美術館に行くと、今までと違うものが見えるようになるか?その14
「コートールド美術館展 魅惑の印象派」 東京都美術館 2019年11月20日(水)
今日の一枚は、ポール・セザンヌ「カード遊びをする人々」。
この絵に限らずセザンヌの絵は、構図を重視するあまり、人物や物が不自然であると言われるることが多いと思います。
ところが、本物を見ると、全然そんなことは気になりません。むしろ想像以上に生き生きと、人物が描かれていました。
決して写実的ではありません。でも、その人物の表情から、とても生き生きした感じが伝わってきます。これが何なのかは、自分の言葉ではうまく説明できないのですが。
また、不思議なことに、ちょっと離れて見ると、中央に描かれている机に奥行き感がでてきます。見る場所を変えて、長いこと見ていました。なんだか見入ってしまう絵でした。
マネの「フォリー・ベルジェールのバー」も、雑誌と本物では、だいぶ印象が違います。雑誌でみたとき以上に、中央に描かれている女性には存在感があります。
また、鏡に映る世界と、バーカウンターの世界とか対比的に描かれていることが、はっきりと分かります。
鏡に映る喧騒がザワザワしているのに対し、バーカウンターは時が止まっていて静かな感じ。鏡の喧騒が荒く描かれているのに対し、バーカウンターのボトルや果物や中央の女性がはっきりと描かれている。鏡に映る観客たちの熱に対し、バーカウンターの女性の冷めきった表情(何かをあきらめたような)。鏡のなかのお金持ちと、バーカウンターで日銭を稼ぐ女性。
鏡のなかの夢(のような世界)と、目の前の現実。そんな事が描かれているんじゃないかと感じました。
他に、
ドガ 「舞台上の二人の踊り子」 踊り子の肉体の躍動感が美しい。やっぱり、ドガが好きかも。
ドガ 「右の足裏を見る踊り子」 ドガの蝋人形的なブロンズ像は、どこか変態性を感じてしまいます。山田五郎の読みすぎかも知れません。
セザンヌがベルナールに宛てた手紙 「自然を円筒、球、円錐によって扱いなさい」 何度も聞いたことがある、あの手紙がこれか!でも、フランス語が読めないと、感動は今一つ。
東京都美術館で、2019年12月15日(日) まで。