すぐ読める 基礎からわかる 灰谷魚 解体新書 ~7:かいぶつ が あらわれた~
誤解を恐れず一言でいえば、普遍的なるものとは宗教の一種だと思う。
人のなせる業ならず、空高く浮き上がりどこからも仰ぐことの成る存在となり、大地を見下ろす紀世子は神になったんだ。
はい、灰谷魚ご紹介特使の松本いおりです。
のっけから似非哲学者風の物言いで失礼しました。
この物語に、最初の4文でKOされました。
今回のご紹介は『かいぶつ が あらわれた』
灰谷さんがおっしゃっていますが3000字以上のすこし文字数の多い作品です。
さてこの物語。世界がぶっ飛んでいる。
巨大な怪物が突如現れ、この世界を…世界的な遺産やなにやかやを破壊し始めた。ミサイルなどの攻撃は歯が立たず、ただただマイペースに怪物は「ご容赦ください」と断りを入れつつ再生のための破壊を続ける。そういう物語世界。
そして、この世界でやはり何の前触れもなく、宙に浮くようになり浮き上がり浮き上がり、ついには携帯電話の電波さえ届かない高みにまで浮き上がってしまった紀世子。この物語、発想も桁違い。
この世界でどんな物語が綴られてゆくか、ぜひその目でお確かめください!!
怪物の破壊によって、のろのろと迫る終末。自然界の法則を無視して浮き上がった女の子という「奇跡」。それでもなけなしの日常を送っている「私」が愛おしい。
やがて再生された世界が、彼女の願うものであるといいなと思う。
この小説、少々文字数は多めですが、それを理由にパスするには大変に勿体ない灰谷作品傑作のひとつだと思われます。おススメです!!
さて最終日のご紹介は濃密な雰囲気漂う密室劇、2が4つ並ぶ「文字数ゾロ目シリーズ」のあれです。お楽しみに!!
表紙は当トリビュートを主催してくださっております、ならさきむつろさんからお借りしました。ありがとうございます。