悩みが半永久的に解決しない根本的な理由

カウンセラーがいくら模範的な解決策を提示しても、本人の課題感が鈍ければ効果ないですよ、という話。

私にとって、精神科のクリニックは、薬を処方してもらう場所である。私が通うクリニックは、予約時間に行っても平気で1時間半とか待たせる。
それを知らない新参者たちが「まだですか?」と憤りをあらわに何度も受付のマダムに言いよるのを『ふ、まだ若いな... 』と横目に見つつ、ふかふかのソファでジャンプのバックナンバーからハンターハンターをじっくり読んだり日記を書いたり、メモの整理をしたりしている。私はこの時間が嫌いではない。

私は、医師に、悩み相談の解決という役割を期待してない。だから、診察も早い。ほとんど、社交辞令のような会話を済ませて、いつもの薬を処方してもらうので、早い時は3分もかからない。回転率を上げるのに貢献している優良客だとおもう。(ちなみに片道30分かけて来ている)

ところが、患者の中には長時間話し込んでいる人もいる。医師が単に話を切れないのか、親身になっているのか、そういう人に惜しみなく時間を与えているために、自然と待ち時間が長くなる。

私は、カウンセリングに何時間も、何年もかかって、いまだに相談をしている状態にある種の不健全さを感じる。

あなたのその悩みは、一体いつになったら解決するのか。結局、カウンセラー側も依存させてしまっているのではないか、と。

私も、仕事がら、利用者さんの悩み相談を受けることはあるが、しっかりと時間をくぎるし、ほかの職員にもそう指導している。
ごく一部、いつまでも話したい人がいて、そういう方に取っては『サービスの悪い』と取られるかもしれないが、一人に時間を取られ過ぎるのは全体の益にならないし、パラサイト状態になると職員が潰れる。だから、そこの境界線はしっかりと引いている。

職員一致して、その境界線をキープ出来れば、話し相手を外部機関に求めるようになる。桃鉄の貧乏神をイメージすると分かりやすい。

さて、悩み相談が、永遠に終わらない理由はつぎのうちのどれかだと思う。

  1. 相談先にアクセスできない。あるいは相手を間違えている。
    まぁお金の心配はファイナンシャルプランナーに相談すべきで、栄養士やイオンのエスカレーター付近にいる占い師に相談するのは得策ではない。

  2. 相談先に解決策が提示できない。
    ようするに、アドバイスが下手だったり、問題の本質を見抜けない場合だ。

  3. 本人が、提示された解決策を実践しない。
    「そうなのは分かっているんだけど... 」と、問題点を指摘されながらも、解決へとむかわない。

この3パターンだ。

そしてややこしいのが3である。
どれだけカウンセラーが、的確な解決策を提示しても、本人の改善意識と課題感(どれだけ深刻か)の鈍さで、馬耳東風、豚に真珠状態である。

3の場合のアプローチは、本人の頑固さが邪魔をしている場合がある。問題は解決したいが、そのプロセスが気に食わない。(解決方法の選り好み)もしくは、問題を解決してしまうと別のデメリットが発生するので解決自体を回避しようとする。
分かりやすい例で言うと「体重を落としたい」といいながら、「でもケーキはやめたくない」というようなケースだ。(実際にはこのジレンマが、本人の自覚なく、見えにくくなっている)

さて、この場合のアプローチとしては、重要なのは、『模範的な解決策の提示』ではなく、エンパワメント、本人に危機感を持たせるような、動機づけである。ネガティブな動機付けは、実際に痛い目をみることである。虫歯を繰り返すことで、歯磨きの大切さに気づかせるようなアプローチだが、代償がでかいわりに、確実性もない。気づいた時には歯がニ本しかありませんでしたじゃ悲しすぎる。
そんなバカボンげた、いやバカげたやりかたはおすすめしない。

だから、実地訓練できに行うより、本人に、課題感を持たせるために、論理的で視覚的な気づきを与えるアプローチがよい。
愚者は経験から学ぶというが、経験させないロールプレイ的なアプローチである。

先の虫歯の例で言うと、私の近所に評判の良い歯科医があって、たまたま予防歯科に行った時に、そこの歯科衛生士から、歯磨きした後の自分の口内の虫歯菌を、拡大して、映像で見せられた時には、その後の歯磨きの仕方を変えるようなかなりのインパクトを覚えた。

私のような発達障害の中には、映像やストーリー、数字などのデータなど、具体的なものを見ないと響かない人が多くいる。
そう言う人に対して、『あなたの課題がどんな結果をもたらすか』を具体的に、特にビジュアルで示し、考えさせ、自分の言葉でそれを説明させるのはとても有効なアプローチである。

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