『白と黒のスプーン ~料理階級戦争~』は審査員のかっこよさを味わうための番組

Netflix『白と黒のスプーン ~料理階級戦争~』

この番組見ましたか??
熱すぎる。観て。

僕もまだ半分しか観てませんが完全に刺さっている。
ブッ刺ささり中であり、今後回を追うごとにさらに深く刺さることも確信しています。

この番組はざっくりいうと、韓国の料理人たちの料理バトル番組です。
ミシュランの星を獲得するような韓国屈指の有名シェフ20人(白スプーン)と
韓国で人気店を営んでいるそこそこ有名なシェフ80人(黒スプーン)とが勝負をする番組です。
合計100人の人気料理人が出演するとんでもない規模の番組です。
さすがNetfilx、わかってるな〜それが観たかったんだよ!という気持ちです。
(一瞬、「こんなに一度に人気料理人を集めたら韓国の飲食店はお休みだからになっちゃうんじゃないか?」と心配になりましたが、100人くらいなら全然大丈夫かと思い直しました。)

第一回戦は、黒スプーン80人の中で生き残りをかけたサバイバル戦が行われ、20人まで減らされます。

第二回戦は、その生き残った黒スプーン20人と有名シェフの白スプーンの20人がタイマンを張るのが2回戦です。
(三回戦以降の話はまだ観てないので書けません。楽しみ!)

黒スプーンが下剋上を狙い、白スプーンが誇りを懸けて迎え撃つ__熱き戦いの火蓋が切られます!
ガチンコ勝負、ぶつかり合う意地とプライド、張り詰める空気に息を呑む。
そして、出てくる料理はどれも圧倒的な美しさで、むっちゃ美味しそう!!

この一戦に料理人としての矜持をかけているというのがビシビシ伝わってくる名勝負がたくさんあり、ドラマチックです。
ドラマあるところにはキャラありで、シェフたちのキャラもすごく濃く、きっと推しのシェフができると思います。

そんなドラマを通して濃いキャラ料理人たちを見せられた、もとい魅せられた僕ですが、僕が一番好きになったのはまさかの審査員でした。

その名もアン・ソンジェ

その審査員の名前はアン・ソンジェ。
韓国で唯一の三つ星を獲得した超有名シェフらしいです。
料理バトルに参加しているメンバーからしたら神様的な圧倒的なカリスマを持った人なんだろうと思います。
審査されるのもとんでもなくプレッシャーですね。
(僕は最近グランメゾン東京を観て、どうやらミシュランの三つ星というのはハンパじゃないということを知りました。)

彼の何が良いのか。
それは、マジで公平に審査しようとする真摯さと、そこから溢れ出る料理への情熱です。

彼の口癖「意図が気になる」

彼は審査をするときにしきりに「意図が気になる」という発言を繰り返します。料理は美味しさが全てで、この番組の審査基準としてもそのように言われていました。

一見すると、美味しければ意図なんてどうでもいいという話になりそうです。
しかし、そうであってそうじゃないんです。

なぜならその場で出てくる料理は当然のように美味しいものばかり。
仮に美味しいステーキや美味しいハンバーグが出てきた時に勝敗を決めるのは難しいです。好みの問題になってしまう。
しかし、審査は好みで片付けてはいけません。その場にいるのは韓国の飲食業界を代表するようなメンツです。適当な審査でその店の格を落とすわけにはいきません。真剣勝負だからこそ審査の影響が大きいんです。
その中でいかに平等に合否を決めるのか。

それはその料理人の意図です。

料理人の意図が大事

第一次審査では、「食材、手段は問わないから最高の料理を作れ」というテーマが黒のスプーンに与えられ、黒のスプーンの80人から20人に絞る戦いがありました。
最高というのはつまり、ベスト。TOP。一番。ということですが、そんな料理は基本的に客観的には存在しません。
あくまでも主観的な最高しか存在しないんです。
それぞれの料理人が「俺はこれが最高だと思ってる!」という料理をぶつけます。
審査員としては、その主観的な最高の料理を客観的に評価する必要があるんです。これは難しい。
テーマが非常にシンプルであるが故に厳正な審査をしようとするのがとても難しいです。
テーマは最高の料理、それだけです。それだと正解は無限にあります。それはもはや正解が存在しないのと同じです。
そんなもの審査するのは不可能です。

じゃあどうするのか。
意図を聞くんです。

そうすることによって採点基準を生み出すことができるからです。

意図を聞くことによって、
その意図が"最高の料理"というテーマに合致しているのか。
そして、その意図が料理に反映されているのかを確認することができます。

ここが揃っていたら、その料理はおのずと最高の料理たり得るということでしょう。

勝手な私見では、特にこのアンソンジェさんが意図を確認するのは、「あんまり美味しくないな〜」とか「なんでこの食材をこの調理をしちゃったのかな〜」とか、最高の料理っぽくない時に意図を強く聞いているように見えました。ここが素晴らしい。
料理の組み合わせは無限大で、明確な正解がない中でいかに個人的な好みを排除して合否を決めるのか。そこに真摯に向き合っている様子がこの番組をただのエンタメから崇高な競技性を伴ったものに進化させています。
真剣とか、マジとか、本気とかそういったものにドラマ性は宿ります。それがむしろエンタメとしてレベルの高いものにしています。

エンタメだからって競技性を曖昧にするパターンも多いですが、むしろ競技性を確固たるものにすることでエンタメとしてレベル高いものにしているのは学ぶべきものがありますね。(個人的には最近日本の格闘技がエンタメ色が強くなっているような気がしていて、あんまり面白くないな・・・と思っていて、それと対比させると面白いと思っています)

結論、アンソンジェさんの審査には彼の思想が漏れ出てきて、料理の奥深さ面白さ、彼の料理への愛がガツンと伝わってきました。
僕も料理をしますが、毎晩「今日は何を作ろう?」と悩みます。気づけば、いつも似たようなメニューばかり思い浮かんでしまい、「料理のレパートリーって意外と限られているな」と感じることが多いです。
しかし、この番組を見て、マ〜〜ジで料理って無限大だなと思いました。だからこそ、美味しい料理を生み出すのは大変で、特に今までにないものを美味しいもの作ろうとするのは暗闇の荒野に進むべき道を切り開く事だァ!って感じです。いや、ほんとに。

まとめ

以上、推し活でした。


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