すぐ読める 基礎からわかる 灰谷魚 解体新書 ~5:すてきなワンライナー~
目が合う。視線が交わる。言葉を交わすより頻繁に。
だけどそこから先は。そのさきは――
はい、灰谷魚ご紹介特使の松本いおりです。
このテキストを書くために読み返すたび、味わい深い灰谷魚ワールド。
それでは今回もご紹介にうつりましょう。
今回のご紹介は『すてきなワンライナー』
note大賞の企画が行われた際に、灰谷さんの作品は複数ノミネートされていたんですが、この作品もそのうちの一つ。
「目が合う」…異性と目が合うをテーマに書かれた、ラストの一行がほろりとせつない、素晴らしい物語です。
作中の「フライパンの上でバターが溶けているような気分」
恋愛の、互いを意識し始めたかどうかさえおぼつかないごく初期の恋心をじわじわと、中心には冷たい芯を残したまま、ゆるやかにとろけてゆく気持ち。
この頃の気持ちが実は最も純粋な恋心と呼べるものかもしれない。瑞々しい気持ち。とても素敵な、ハッとさせられる表現です。
あらいやだ。恋愛小説のご紹介みたいになってますが、これはれっきとした灰谷魚作品。ストーリーのそこかしこに彼独特の言い回しや、鮮やかな展開が待ってます。
さて次回のご紹介はSFです! それも、時間SF。いおりんの大好物です。
悲恋なんて吹っ飛ばせっ!!
表紙は当トリビュートを主催してくださっております、ならさきむつろさんからお借りしました。ありがとうございます。