20210816【216】出汁巻きと老夫婦
こんにちは!ioriです。
今から8年ほど前の事だったと思います。
当時僕は、炉端焼き業態のお店で働いていました。お店の近くにはたくさんの商業施設、マンション、大学もあり下町ながらも中々栄えたエリアでした。
あ!炉端焼きって知らない人もいるかもですね・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%89%E7%AB%AF%E7%84%BC%E3%81%8D
たしか夏あたりだったとある日、開店してすぐぐらいに欧米系の老夫婦がご来店されました。
店の場所柄、インバウンドでの需要もあったので英語表記のメニューは置いてはいましたが、素人が作ったにわか英語メニューでは伝わりきらなかったのでしょうね。その感じをすぐに察知した僕は英語に堪能なスタッフに対応をお願いしました。横で何気にうなずく僕を見てその老夫婦は絶えず僕に笑顔を振りまいてくれました。
記憶を辿ればになりますが、注文は全てこちらにお任せだたと思います。今や欧米でも生魚を食べる文化は根付いているのでお刺身もペロリ!焼き物も頬張るように食べていただきました。
そんな感じでその日はお帰りになられました。
次の日、また昨夜と同じぐらいの時間にその老夫婦はご来店くださいました。
よほど気に居られたのでしょうか?片言でさ・し・みと仰いました。昨日お召し上がりになられたので敢えて同じネタで刺身盛りをお出ししたところ・・・「ワンダフル!」のお言葉を頂きました。
結論から言うと、恐らく滞在日数20日間程だったと思いますが、その間毎日夕方同時刻にご来店頂きました。せっかくのご旅行ならいろいろなお店もあるのに…と思いましたが、「気に入ってもらえた」を体感できた喜びがありました。
同時刻にご来店頂くようになり、数日後のことですが・・・居酒屋では定番メニューと言っても過言ではない「出汁巻き」
スタッフが出汁巻きを巻いている姿に興味を持たれたようでオープンキッチン越しにその様をじっくり観察されていました。それから毎日ご来店時にはそれがルーティーンになりました。
何日かするうちに英語が堪能なスタッフもいない日がありましたのでスマホの翻訳アプリなどを駆使して、どうにかして老夫婦とコミュニケーションをとりました。
今思えば、僕の両親ぐらいの年齢だったと思います。短期間にも関わらず本当に良くして頂いたというか、可愛がって貰った記憶が忘れられません。お客様なのに・・・
で!とある日の来店でその老夫婦から聞いた「tomorrow last!」という言葉・・・いきなりでしたが無性に寂しさがこみ上げてきました。
お店のスタッフで相談して何かプレゼントがしたいという事になりました。結果、ハチマキ手拭と前掛け!そして出汁巻きセットをプレゼントしました。(だしまき用フライパン、菜箸、まきす、油引き)だし巻きを調理する上で必要なものすべてですね。
これは当時の僕の部下の考案でした。なかなか粋なチョイスです。
帰国前にご主人とFacebookで繋がりました。多分外国人の方と繋がったのは初めてですが、それからまたまた数日後何気にFacebookのタイムラインを見ていたらそのご主人がハチマキ、前掛けをし出汁巻きを巻く姿が動画でアップされていました。
何かそれを見て感動という感情にはなりませんでしたが、これ以上になくハートフルな気持ちになりました。
元気かな・・・あのじっちゃん、ばぁちゃん
今日はここまで!