201602270630
注意!!! この作品はかーるさん の緊急企画
「明日世界が終わる前に」 に参加させていただいた作品です。現実じゃないですよ!!
繰り返します。これはフィクションです!!
おはようございます、松本…いおりです。
歩く音 はぁはぁという息遣い 最初小声で
2016年2月27日午前6時20分。
さっき、日本が迎える最後の…日の出を見ました。雲が多くてよく見えなかったんです。でも…生まれたての今日の太陽、きれいだった。
いま、わたしは、このSNS、noteで出会ったある人のいるところに向かって、歩いています。
ご存知だと思いますけど、新幹線も飛行機ももう止まっているし、バスも電車も動いていません。街はあの…暴徒になってしまった人たちが危ないので、日のあるあいだに、一週間かけて、歩いてここまで来ました。
あとちょっとでその人の住んでる街に行けるんですけど…夜の9時までにつけるかな。正直自信はありません。
でも、会いたいんです。あの人に会いたい。会わずにこのまま…この世界と一緒に終わってしまうなんて、嫌なんです。会って、顔を見て、もう一度あの人と、話がしたい。声を聴きたい、あなたの笑顔を見たい。待っていてください、必ず行きますから。
立ち上がって 歩く音
昔からわたし、思ってることがあって。最後に、聴いてくれますか?
あのね、この地球って、宇宙って、誰かの…うーんと大きな巨人みたいな人の、体の中なんですよ。体の中の何かの器官の細胞の一つ。小さい小さい世界なんです。人体は小宇宙ってNHKでもやっていたじゃないですか、むかし。顕微鏡でないと見えないほど、小さいんです、宇宙もその中の地球も。もちろんわたしたち人類も。で、この細胞、細胞であるからにはいつか、寿命が来て、死にます。…死んじゃうんです。なくなるんですよね。
プチって細胞壁が割れてシューって縮んでなくなってしまう。それって、自然の摂理ていうか、生まれたらいつか滅びるっていうのは当たり前で。でも。でも。
涙声
今じゃなくてもよかったのにな、どうして今なんだろう悔しい。嫌だ。どうして…どうして!
もっと生きたいよわたし。読みたい小説があって、聴きたい音楽があって、マンガも読みたい。好きな画家さんの個展にも行くつもりだった。家族との時間だって、もっともっとあったはずなのにっ。
でも。
仕方ないんですよね。寿命って、誰にも止められないもん。今日の夜に、この世界が終わるっていうのは、ずっとずっと昔から、たぶん決められていたことで。その中で、与えられた条件で、一生懸命生きるのが、人間なんだって、思う。思うんです。
ややのぼせたような口調
わたしは、わたしに残された時間で、あなたに会いに行く。
もう何日かメールも送れてないから、もしかしたらあなたは家にいないかもしれない。どこかもっと安全な場所に避難した後かもしれない。
でも、わたしは、あなたを探して、会いに行く。
ずっと伝えられなかった気持ちがあるから、それを、届けに行く。
少しずつ近づいているから、待っていてほしい。
わたしがあなたの家のドアをノックしたら、はーいってちょっとのんきに返事して、パタパタ廊下を歩く音を聴かせて。そしてドアを開けて、わたしを部屋に招き入れてほしい。
部屋の中は…少し寒くて、居心地が悪くない程度の散らかりようで、あなたはそれを少し恥ずかしそうに片付けて、わたしにマットの上に座るように言う。ごめんねコーヒーとかもうない、とか気を遣ってくれてね。そういう事態じゃないのにね。
ありがとう。わたしはただ、あなたに会えただけでうれしいんだよ。一緒にいてね、ここに、このまま。そうして、わたしはあなたに伝える。大好きだって。あなたに会えてよかったって。
この世界が終わる前に。
先にあげたサウンドノートの原稿です。これを読んだんです。わたし、アドリブに弱い女なので、台本ありでーす (/・ω・)/ホイ