すぐ読める 基礎からわかる 灰谷魚 解体新書 ~6:最後の恋人~
真実の愛は、どんな障害をも乗り越える。何百回も何千回も世の映画やドラマ、小説に漫画、ちまたに溢れるフィクションは説く。
本当にそう? 真実の愛は…最強の愛?
はい、灰谷魚ご紹介特使の松本いおりです。
今回のご紹介は『最後の恋人』
二人のあいだの恋愛感情は悲恋に終わる。私は知ってる。私は未来から来たのだから。――タイムスリップして来たのだから。
偶然というか運命的に、「僕」がで出会ったこの女の子に「僕」は恋をした。愛してしまった。すべてが「僕」の理想の彼女。
自分のことを未来からやってきたという彼女と「僕」の、不思議な出会いと別れと、そして――
時間SFの姿をした味わい深い小説です。読後、様々な解釈が出来て、そういうことに思いめぐらすことが大好きなわたしは、牛並みの咀嚼時間をかけて何度も何度も物語を味わいました。
灰谷作品は登場人物の会話のキャッチボールがテンポよくユニークで、大きな魅力の一つなのですが、この作品には真実も嘘も暗喩も全部まぜこぜの、素敵な男女の会話が繰り広げられています。
切ない余韻のラストシーンが素敵です。
さて次回のご紹介は、ミルキーが食べたくなるあの作品です。お楽しみに!!
表紙は当トリビュートを主催してくださっております、ならさきむつろさんからお借りしました。ありがとうございます。