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美術館に行くと、今までと違うものが見えるようになるか?その16
「印象派からその先へー」世界に誇る吉野石膏コレクション展 三菱一号館美術館 2019年12月17日(火)
今日の一枚は、エドガー・ドガ「踊り子たち(ピンクと緑)」。
この絵は、2年前に国立西洋美術館の「北斎とジャポニズム展」で見て、最も印象に残った絵でした。
美術展に行きはじめ、あれもいいね、これもよかったねという具合に漫然と絵を見ていたのですが、その後、どんな美術展だったか思い出そうとしても、1枚も思い出すことができないことに、我ながら愕然としました。
1枚だけなら覚えられるかも、ということで、自分なりに1枚だけを選ぶことにしました。
そのきっかけになったのが、「北斎とジャポニズム展」におけるドガの「踊り子たち(ピンクと緑)」。
その後、「今日の一枚」の絵はがきを1枚だけ買って帰ることにしました。
絵はがきも、たくさん買って帰ると、まとめて保管してしまい改めて見ない、ということで、買うのはいつも1枚だけ。かつ、その1枚はいつも見えるところ(リビングの壁)に貼っておく。こんな習慣になりました。
ドガの「踊り子たち(ピンクと)」を改めて見ると、やはりスカート(チュチュ)の色が鮮やかで美しい。かつ、ピンクから緑のグラデーションが、なかなかない組み合わせなんですが、美しさを際立たせています。バレリーナの瞬間を切り取ったような姿も、とてもイキイキと動きをとらえています。
一方、バレリーナの背中の肩甲骨のあたりは、妙に生々しく、若干グロテスクな感じすらします。このグロテスクな描写が、一瞬をとらえたような印象を与えるのかもしれません。
ルノワールの「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」は、本美術展のメインビジュアルであり、テレビでも見る機会があったのですが、どうも気持ち悪い印象を持っていました。というのは、たぶん瞳が青すぎて、なんだかとても違和感があったからです。
でもやはり、本物はそんな事ありませんでした。髪の質感が美しく、肌の量感が柔らかい。とても優しい感じが伝わってくる絵でした。
モネの「サン=ジェルマンの森の中で」は、吉野石膏コレクションの中でも最も貸出し依頼が多い作品だったと思います。
似たような作例は少ないように思いますが、光と空間の奥行き感が独特です。ちょっと離れてみると、その奥行き感が分かりやすく、風や光がさらさらと流れていく様子が感じられる気がして、ずっと見ていても飽きない絵でした。
また、吉野石膏コレクション展の図録は、装丁がハードカバーで格好良く仕上がっていて、また中身も見やすくレイアウトされていて良いです。三菱一号館美術館の美術展の図録は、そんなこだわりがあるのかも。
三菱一号館美術館で、2020年1月20日(日)まで。