある。

★ バイデン政権のBuy-America DreamはEV販売を促進する可能性がある。

◇ バイデン大統領は連邦政府での利用に対して、労働組合の労働力を利用した米国製のEVを購入するように命じた。
◇ 但し、米国連邦政府には645,000台の車両あり、年間50,000〜60,000台の新車を購入しており、現在年間30万〜35万台の米国EV市場では、数万台はメーカーに十分な影響を与える可能性がある。

★ 高負荷の電力網を助けるメガバッテリーのブームが来ている。

◇ カリフォルニアは、昨年のような停電を避けたいと考えており、夏までにバッテリーを含む2GWを超えるエネルギー貯蔵を追加する可能性がある。
◇ 現在の貯蔵能力トップはカリフォルニアのVistra Corpの300MW Moss Landingプロジェクト。22個のバッテリーモジュールを備えた4,500を超えるバッテリーラックで構成し昨年12月に稼働開始。電力ピーク時に4時間225,000世帯に電力を供給できる。今後、1.6GWhまで拡大する計画。

★ ニューヨーク中に隠されているバッテリーが市の電力バックアップを増強する。

◇ いくつかの壊滅的な気象異常が発生し電力網が破壊されたニューヨークではより信頼性の高いエネルギー源が必要になっている。
◇ MicroGrid Networksは、$96Mの投資により2021年末までにニューヨークのブルックリン、クイーンズ、スタテンアイランド行政区で、住宅街の屋上や工業地帯の空き地など、未使用のスペースを再利用する8つのプロジェクトを運用する。この投資には、土地の特定と確保、許可、建設用の設備から、システムの運用とサービスの提供まで、すべての費用が含まれる。

◎◎◎ 欧州の動向 ◎◎◎

★ EUはTesla、BMW、StellantisやスタートアップのNorthvoltを含を含む12カ国42社に$3.5Bの欧州バッテリー補助金を支援。

◇ EUは、この支援が3倍以上の民間投資を引き起こし、総支出が約€12Bになると予想している。
◇ 欧州委員会によると、欧州のバッテリー市場規模は2025年までに€250Bに達し、自動車産業需要に応える。

★ FCAとPSAの合併によるStellantisの誕生でCarlos Tavares氏がCEOとなり、ミラノの株式は8.5%も急上昇し、企業価値が$51B以上になった。

◇ Carlos Tavares氏はRenault/日産の後、PSA、Opel/Vauxhallなどを再建してきた。
◇ Stellantisは、FCAのRam部門とJeep部門のおかげで北米では強力な存在感を示し、欧州でPeugeotsとCitroenは優れているが、現在欧州市場が最も重要な課題。中国は中長期的な目標。

★ アジアのバッテリーメーカーは欧米で事業拡大の機会を掴む。

◇ 世界のバッテリー製造における欧州シェアは2020年の6%から2025年までに17%に上昇すると予測される。
◇ SNE Researchによると、CATLとLGの合計は、昨年販売されたEV用バッテリーの192.9 GWhのほぼ半分を占めた。BNEFデータによると、CATLは、2023年までに、完全所有と合弁事業の生産能力合計で約263GWhと現在の4倍にする計画であり、LGの生産ラインは2倍以上になる過程にある。SKイノベーションは、2025年までに100GWhのグローバル生産容量を目標としていると述べている。
◇ CATLは、2021年後半にドイツのエアフルト郊外の工場で生産を開始し、自動車産業のEV化移行における重要なポイントとなる。LG Energy Solutionは、ポーランドで生産規模を拡大し、GMとの契約で、オハイオ州に$2.3Bの工場を建設している。ハンガリーに施設を持つSKInnovationは、今年、米国で最初の生産ラインでテスト製造を開始する予定で、パナソニックは、ノルウェーで工場の候補地を検討していると述べている。

★ 英国は、2030年からのガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止。

◇ 設置数を現在の年間7,000ポイントから5倍の35,000ポイントに増やす必要がある。
◇ £20M($27.4M)の追加資金で住宅充電用の路上充電スキームの計画に基づき、設置箇所を8,000に倍増すると発表したが、これも必要なペースに追いつかない。

★ バッテリーを作らなければ英国の自動車産業はなくなる?

◇ Aston Martinの元CEOで、元日産の製品計画責任者でもあったAndy Palmerは「今後5年以内に英国に4つのバッテリー「ギガファクトリー」を建設する緊急計画が、英国の自動車産業全体を失うことを避けるために不可欠だ」と述べた。
◇ 政府への公開書簡でギガファクトリータスクフォースを設立することを勧めた。

◎◎◎ 日本の動向 ◎◎◎

★ 日本の電動化推進は軽自動車を排除する可能性がある。

◇ 菅政権は昨年、2050年までに日本を脱炭素化することを約束し、2030年代半ばまでにガソリン専用車の新車の販売を禁止する計画を立てた。
◇ 東京東海リサーチによると、電動化は軽自動車を100万円から200万円高くし、価格が2倍になる可能性がある。
◇ 日本では、数十年にわたる景気低迷により、消費者は軽自動車を選ぶようになった。日本軽自動車協会によると、過去数年間は安定して販売され、昨年はパンデミックにより低下したが約170万台が販売された。
◇ 軽自動車の値上げは、低所得者層、特にアルバイトをしていて平均して男性より収入が少ない高齢者や女性に最も大きな負担をかける可能性が高い。

◎◎◎ EVの動向 (Tesla) ◎◎◎ 

★ Teslaは新しい内装と520マイル走行のオプションを持つ新型Model SとModel Xを発表。

◇ Model 3、Model Yと同様、横型のタッチスクリーンを採用。U字型のストークの無いハンドルになる。
◇ Model SのPlaidバージョンとPlaid+バージョンの最高速度は時速200マイル。

★ 新型Model SとModel Xは、パーク、リバース、ドライブをクルマが自動でシフトする。

◇ 車がオートパイロットセンサーを使用して、見た周囲の障害物、状況、ナビゲーションマップに基づいて、進む方向を『推測』する。(但し、ディスプレイ上では手動でシフト可能)
◇ かつて市場にオートマが出てからシフトレバーは多様な形や場所に出てきていた。連邦自動車安全規格第102号は、PRNDの特定の順序を規定しているが、設計によるシフトミスを防ぐ規定はない。

★ 新型Model SとModel Xは12V鉛蓄電池からリチウムイオンに移行する。

◇ Muskは自動車の低電圧ニーズのために48Vのアーキテクチャに移行する計画もあると付け加えた。

★ 新しいバッテリーセルで構築され、前部と後部の車体構造をつなぐボディ構造として機能するる新しいバッテリーパックの構造を公開。

◇ 部品数、バッテリーパックの総質量が削減され、Teslaは生産効率を向上させ、ねじり剛性や極慣性モーメント(または慣性)も改善し、最終的にはEVの航続距離も向上させることができる。
◇ 構造型バッテリーパックは、ギガファクトリーベルリンで製造される予定のModel Yと新しいModel S Plaidで最初に使用される予定。

★ 新しいバッテリーセル生産の映像( https://youtu.be/zB8_HbrxUi8 )を公開し、ドイツとテキサスの新しい工場へのリクルートを行っている。

◇ より多くのエネルギー容量を備えたより大きなセル形式を作成し、コストを削減するために、Teslaは新しい製造プロセスを自ら設計し、バッテリーセルの製造を再考した。
◇ Teslaはミニサイトを立ち上げ、ベルリンとテキサスのバッテリー工場への採用を告知し直接履歴書を提出することを推奨している。

★ Teslaのブルーチップ企業としての最初の結果にウォールストリートは狼狽した

◇ S&P 500インデックスの仲間入りしたTeslaは、営業利益率が過去3か月の9.2%から最近の四半期には5.4%に低下したと語った。
 その理由として、中国での積極的な値下げと、サプライチェーンのコスト、Elon Muskや他の幹部への高額な支払いパッケージによると説明した。
◇ Muskは、より多くのより安い車を売るために収益性を犠牲にすることをいとわないと言っており、揺籃期である市場では成長のためにはコストがかかり、長期的には良いことだという市場の評価もある。

◎◎◎  EVの動向 (VW) ◎◎◎ 

★ VWの今年のEV売上目標はTeslaに漸近する。

◇ VWは欧州全体で12月に49,704台のBEVを販売し、この地域でのTeslaの新車登録台数のほぼ2倍になった。
◇ VWは、BEVの今年の売上高を2020年の約3%から6%~8%にすることを目指している。売上の8%がBEVである場合、約745,000台を販売する事になる。
◇ Teslaは昨年、ほぼ50万台のBEVを納入し、2021年には50%以上の成長を見込んでおり、これは少なくとも750,000台の自動車を販売することを意味する。
◇ VWグループは、EVを2025年には世界出荷の少なくとも20%、2030年には30%以上にすることを目標としている。

◎◎◎ EVの動向 (Mercedes-Benz/Daimler) ◎◎◎ 

★ Mercedes-Benzが走行距離300マイル以下のEQA EVクロスオーバーを発表

◇ Mercedes-BenzのGLA SUVに基づくEQAは、今年欧州で生産を開始する予定で、EQA250として€39,950($48,442)で発売。EQBも今年後半に生産開始される予定。
◇ Mercedes-Benzの新しいモジュラーEVプラットフォーム上に構築されるEVはEQSおよびEQEモデルが最初となり、EQAは、$68,000のEQC SUVと同じ車両プラットフォーム上に構築される。

◎◎◎ EVの動向 (GM) ◎◎◎ 

★ GMは2035年までにすべてゼロ・エミッションカーにする計画

◇ GMは、2035年までにゼロエミッションモデルのみを販売し、2040年までにすべてのグローバルな事業と車両をカーボンニュートラルにすると約束。
◇ Mary Barra CEOの戦略の一環として、EVにおけるTeslaのリーダーシップを追い越し、炭素ガスを噴き出すピックアップトラックとSUVのビルダーとしてのデトロイトのイメージを変える。

★ GMはSuper Cruise機能を標準装備した新型Chevy Boltの発表を2月に設定。

◇ GMはChevy BoltのリフレッシュとBolt Electric Utility Vehicle(EUV)のリリースを計画している。
◇ Bolt EVとBolt EUVはどちらも、2020年初頭に発表された新しい「Ultium」バッテリーパックとは異なるGM BEV2プラットフォームを利用。
◇ GMの戦略的バッテリであるUltiumはCadillac LyriqとGMC Hummer EVから採用。

★ GMは新しいスピンオフ事業の一環で、走行距離250マイルのEV配送バンを発表。

◇ GMは、BrightDropと呼ばれる新しい配送およびロジスティクス事業をスピンアウトし、EVパレット(EP1)と配送EVバン(EV600)を年内に出荷予定。どちらもUltiumバッテリープラットフォームを搭載。
◇ GMは、BrightDropが車両、ソフトウェア、その他のサービスを含むEV配送のための「ワンストップショップ、完全なエコシステムを作成する」ことを想定している。
◇ 昨年、パイロットとしてFedEx Expressと提携しEP1をテストし、FedEXの従業員は1日に25%多くの荷物を処理できるようになったという。

◎◎◎ EVの動向 (上記以外) ◎◎◎

  ★ Appleが4兆ウォン($3.6B)をKia投資し、Kiaと米国ジョージア州のKia施設でApple Carを製造することを計画していると東亜日報が報じた後、14.5%も急増した。

◇ 東亜日報によると、両者は2024年にApple Carを市場導入することを目指し、当初年間10万台を生産する目標を掲げ、2月17日に契約を結ぶという。
◇ Bloombergのこれまでの認識では、「Appleの自動車開発はまだ初期段階にあり、自動運転EVを発売するのに少なくとも5年かかり、同社がパートナーシップの決定を急いでいない」。

★ Rivianはまた大きな投資を得た。

◇ Amazonが支援するEVのスタートアップであるRivianは、さらに$2.65Bを調達し、これまで計$8B以上の投資を受けている。

★ 負債を抱えた日産は、技術に大きく投資し復活を掛ける。

◇ 日産は10年前の2倍にあたる約8.3兆円($80B)の債務を抱え、欧州での不振と英国工場サプライチェーン問題がある。
◇ 浅見上級副社長は、「技術面で負けると、ビジネス面で負ける」と認識し、2020年度3400億円の営業損失を予測する中、技術開発に割り当てる資金を減らさない。
◇ これは、自動車業界を席巻する2つの技術的変化、つまりEV化と自動運転で競争に勝ち続けることを確実にすることを意味する。

◎◎◎ EVバッテリーの動向 ◎◎◎ 

★ 一部の起業家は、引退したEVバッテリーを解体し、調理してコバルト、リチウム、ニッケル、その他の原材料をリサイクルし始めている。

◇ 2030年には、世界で年間約2,600万台のEVが販売され、廃電池は約170万トンとなると予想されている。それまでに、リサイクル業者は、125,000トンのニッケルを含む、数万トンの金属を生産してバッテリー生産に戻す必要がある。これは、バッテリーのニッケル需要予測の10%未満。
◇ 現状は平均$14,000のバッテリーパックから取れる金属は$2,000から$3,000にしかならない。

★ 米国運輸安全委員会はEV火災の消防隊にはより多くの知識が必要と警告

◇ バッテリーの化学火災は通常の火災と異なり、EVメーカーの緊急対応ガイド(ERG)でさえ、これらの火災を鎮火するための正確な情報を欠いている。
◇ 衝突後に高電圧リチウムイオン電池のエネルギーをオフにする必要があるが、EVごとに複雑な違いがあり、緊急時対応要員は大量の知識を持つ必要がある。
◇ 2014年から2016年の間に米国内で年間平均171,500件の高速道路車両の火災が発生した。EVはこれらの火災の1%未満程度。

◎◎◎ FCVの動向 ◎◎◎

★ GMはNikolaでしくじった後、Navistarとの新しい水素トラックプロジェクトに目を向ける。

◇ GMはNavistarおよび水素燃料電池会社であるOneH2と提携して、水素を動力源とする長距離トラックを市場投入すると発表。
◇ 両社は、「500マイル以上」の航続距離と15分未満の給油時間が可能な燃料電池車を目指している。
◇ Navistarは2024年にInternational RHシリーズと呼ばれる新しい燃料電池トラックを出荷する。テストバージョンは、2022年以前に出荷される。

◎◎◎ MaaSの動向◎◎◎ 

★ DiDiは$1Bの利益を得て、今年後半でIPOを狙う。

◇ DiDiの2020年の乗車数は2019年から10%増加し、最終利益が約$1Bとなり、2017年以来初めて通年で収益が戻った。
◇ DiDiはサウジアラビアが支援するソフトバンクビジョンファンドや、Coatue Management、Tencentなどの投資家から約$20Bを調達している。
◇ 一部の銀行家は、DiDiは公開市場で$100Bの価値がある可能性があるとDiDi幹部に語った。但し、2020年の第4四半期のDiDiの総売上は$10Bに達していない。

★ 世界的に個人所有のクルマは、COVID-19による交通機関利用の大幅な落ち込みを免れた。

◇ 全世界の消費者を対象にした調査では、昨年Covid-19が消費者の交通機関利用に如何に壊滅的な影響を及ぼした。
◇ 航空会社、レンタカー、ライドヘイリングが、2019年からの減少率の点で最も打撃を受けた交通手段であった。
◇ 消費者は自分の車を利用する以外にほとんど動き回っていなかった。

★ BMWは1月31日でサブスクリプションサービスを停止

◇「BMWはAccessの次の段階を開発中であり、利用可能になり次第情報を提供する」と述べ、再開する可能性を示唆している。
◇ サブスクリプションは、自動車業界にとっては成否混沌としており、どのクルマ会社でもサブスクリプションのほとんどは特定の都市でのみ利用可能であり、まだパイロット段階にある。

◎◎◎ 自動運転の動向 ◎◎◎

★ GMの完全自動運転スタートアップであるCruiseは、Microsoft主導の投資で$2Bを得た。

◇ GMの買収後、Cruiseは2018年にホンダから$750Mを受け取り、2019年にはホンダと機関投資家からさらに$1.15Bの投資を調達した。
◇ 今回の$2Bの追加投資で、Cruiseの評価額は$30Bになる。

★ Waymoの完全自動運転の将来は誇大広告ではなく現実に見えてきた。

◇ 今後12か月間、Waymoやその他の自動運転車の開発者は、カリフォルニア、フロリダ、ネバダで日当たりの良い広々とした通りなどを厳選し、より多くの場所でrobotaxiサービスの提供を開始し、「自律の島」とする準備ができている。
◇ 高速道路は人間の介入なしに走る長距離トラックや高度なCruiseコントロールシステムがこれらの「自律の島」を接続し始め、全体としてロボット道路のネットワークを構築する。

◎◎◎ SPAC買収を経た株式公開の動向 ◎◎◎

★ 最近のSPAC合併のブームは(不安・疑惑を引き起こすような)恐るべきものであるが、過去7か月間、EV分野でSPAC合併を利用したIPOが急増。

◇ Canoo、Fisker、Lordstown Motors、Nikola、Arrival、Hyliion、ChargePointなど。 Lucid Motorsのようなスタートアップも交渉中。

★ 充電会社のEVgoがSPACマージャーでIPO。

◇ EVgoと統合して株式公開する投資ファンドは、気候投資家のDavid Craneが始めたもので、EVgoに$575Mがもたらされる。
◇ Faraday Futureは、ブランクチェック会社のPSAC: Property Solutions Acquisition Corpとの合併を通じてIPOすることに合意。
◇ この取引で合併後の会社は約$3.4Bと評価され、$1B以上の流動性を生み出すと予想されている。
◇ BloombergNEFによると、昨年EV、自動運転、コネクテッドカー関連の企業は、SPAC上場または新規株式公開を通じて$12Bドル以上を調達。

◎◎◎ その他 ◎◎◎

★ VWは世界販売第一位をトヨタに譲った。

◇ トヨタグループは子会社であるダイハツと日野を含めた2020年販売台数が953万台となり、VWの931万台を超え、5年ぶりに世界一の自動車メーカーとなった。
◇ VWは2021年に一時的にトヨタを再び上回ると予想されているが、トヨタは2025年まで毎年増産すると予測されるとHIS Markitは述べた。
◇ IHS Markitは、自動車販売は2020年の7,680万台から8,440万台に着実に回復し、2025年には9,480万台に達すると予想している。

★ トヨタは排出量報告要件違反で$180mの記録的な罰金を払う。

◇ トヨタは2005年から2015年までの大気浄化法の排出量報告要件に従わなず、排出欠陥に関する必要な報告を延期し、排出欠陥に関連するリコールの進捗状況についてEPAに通知しなかった。
◇ 米国司法省は「トヨタの行動は、リコールの遅延または回避につながる可能性があり、トヨタは大きな経済的利益を獲得し、消費者にコストを押し付け、排出ガス関連の欠陥のある未修理の車両が道路に留まる時間を長くした」と述べている。

★ スマートキーでUWB標準化の動き (UWB対応のスマホもスマートキーになる)

◇ Teslaはリレーアタックに耐性があるUWBベースの新しいスマートキーを投入予定。(現状では既にスマホがメインキー)
◇ BMWのDigital Key PlusはUWBベースで、ポケットやかばんに入っているiPhonesからも新しいEV iXのドアを開けることができる。

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