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すぐ読める 基礎からわかる 灰谷魚 解体新書 ~8:みずうみの塔~


そのとてつもなく高くそびえる塔には、二人だけの世界がある。下界からの一切の干渉がない、閉じた世界。濃厚な、密室。

はい、灰谷魚ご紹介特使の松本いおりです。

今回のご紹介は『みずうみの塔(2222字)』です。



時の流れにも取り残されたような、高い塔に住まう二人。ユウとアイ。ユウの突飛な言葉を、額面通り受け取るアイ。二人の会話はユニークだ。
取り留めない会話の果ての、ユウのささやかな疑い。
ここは本当はどこ?
なぜ自分の顔を見たことがない? 
そしてアイは…。アイって本当に…?


物語の型、タイプとしてはときどき見かけるものだと思います。でも、この作品ほど詩的に美しく、感傷的な読後感をもたらしてくれるものとは出会ったことがない。二人の会話も描写も、灰谷作品ならではの雰囲気をたたえ、ラストの1行へと収斂されてゆきます。



さてあと1回だけ、続けます。最後に何を書こうかな。TLに乗ってのお楽しみ、ということで(^_^.)



表紙は当トリビュートを主催してくださっております、ならさきむつろさんからお借りしました。ありがとうございます。

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